
ぬか漬け自作のお勧めの手法を紹介したい。
ぬか漬けというと、
- 毎日混ぜなければならない
- 管理が難しい
- カビが生えそう
- 発酵食品マニアの趣味
そんなイメージを持っている人も多いと思います。
実際、私も以前はそう思っていました。
そして実際に常温でぬか床を管理したこともあります。
しかし半年ほどで挫折しました。
理由は単純です。
毎日混ぜるのが面倒だったからです。
健康に良いと言われても、毎日必ずやらなければならないことが増えると、普通の人は続きません。
そこで現在は、冷蔵庫管理を前提とした方法に完全に切り替えています。
この方法にしてからは、ぬか漬けが特別な趣味ではなく、日常の野菜保存システムとして機能するようになりました。
当記事ではぬか漬け未経験者の人でも実践できるお勧めのやり方を紹介したい。
では、本題に入ろう。
冷蔵庫ぬか漬けのやり方
まずは市販のぬか床を使う
初心者の方は、ぬか床を一から作ろうとしない方が良いと思います。
現在はスーパーやホームセンターなどで、すでに発酵済みのぬか床が販売されています。
まずはそういった市販品を利用するのがおすすめです。
容器も冷蔵庫に入るサイズのものを用意します。
長方形のプラスチック容器などで十分です。
私のお勧めは長方形のホーロー容器です。
私が使っているのは下写真の製品です。
このサイズなら人参なら2本を一度に漬け込む事が出来ますし、小型冷蔵庫にも入るくらいの寸法です。
いきなりぬか漬け専用のホーロー容器を買っても、途中で挫折するんじゃないかなと心配な人は、とりあえず手持ちのプラスチック容器でぬか漬けを始めてみると良い。
何事もやってみないと分からないので。
常温ではなく冷蔵庫で管理する
私が最も重要だと思うのはここです。
ぬか床は冷蔵庫で管理します。
常温管理の場合、特に夏場は発酵が活発になります。
その結果、
- 毎日混ぜる必要がある
- 塩分管理が難しい
- 匂いが強くなる
- カビのリスクが高くなる
という問題が出てきます。
冷蔵庫管理なら発酵速度がかなり落ちます。
そのため、
- 管理が楽
- 初心者でも失敗しにくい
- 味が安定する
- 長期間続けやすい
という大きなメリットがあります。
私の経験では冷蔵庫保管なら一週間に一回混ぜるだけでOKです。最長ではニ週間くらい混ぜなかった事もありますが、その場合には後述する産膜酵母がぬか床表面にビッシリと発生しましたが、全く問題は無かったです。そのまま混ぜ込みました。
塩加減は少し強めが安心
初心者が失敗しやすいのが塩分管理です。
塩分が弱いと雑菌が増えやすくなります。
私はぬか床を少し指で取って舐めてみて、
「これが漬物だったら少し塩辛いな」
と感じる程度が良いと思っています。
最終的には野菜側に塩分が移るため、それくらいでちょうど良くなります。
塩分濃度計で塩分を計測するなどやっている人もいますが、そこまで神経質になる必要は無いと思います。
とりあえず初心者の人は、塩を多めにして雑菌が発生しにくいぬか床にすると良いでしょう。
野菜は最初から食べやすい大きさに切る
本などを見ると、きゅうりや人参を丸ごと漬けている例があります。
もちろんそれでも構いません。
ただ私は、最初から食べやすいサイズに切ってしまいます。
人参なら、
- 縦に4等分
- さらに5センチ程度にカット
します。
きゅうりも同じく5センチ程度にカットします。
こうしておけば、取り出してすぐ食べられます。
野菜は「杭を打つように」差し込む
切った野菜はぬか床へ差し込みます。
イメージとしては地面に杭を打つ感じです。
ズボズボと差し込んでいき、最後に表面をぬかで軽く覆います。
野菜全体がぬかに触れていれば問題ありません。
24時間ほどで一度味見する
冷蔵庫管理の場合でも、24時間程度で塩味が入り始めます。
まず一本取り出して食べてみる。
まだ浅ければさらに漬ける。
この辺りは経験で調整できます。
なお、ぬか床から野菜を取り出す時に、野菜に付着している糠が勿体ないと思う人もいる。実は以前の私もそうでした。
そのために、野菜表面の糠を指で丁寧に擦ってぬか床に戻していましたが、今はそんなに神経質にはやりません。
適当に指でしごいて糠を落とす程度です。
要するにぬか床の糠は消耗品と考えて、気軽に手入れすれば良いです。
もしぬか床の分量が少なくなってきたら、糠を補充すれば良いのです。
簡単です。
私が実践している「小分けぬか床」
ここからが私なりの工夫です。
例えば人参をカットして一本全部を漬けたとします。
24時間後に全部取り出したとしても、一度には食べきれません。
そこで私は、小さなガラス容器(蓋付き)を使って小分けします。
私のお勧めは下写真の容器です。蓋の周囲にシリコーンゴム製パッキンが付いているので、ぬか床の匂いが冷蔵庫に広がりにくいからです。パッキンは取り外せるので洗い易いです。
ぬか床から取り出した野菜をその小分け容器へ移し、元のぬか床から少量のぬかを一緒に入れます。
完全に埋める必要はありません。
表面にぬかが付着している程度で十分です。
そのまま蓋をして冷蔵庫へ入れます。
これで小さなぬか床が完成します。
小分けぬか床のメリット
この方法にはいくつものメリットがあります。
まず保存性です。
表面にぬかが付いているため、乳酸菌環境が維持されます。
そのため1~2週間程度なら問題なく保存できます。
また、大きなぬか床に入れっぱなしの場合のように、どんどん塩辛くなっていくこともありません。
小さなぬか床では塩分移行が穏やかになるため、食べ頃の状態を長く維持できます。
私はこの方法をかなり気に入っています。
小分け容器のぬか漬けを食べきったら、小分け容器内に残っているぬか床はどうするか?
