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【ワレコ電子工作】ぺるけ式TRミニワッターPart5(19V版)の放熱器大型化で65度が50度に下がった

この記事は約14分で読めます。
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写真 ヒートシンクを自作した金工女子

先日、一応の完成を見た「ぺるけ式トランジスタミニワッターPart5(19V版)」であるが、完成して数日経つが、日に日に音の躍動感が増すと同時に耳に馴染んできた。

所謂エージングと言うやつかな。

このぺるけ式TRミニワッターPart5(19V版)は、ワテが今まで使っていたRolandの小型アンプSRA-50と入れ替えてワテのPCオーディオシステムのメインアンプにする予定なのだが、唯一の懸案事項が発熱なのだ。

室温プラス40℃くらいの発熱をするのだ。

例えば先日の計測では

室温25℃だと、ヒートシンクは65℃くらいになる。
室温29℃だと、ヒートシンクは69℃くらいになる。

これはかなり熱すぎる。

日常的に使う予定のアンプなので、高くても50℃程度には抑えたい。

当記事では、パワーアンプの発熱問題を解決する為に、自作のヒートシンクを取り付けてみたところ、ヒートシンクの温度を大幅に下げる事が出来たので、その製作過程を紹介したい。

では、本題に入ろう。

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自作のヒートシンク製作プロジェクト

ぺるけさんの解説記事では、トランジスタ式ミニワッターPart5 19V版のヒートシンクに関しては以下の説明がある。

放熱器・・・放熱器は⾃作と市販品の2パターンあります。⾃作では、ホームセンターで普通に売られている2mm厚・30mm幅・90cm⻑のアルミ材を70mmの⻑さに切って(⾯積は20平⽅cm以上)トランジスタの取り付け⽳を開けたものを使いました。

また、基板の取り付けネジが当たらないように、⼀⽅の隅をやすりに当ててナナメにゴシゴシ削ってあります。

市販品は画像のとおりのもので、3mm⾼のスペーサを介して基板から⽴ち上げています。

引用元 http://www.op316.com/tubes/mw/mw-19v-p5.htm

上記事によると、ぺるけさん推奨のヒートシンクは

幅70x高30x2厚
片面の面積 =7x3 = 21平方センチメートル

 

一方、ワテの場合には、もう少し大型のヒートシンクをアルミ平棒で自作した。

幅140x高30x厚5
片面の面積 =14x3=42平方センチメートル

になるので、ぺるけさん推奨のヒートシンクの二倍の表面積にした(下写真)。

写真 ワテ自作の140x30x5tのアルミ平板のヒートシンクが70℃近くになる!

放熱器の表面積をぺるけさん推奨値の二倍にしたにも係わらず、放熱器表面温度が70℃近くになるのは精神衛生上良く無い。

まあこれくらいの温度ではトランジスタは簡単には壊れないとは思うが、すぐ近くにあるルビコン製3300uF電解コンデンサさんなんて表面温度が50℃前後だし、室温が高い場合には60℃近くになる場合もあるので、灼熱地獄のような感じだろう。

それと、位相補正やNFB回路に使ったスチロールコンデンサも熱に弱いらしいし。

そこで、このヒートシンクに改良を加えて、表面温度を下げる工夫をする事にする。

DCファンを取り付ける案は不採用

当初は、小型DCファンを取り付けるなど検討した。

ファンで空冷すると手っ取り早く効率よく冷却できる。

なので、確実に冷却するにはDCファンがお勧めだろう。

 

例えば、良く見かけるこんな感じの普通のヒートシンクがある。

上の製品の仕様は以下の通り。

サイズ: 12mm×66mm×50mm
熱抵抗: 8℃/W

引用元 https://item.rakuten.co.jp/marutsuelec/4786/

 

もう少し大型のヒートシンクの例を以下に示す。

サイズ: 30X138X100mm
表面処理: 黒アルマイト付き
熱抵抗: 約1.9℃/W

このサイズでも熱抵抗は1.9℃/Wなのだ。

 

一方、ファン付きのCPU用ヒートシンクで以下のような形状の製品も良く見かける。

この製品の熱抵抗は以下の通り。

熱抵抗:0.091 ℃/W

引用元 https://www.overclockers.com/spire-thermax-eclipse-ii-heatsink-review/

 

ファンが無い場合にはかなり大型のヒートシンクでも熱抵抗は1℃/W前後だが、ファンが付くと熱抵抗を0.1℃/Wくらいに下げる事が出来るのだ。つまり十分の一以下くらいに出来る。

 

PA用パワーアンプなどに付いている大型ファンだと音が五月蠅いけれど、今回採用予定のファンは小型ファンなので、動作音は殆ど聞こえない。それに最近では静音ファンも多いし。

