【ワレコ電子工作】LM3886で4chパワーアンプ自作【突入電流防止回路】(3)

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写真 道頓堀で串カツを食べた後、日本橋へ電子パーツを買いに行く人たち

さて、カーオーディオ用に自作しているLM3886使用4chパワーアンプであるが、詳細は以下の記事を参考にして頂きたい。

【ワレコ電子工作】LM3886で4chパワーアンプ自作【カーオーディオ】(2)
写真 自作LM3886パワーアンプで音楽を聴くカーオーディオマニア女子か!? 当記事は、ワテのハイゼットカーゴデラックスに取り付ける予定の自作オーディオシステム製作プロジェクトの第二回目記事だ。 そのオーディオシステムの構想としては...

パワーアンプの電源はポータブル充電器を車に搭載してそこからAC100Vで取る予定だ。

従ってパワーアンプには電源トランスを搭載して、普通のホーム用パワーアンプと同じような電源回路を製作する。

当記事では、電源回路に付ける予定の突入電流防止回路(ラッシュカレント防止回路)の製作過程を紹介したい。

では、本題に入ろう。

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LM3886 x 4chパワーアンプの電源回路

タカチのアルミサッシケース OS49-26-23BBと言う小型のシャーシに四台のLM3886アンプ基板を搭載するので、電源回路も電流を沢山消費する。

電源トランスは、ジャンクアンプから取り出したトロイダルトランス(22-0-22、3.6A)と言うわりと大き目のトランスを使う。

整流回路に使う電解コンデンサは、秋月で買った日本ケミコン50V3300uFを正負それぞれ四個ずつ並列で使う事にした。正負それぞれ13,200uFの静電容量になるので、電源スイッチONした場合の突入電流も沢山流れる。

何アンペアくらい流れるのかは分からないが、念のために突入電流防止回路を入れてみる事にした。

突入電流防止回路が無い場合

突入電流防止回路が無い場合の電源回路をLTspiceのエディタで描いてみた。

図 ブリッジ回路と電解コンデンサだけの電源回路

上図のようにブリッジ整流回路と電解コンデンサを組み合わせた電源回路をLTspiceでシミュレーションしてみた。

電源トランスのL1, L2, L3の各コイルの直流抵抗は実測した値を入れている(図では非表示)。

一方、各コイルのインダクタンスは計測器具を持っていないので、勝手に適当な値を使っているが根拠は無いw

あかんがな。まあいいか。

ネット検索すると世間で良く使われている豊澄電源機器の電源トランスHT121やHT241のインダクタンスを実測している人がいた。

LCRメータでトランスモデルを作る

その値を見るとHT241の場合では、二次インダクタンス実測値は100.02mHと言う事だ。なのでまあ数十とか数百mHくらいの値を使えば良いかなあと思ったのだが。

ダイオードはLTspice標準ライブラリに有ったやつの中から適当に選んだ。

まあ要するに、殆ど全て適当に決めたパラメータやパーツを使ったシミュレーションなので、以下のシミュレーション結果もそれほど厳密では無い事は言うまでも無い。

大体の傾向が把握できればいいと言う感じ。

突入電流をLTspiceシミュレーションしてみる

突入電流防止回路が無い場合のシミュレーション結果を示す。

下図で緑色波形はL2の上側(D2の入力アノード側)の電圧信号だ。

上図の青色、赤色波形は電解コンデンサを通した後の電圧信号。実機では ±35Vを想定しているが大体それくらいの値になるようにトランスのインダクタンスなどを調整した。

さてその時の突入電流の値であるが、ダイオードD2を流れる電流は以下の通り。

下図はもう少し時間スケールを広げた場合。

 

まあ、兎に角、電源オンした直後には70アンペアくらいの突入電流(rush current ラッシュカレント)がダイオードを流れると言うシミュレーション結果になった。