私の場合は廃棄しています。
当初はホーロー容器のぬか床に戻す事も考えましたが、後述するようにぬか床は新陳代謝も必要なので古いぬか床は廃棄するようにしています。
冷蔵庫ぬか床でも白い膜は出る
冷蔵庫管理だからといって完全放置できるわけではありません。
私の経験では、
- 1週間程度混ぜないと表面に白い膜が出始める
- 2週間程度放置するとかなり広範囲に広がる
ことがあります。
初めて見ると、多くの人は
「カビが生えた」
と思って慌てます。
しかし実際には、それは産膜酵母(さんまくこうぼ)である場合が非常に多いです。
産膜酵母とカビの違い
産膜酵母は、ぬか床では比較的よく見られる酵母の一種です。
見た目は白カビによく似ています。
しかし慣れてくると違いがわかります。
まず匂いです。
正常なぬか床なら、
- 発酵臭
- ぬか独特の香り
- 乳酸菌の酸味
が感じられます。
一方、腐敗している場合は明らかに異臭があります。
また本当のカビの場合、
- 青色
- 緑色
- 黒色
などが見られることもあります。
そういう場合は注意が必要です。
私は産膜酵母をそのまま混ぜている
産膜酵母への対応は人それぞれです。
表面だけ取り除く人もいます。
しかし私は基本的に取り除きません。
異臭がなく、正常なぬか床だと判断できれば、そのまま全体に混ぜ込んでしまいます。
これで特に問題が起きたことはありません。
初心者の方も、白い膜を見ただけで慌てて全部捨てる必要はないと思います。
まず匂いを確認することです。
ぬか床の扱い方
混ぜる時は流し台の中で行う
ぬか床を混ぜると、多少はこぼれます。
そこで私は最初から流し台の中で混ぜています。
容器を流し台の中へ置き、
手を突っ込んで一気にかき混ぜる。
少しくらいこぼれても気にしない。
最後に表面を平らにならす。
これだけです。
冷蔵庫のぬか床は冷たいので、長時間触るのも苦痛です。
だから短時間で終わらせることが大切です。
ぬか床も永久には使わない
ぬか床というと、
「何十年も受け継がれている」
という話があります。
もちろんそれは素晴らしい文化です。
しかし私はそこまで神聖視していません。
私の場合は、混ぜる際に少しこぼれたり、小分けぬか床へ移したりして減った分を、市販のぬかで補充しています。
いわば少しずつ新陳代謝させながら使っています。
ただ、私がぬか床を永久に使わないと考える理由は、それだけではありません。
ぬか床は見た目には綺麗に見えても、長期間使っていると様々なものが少しずつ蓄積していくと考えているからです。
例えば野菜の細かな破片や繊維。
あるいは野菜の表面に残っていた微量の土や汚れ。
野菜は洗ってから漬けますが、それでも完全に何も付着していないとは言い切れません。
農薬についても同様です。
現在の農産物は安全基準の中で流通していますし、通常の洗浄でかなり落とせます。
しかし毎日のように何ヶ月も、あるいは何年も野菜を漬け続ければ、極めて微量であっても何らかの成分がぬか床側へ移行していく可能性はあるでしょう。
実際にどれほど蓄積するのかは分かりません。
しかし私は、
「一生同じぬか床を守り続ける」
という考え方より、
「定期的に新しくしてリセットする」
という考え方の方が気持ち良く続けられます。
ぬか床の新陳代謝を図る幾つかの方法
そのため、小分けぬか床は使い切ったらそのまま処分しています。
また、大きなぬか床についても、減った分は新しいぬかを補充して少しずつ入れ替えています。
さらに別のやり方として、一年に一度、
「今年のぬか床はここまで」
と決めて全部更新してしまう方法も良いと思います。
長年使ったぬか床に感謝して処分し、新しいぬか床でまた一年を始める。
そういう区切りの付け方も気持ちが良いものです。
最近は様々なメーカーのぬか床が販売されています。
更新のたびに、
「今度は別のぬか床を試してみよう」
という楽しみ方もできます。
原料や発酵状態によって風味も微妙に異なりますから、もし味の違いが感じられれば、それもまたぬか漬けの面白さです。
私はぬか床を一生守る対象というよりも、生活を豊かにする道具の一つだと考えています。
だからこそ、必要なら補充し、必要なら更新する。
少しずつ新陳代謝させながら付き合う。
そのくらい気楽な方が、結果として長く続けられるのではないかと思っています。