しかしながら、DCファン取り付け計画は中止した。

理由は、シャーシの加工が面倒なので。

ファンを取り付ける為に、MDFボードで作成したアンプシャーシの天板あるいは側板、リアパネルなどにΦ30程度の穴を開ける必要がある。

まあやれば出来るが、出来ればもう少しスマートな解決方法を採用したい。

アルミ製ヒートシンクの表面積を増やす案

上写真のように、二枚のアルミ平板で自作したヒートシンクの周囲には空きスペースがあるので、その空間を利用してヒートシンクを大型化する案を採用する事にした。

実を言うと、最初に平板ヒートシンクを設置した時に、何となくヒートシンクが小さいのが気になっていたのだ。なので、将来的に大型ヒートシンクに交換する可能性も考えて、スペース的に余裕のあるシャーシを採用したのだ。超慎重派のワテである。

まずは、既存のアルミ平板のヒートシンクを取り外す。

上写真のように、今回は配線は半田付けするのでは無くてコネクタを多用して、完全に分解できる構造にした。

その結果、メンテナンス性が極めて良い。

アルミLアングルをカットして放熱フィンを自作した

さて、ホームセンターで30x15x2tx1000の不等辺アルミLアングル(700円くらい)を購入して、約33ミリくらいにカットした。

上写真のように、アルミ不等辺アングルをカットしたのだが、自宅にも一応は小型の帯鋸を持っているのだが、こんなに沢山のアルミを切断するとアルミの切り屑が飛び散って掃除が面倒なので、ホームセンターで無料の工具を借りて切断した。

高速切断機と言うやつだ。

そのアルミ片を自宅に持ち帰って、接着剤で既存のアルミ平棒ヒートシンクに貼り付けた(下写真)。

写真 アルミ平板に自作放熱フィンをアロンアルフアで貼り付けている途中

で、どうにか完成した自作のアルミフィン付きヒートシンク(下写真)。

上写真のように、アルミフィンはアロンアルフアで貼り付けたのだが、アロンアルフアは衝撃に弱いので、フィンに強い力が加わると、簡単に剥がれてしまう。

例えば、高速切断機で切ったフィンの切り口をヤスリで磨いている最中にも何個かのフィンが剥がれ落ちた。本当は、二液混合のエポキシ系接着剤などのほうが強固に接合出来たかもしれない。

あるいは、本当ならアルミを溶接する機器や技術をマスターしたいのだが。

自作ヒートシンクの表面積

アルミフィン一個のサイズは以下の通り。

33(高さ)x30(長辺)x15(短辺)

なので、表面積は大雑把に計算すると

33x(30+15)x 2 = 2970平方ミリ = 29.7平方センチメートル

これが9枚あるので、

29.7 x 9 = 267.3平方センチメートル

それと、アルミ平板のフィンを貼っていない側の面積(14cmx3cm=42平方センチメートル)を加えて、

自作ヒートシンクの表面積=309.3平方センチメートル(ヒートシンク一台当たり)

ちなみに、

ぺるけさんアルミ平板ヒートシンク表面積 =7㎝ x 3㎝ x2=42平方センチメートル

ワテ自作アルミ平板ヒートシンク表面積=14㎝ x3㎝ x2=84平方センチメートル

である。

なので、ワテ自作のフィン付きヒートシンクは、ぺるけさん推奨ヒートシンクよりも約7.4倍も表面積が大きい。

自作ヒートシンクをアンプに組み込む

さて、完成した自作ヒートシンクをぺるけ式トランジスタミニワッターPart5(19V版)アンプ基板に取り付けた(下写真)。

写真 自作ヒートシンクがいい感じにぺるけ式トランジスタミニワッターPart5(19V版)基板にマッチしている

そして、そのヒートシンク付きアンプ基板を自作シャーシ(MDFボード製)に取り付けた。

写真 ヒートシンク付きアンプ基板を自作シャーシ(MDFボード製)に取り付けた

上写真の左側ヒートシンクの下から二番目のアルミフィンが、ヘッドホンジャックに干渉してしまった。

なので、その部分のアルミフィンは、手で強く押し倒したら、剥がす事が出来た。

まあ、アロンアルフアは衝撃さえ与えなければ強固にくっつくし、必要なら少し力を加えてこんな風に剥がせるので、今回のヒートシンク自作用途には好都合だった。

 

下写真のように、大型ヒートシンクに変身したぺるけ式トランジスタミニワッターPart5(19V版)だ。

写真 迫力ある大型空冷ヒートシンクに変身したぺるけ式トランジスタミニワッターPart5(19V版)

ぺるけ式トランジスタミニワッターPart5(19V版)は、上写真のように大型空冷ヒートシンクを搭載した事で、迫力あるスタイルに変身したのだ。

まるで、マークレビンソン製のパワーアンプみたいに。

No20.5Lの画像

写真 MARK LEVINSON No20.5L

引用元 https://audio-heritage.jp/MARK_LEVINSON/amp/no20_5l.html

MARK LEVINSON No20.5Lは、巨大ヒートシンク版ぺるけ式TRミニワッターPart5(19V版)にそっくりや。

ちょっと違うか。

まあ、

ぺるけ式トランジスタミニワッターPart5(19V版)WAREKO LEVINSONバージョン

と呼ぶ事にしよう。

なんのこっちゃw

自作アルミフィン付きヒートシンクの効果を確かめる

さっそく、ワテのPCオーディオシステムにWAREKO LEVINSONを組み込んだ。

写真 ヒートシンクの温度計測位置は上写真の赤丸の辺り

上写真の赤丸位置に温度センサーを養生テープで貼り付けている。

アルミ平板ヒートシンク表面温度と室温の関係

まずは、初期版のアルミ平板の単純なヒートシンクの温度は以下の通り。

室温 ヒートシンク温度 測定条件
25.1℃ 59.7℃ 天板無し
25.1℃ 60.2℃ 天板無し
29.0℃ 67.0℃ 天板有り(上写真)
29.0℃ 70℃以上 コの字台有り(下写真)