そんな電流に耐えられるダイオードはかなり大型になるし、長期間使って何度も電源を入り切りしているとダイオードが壊れる心配もある。

と言う事で突入電流防止回路を作ってみた。と言うか、突入電流防止回路を勉強する為に作ったと言うのが正しい。

突入電流防止回路を追加したブリッジ整流回路のシミュレーション

まあ、ネット検索などして参考となる回路を使って自分で設計してみたのが以下の回路だ。

電源ON直後は電流制限用に入れた抵抗があるので突入電流を防止できる。

数秒後にリレーがONして抵抗をパスする。

図 リレーを使って突入電流防止回路を構成した例(これを作った)

リレーは手持ちに有ったOMRON G5C-1 24DCVのタイプを使う予定だ。

LTspiceでリレーのモデルがあるのかどうか知らないが、ワテの場合にはSwitchのモデルを使ってリレーモドキのデバイスを作ってみた。VT=20に設定しているので20V以上でスイッチはON(導通)する。

リレーコイルの一端はDC24V電源に接続し、もう一端は2SC1815のコレクタに接続する(下図)。

タイマーIC555を使ったワンショット回路でリレーを制御

電源ONした数秒後にタイマーIC555のOUT出力が12Vから0に変わる。

その信号を利用してDC24Vリレーを駆動する事にした。

図 NE555を使ったワンショット回路

NE555はデータシートによると、Supply voltage(VCC)の最大は18Vだ。もし18Vで駆動したとしてもOUT出力は18Vから0Vへ変化する事になり、その信号で直接DC24Vリレーを駆動する事が出来ない。

そこでNE555はDC12V、オムロンリレーはDC24Vでそれぞれ駆動する事にしたのだ。

そして、PNPとNPNトランジスタを二個使ってインバーテッドダーリントンのようなヘンテコな組み合わせでDC24Vリレーを駆動する回路を作ってみた。

まあ一応動いているからこれで行く事にする。もっとスマートな手法があるかも知れないが、自称電子回路初心者のワテなので、良く分からない。

下図は、2SC1815のコレクタ電位(図中2SC1815-Cポート)を示す。

図 2SC1815のコレクタ電位(図中2SC1815-Cポート)

シミュレーションでは、約1.65秒後にリレーがONする。

ディレイ時間は t(秒) = 1.1 × R1(MΩ) × C1(μF)

= 1.1 x 0.15 x 10 = ‭1.65‬(秒)

これらの回路や計算は以下のサイトなどを参考にした。

https://ja.wikipedia.org/wiki/555_タイマー

https://oshiete.goo.ne.jp/qa/5980330.html

 

突入電流防止回路がある場合の電流をLTspiceシミュレーションしてみる

早速LTspiceでシミュレーションしてみた。

まずはブリッジダイオードD2の手前(アノード側)の電圧を見てみる。

図 ブリッジダイオードD2アノード側の電圧

整流用の電解コンデンサを通した電圧波形は以下の通り。

図 電解コンデンサの電位

で、肝心の突入電流はどうなったかと言うと以下の通り。

図 ブリッジダイオードD2を流れる電流(突入電流防止回路有り)

突入電流防止回路が無い場合には時刻0の直後に70A程度あった突入電流が、7A程度に収まっている。

また、1.6秒後くらいにリレーがONした時点でも大電流が流れ込むが、それも8A程度になっている。

リレーONのタイミングを2~3秒後くらいに変更すれば、電解コンデンサの充電が進んでリレーON時の電流をもう少し減らせるのかな?

まあ兎に角このシミュレーション結果を信じる限りは、上図の回路を製作すればうまく動く感じ。

と言う事でこの回路を作ってみた。

ちなみにリレーはトランスの一次側に入れたのだが、二次側に入れても良いだろう。

でも二次側だと一次側に比べて電流が大きいので、リレーの最大許容電流値の観点で電流の少ない一次側に入れてみたのだ。この判断で良いのかどうかは未確認。まあ動けばいいやw

NE555を使わずにコンデンサの充電時間を利用したバージョンの検討

なお、タイマーIC555を使わないシンプルなバージョンの突入電流防止回路も一応検討してみた。

例えば下図。

図 タイマーIC555を使わないシンプルな突入電流防止回路案

この場合、V+に現れるAC35Vくらいの交流電圧をD4で半波整流してコンデンサC1を充電する。

R6(100Ω、抵抗値は要検討)とC1で充電時間を調整する。そしてコンデンサが十分に充電されるとD3ツェナーダイオードで24Vを生成してリレーがON。

まあ、こんな回路でも行けるかなとは思う。

あるいは、V+を利用するのでは無くて、二次電圧が16~18VACくらいの小型電源トランスを別途用意しても良いかも。それを整流すれば、丁度24VDCが生成出来るのでR6(100Ω)を使わなくても良いから無駄な消費電力を少し減らせると思う。