もし一気にぬか床を交換するとしても、今まで使っていたぬか床を少量だけ残しておき、新しい米ぬかに混ぜれば、そこに住み着いていた乳酸菌や酵母が引き継がれます。
そのため、完全にゼロから始めるよりも発酵が安定しやすく、今まで育ててきたぬか床の風味や個性をある程度継続させることも可能です。
毎年すべてを入れ替える方法と、種ぬかのように一部を引き継ぐ方法。そのどちらを選ぶかも、ぬか漬けの楽しみ方の一つだと思います。
なお、ぬか漬けに使う糠は
のどちらも使える。私は保存性が良い煎り糠を買うことが多い。
水抜きは頻繁にはやらなくても良い
ぬか漬け初心者の人が意外と気にするのが、ぬか床の水分です。
特にきゅうりのような水分の多い野菜を何本も漬けると、野菜から水分が出てきます。
するとぬか床が少し柔らかくなり、初心者の人は不安になります。
ネットや書籍を見ると、
- 水抜き器を使いましょう
- 余分な水分は取り除きましょう
- 水分が多いと腐敗しやすくなります
などと書かれていることもあります。
私もぬか漬けを始めた頃は、ぬか床が少しでも柔らかくなると気になっていました。
「このまま放置すると腐るのではないか」
と思って、専用の水抜き器を使ったこともあります。
しかし現在は、水抜き作業をほとんど行っていません。
私の経験では、冷蔵庫管理のぬか床であれば、多少水っぽくなった程度なら特に問題は起きないからです。
まずは塩を補充してよく混ぜる
野菜をたくさん漬けた後のぬか床は、水分が増えるだけでなく、野菜側へ塩分も移動しています。
そのため私は、ぬか床が少し柔らかくなったと感じたら、まず塩を少量追加します。
そして全体をよくかき混ぜます。
それだけです。
確かに以前より柔らかいぬか床にはなりますが、水が分離してチャプチャプになるような状態でなければ特に問題ありません。
冷蔵庫で管理している限り、その状態でも十分安定しています。
時間が経てば自然に落ち着くことも多い
私が使っているホーロー容器も完全密閉ではありません。
蓋とのわずかな隙間があります。
そのため冷蔵庫で保管している間にも、ごく少量ですが水分は蒸発します。
結果として、漬け込み直後に少し柔らかくなったぬか床も、次に使う頃にはそれほど気にならなくなっていることが多いです。
もしそれでも柔らかさが気になるなら、新しい米ぬかを少量補充すれば簡単に調整できます。
私は基本的にその程度の対応しかしません。
旨味まで捨てている可能性もある
また、ある漬物屋さんの動画で興味深い話を聞いたことがあります。
それは、ぬか床から出てきた水分の中には、野菜や発酵によって生まれた旨味成分も含まれているという考え方です。
つまり水分だけを不要なものとして捨ててしまうと、ぬか床の風味まで一緒に捨てている可能性があるということです。
もちろん考え方は人それぞれです。
しかし私はその話を聞いて以来、ますます水抜き作業をしなくなりました。
初心者ほど神経質にならなくてよい
もちろん極端に水が増えている場合は対処が必要でしょう。
しかし冷蔵庫管理のぬか床で、普通に野菜を漬けている範囲なら、水分が少し増えたくらいで慌てる必要はないと思います。
- 塩を補充して混ぜる。
- 必要なら米ぬかを少し足す。
まずはその程度で十分です。
私自身、現在はほとんど水抜き作業をしていませんが、特に問題なくぬか漬けを続けられています。
まとめ

ぬか漬けを始めるなら
完璧を目指さないことが継続のコツです。
ぬか漬けで一番大切なのは、完璧な発酵職人になることではありません。
続けることです。
- 冷蔵庫で管理する。
- 週に一度程度混ぜる。
- 小分けぬか床を活用する。
- 流し台で短時間に作業する。
- ぬか床を神聖視しすぎない。
- もし腐敗などして失敗したらぬか床を総入れ替えすれば良い
そういった工夫をすると、ぬか漬けは意外なほど気軽な日常食になります。
私はこの方法にしてから、ぬか漬けを「管理の大変な発酵食品」ではなく、「毎日の野菜保存システム」として無理なく続けられるようになりました。
(つづく)


























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