でもまあ、今回はNE555を使う方式でやってみた。深い理由は無い。

しいて言えばNE555でワンショットパルスを発生させてみたかっただけと言う感じ。

NE555使用の突入電流防止回路を作成する

突入電流防止回路やDC12V,DC24Vの電源回路を含む全体の回路の構成は以下の通り。

図 突入電流防止回路の回路ブロック

まずトロイダルトランスと電解コンデンサで生成されるDC35Vから日立の24V三端子レギュレーターを使って24Vを生成、これはリレー駆動用。

次にその24Vから東芝の三端子レギュレーターを使って12Vを生成してNE555用の電源とする。

ブレッドボードに実装してみた。

ブレッドボードで突入電流防止回路をテストする

下写真ではブレッドボードを使って突入電流防止回路を実験している。

左側の太いケーブルは、ワテ自作の多出力電源回路から0-20V, 0-15Vを取り出して、直列接続してDC35Vを生成している。それをブレッドボードに入力する(赤と緑)。

写真 木の板に電源用D-SUB15端子、ピンジャックを固定してブレッドボード実験をし易くした自作冶具

使ったリレーはOMRON G5C-1(24VDC)と言うやつだ。

流せる電流は、仕様書によると、以下の通り。

10A 250AC

10A  30VDC

まあAC100Vで使う限りは10Aも流せれば十分かな。

ちなみに、このオムロンのリレーG5C-1(24VDC)は、昔、確かマルツの店頭でジャンク品扱いで、プラスチックレールに100個くらい入って200~300円で売っていたのを買った記憶がある。一個2円w

なので、まだ手持ちに100個近くあるぞ。今後、使い切れるかなw

リレーのコイルには逆起電力(サージ)が発生するので吸収用のダイオードを取り付けた。

リレーで有名なオムロンさんのサイトから引用させて頂くと、

ダイオードは逆耐電圧が回路電圧の10倍以上のもので順方向電流は負荷電流以上のものをご使用ください。
電子回路では回路電圧がそれほど高くない場合、電源電圧の2~3倍程度の逆耐電圧のものでも使用可能です。

引用元 https://www.fa.omron.co.jp/selector/guide/03/

との事なので、24VDC回路なら240V以上の耐圧のダイオードを使えば安心だ。

ここでは、1N4007 (1000V1A)と言うタイプのダイオードを使った。

秋月電子さんなどで売っている汎用ダイオードだ。

アマゾンなどにも売っている。1000V1Aで使えるタフやダイオードだが小型なので自作の電子工作には何かと役に立つ。ワテも常備しているお勧めパーツだ。

突入電流防止回路の実機を半田付けして製作する

製作過程は省略するが、プリント基板の切れ端に横長に製作した。

まずはDC24V回路を作成して動作確認。

次にDC12V回路を作成して動作確認。

次にそれらの電源を使ってNE555とリレーを組み合わせた全体を半田付けして完成。

早速動作確認をしてみた(下写真)。

写真 半田付けが完了した突入電流防止回路を実験している様子

その結果、実機においても期待通りに1.6秒後くらいにリレーがオンして突入電流防止回路が正常に動作している事が確認出来た。

パーツボックスに貯め込んでいたパーツをどんどん使う事にした。

フィルムコンデンサは、左の茶色のがニッセイ、オレンジのやつもニッセイ。どれも数十個で200円くらいで買った怪しいジャンク品だが機能的には問題無いだろう。黄色のやつは確か千石で買ったフィルムコンデンサで、ルビコン製かな。これはジャンク品では無くて珍しく正規品をお店で買ったやつだ。

まあこの曲とRubyconコンデンサの関係は不明だ。

 

白いテープに手書きで電圧など書いておいた。後で見ても分るように。

なお、この白いテープはテプラでラベルを印刷する時に、余分なテープがカットされるがそれを貯めておいたもの。

こんな時に役に立つ。

タカチシャーシへの取り付けは貼り付けボスを利用する事にした。

写真 突入電流防止回路のプリント基板に貼り付けボス(T-600)を二個付けた

ワテが使ったのはタカチさんのこのT-600貼り付けボス。

M3ネジで固定出来る。ネジ穴が台座の中央では無くて端っこに寄っているので上写真のように使えば、台座が基板より外に出っ張らずにコンパクトに収める事が可能だ。

あるいは、ネジ穴が台座中央にあるタイプもある(下写真)。

このタカチASR-6型貼り付けボスの場合には、ネジは専用のタッピングネジ(ビスEM-3、EM-3-6)を使う。

例えばこれ。

まあワテの場合には、ASR-6も時々使うが本来使うべきタッピングネジではなくて普通のM3ネジを無理やり捻じ込んで固定して使う事も出来た。

兎に角、シャーシに穴開けが不要なのでお手軽だ。なので最近のワテは貼り付けボスを良く使う。

ちなみに、コーヒーもBOSS派のワテである。ほんまかいな。

リレーON時の接触抵抗が数十Ωにもなる症状

今回使ったオムロンリレーG5C-1(24VDC)の仕様は以下の通り。

Rated current
8.3 mA
Coil resistance 2,880 Ω
Must operate voltage  75% max. of rated voltage
Must release voltage  10% min. of rated voltage
Contact resistance  30 mΩ max. (Quick-connect terminals type: 100 mΩ max.)
Rated load Resistive load(cosf = 1) 10 A at 250 VAC;
10 A at 30 VDC
  Inductive load(cosf = 0.4,L/R = 7 ms) 3 A at 250 VAC;
3 A at 30 VDC

接触抵抗(Contact resistance)は大きくても100mΩ程度との事だ。

ところが実際に使ってみると、テスターで測定した抵抗値は0~50Ωくらいにころころと変わるのだ。なんだかおかしい。

Flukeのテスターが壊れたのか?そんなはずはないし。

怪しジャンク品のリレーなのでやっぱり故障していたのか?

リレーがONしている時にリレーをツンツン突くと抵抗値が変わる。

ああ、そうか。多分、数アンペアくらいの電流を流す用途のリレーなので、テスターの抵抗測定モードで流れる微弱な電流(どれくらいなのかな?)では、リレー接点表面の酸化膜などが影響して抵抗値が高く出るのかな?

今後、アンプが完成してリレー接点をAC100Vで使えば正常に動作するかな。

本件は、引き続き、注意を払いたい。

まとめ

当記事では、現在ワテが製作中のLM3886を四個使ったパワーアンプの電源回路に付ける予定の突入電流防止回路の設計、シミュレーション、製作を行った。

LTspiceを使って入念にシミュレーションしてから製作したので、実際に作った回路も大きなトラブルも無く正常に動作した。

あとは、この突入電流防止回路をブリッジダイオードと電解コンデンサからなる電源回路に組み合わせれば良い。

ブリッジダイオードは、今回のシミュレーション結果から電流は10A程度流せるものであれば良さそうなので、手持ちにあるダイオードで探す予定だ。

なお、もしリレーが正常に動作しなかった場合には、電流制限抵抗にAC100Vが掛り続ける。

抵抗は75Ωの予定なので、

抵抗で消費される電力は

P=I x V = V/R = 10000/75 = 133W

二個の150Ω20Wのメタルクラッド抵抗を並列接続で75Ωにする予定だが、それでも133Wだと抵抗一個当たり66.5Wだから20Wでは全く足りない。

その結果、抵抗が猛烈に発熱して大変な事故が起こりそう。

と言う事で、安全の為には温度ヒューズを追加して電流制限抵抗が発熱した場合の対策もすべきかなと検討中だ。

まるで電気コタツのような安全機構を付ける感じ。

あるいは電流制限抵抗+リレーと言う方式では無くて、トライアックを使って電流を制限する回路でも良いのかな?その辺りは、今後勉強したい。

 

続編記事はこちら

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