表 ヒートシンクの表面温度(改良前)

上表の計測値は、数日間に渡り何度か計測した。

兎に角、アルミ平板ヒートシンクでは、シャーシ天板無しで開放状態にもかかわらず、平板ヒートシンク表面温度は60℃前後にもなるのだ。

天板(と言っても隙間が多いが)を載せると室温が29℃の日には平板ヒートシンク表面温度は67℃にもなる。

ましてや、通常のワテのPCオーディオシステムに組み込む為に、コの字型の台を被せると(下写真)75℃くらいになったが、あまりに熱いので直ぐにコの字型台は撤去した。

75℃くらいではトランジスタは壊れないとは思うが、他の電子部品、つまり、電解コンデンサ、スチロールコンデンサ、フィルムコンデンサなどにとって、周囲温度が70℃近い環境に常時晒されると言うのは、加速度的に劣化しそうな感じ(ワテの印象)。

高くても55℃くらいには抑えたい。

アルミ平板ヒートシンクにアルミフィン貼り付けバージョンの場合

ではいよいよ、ワテ自作の表面積309平方センチメートルのフィン付きヒートシンクの性能を見てみよう。

室温 ヒートシンク温度 測定条件
27.5℃ 45.8℃ 天板無し
27.7℃ 48.6℃ 天板有り(上写真)
28.9℃ 51.4℃ 天板有り(上写真)
27.9℃ 56.6℃ コの字台有り(下写真)

表 ヒートシンクの表面温度(大型に改良後)

上表のように、天板無しだと46℃程度に下がった。従来は60℃程度だったので、一気に14℃前後下がった事になる。

素晴らしいぞ、WAREKO LEVINSON。

さらに、天板有りでも51.4℃だし、下写真のようにワテのPCオーディオシステムに組み込む為にコの字型の台を被せて上にスピーカーを載せても56.6℃だ。従来なら75℃にもなったのに!

写真 ワテのPCオーディオシステムに組み込んだぺるけ式トランジスタミニワッターPart5(19V版)

と言う事で、ヒートシンク大型化によって発熱の問題はほぼ解決した。

なお、オーラトーン5CとケンウッドS270スピーカーは、最近自作したラッチングリレー式スピーカーセレクターを使ってその日の気分で切り替えている。

写真 モノーラル構成ラジオボタン式ラッチングリレー式スピーカーセレクター

左右独立モノーラル構成と言う画期的なスピーカーセレクターだ。

解説記事はこちら↴

【ワレコの電子工作】ラッチングリレー式スピーカーセレクター自作【モノラル仕様】
写真 スピーカーセレクターを自作予定の猫さん またヘンテコな物を作った。 先日無事に完成した「ぺるけ式トランジスタミニワッターPart5(19V版)」は、その後、ワテのPCオーディオ環境に組み込んで、ほぼ毎晩ラジコの音声を再生している。 ス...

 

ちなみに、秋月で買ったやっすいデジタル温度計は便利だ。

写真 秋月で買ったデジタル温度計でヒートシンク温度を計測している例

ネット通販でも似た様なやつは多数売っている。

一個300~400円程度なので、数個買っておくとアンプの温度を計測するだけでなく、車やバイクのエンジンの温度計測など、いろんな用途に使える。

一個当たりの値段が安いので、部品感覚で使えばそのまま組み込んでしまっても良いだろう。

ただし一つ気になる点は、電源スイッチが付いていないので、電源を切るにはボタン型電池を取り外すしかない。

まあ消費電力は少ないように思えるので、電池を入れっぱなしでも一年くらいは持つと思うのだが、でもやはり使わない時にはスイッチOFF出来るほうが良いのだが。

貧乏性のワテであるw

まとめ

当記事では、先日自作したぺるけ式トランジスタミニワッターPart5(19V版)の発熱によってヒートシンクが猛烈に高温になる問題の対策を施した過程を紹介した。

具体的には、従来はアルミ平板の単純なヒートシンクだったのだが、その表面積を増やす為にホームセンターで買って来た不等辺Lアルミアングル(30x15x2t)1メートルを33ミリに多数カットして、貼り付けた。

その結果、片チャンネル当たりのヒートシンク表面積は、アルミ平板ヒートシンク方式は84平方センチメートルだったが、多数アルミフィン付きヒートシンク方式では309平方センチメートルに増えた。

その効果は絶大で、天板を載せても50℃程度、PCオーディオ環境に組み込む為にコの字型のカバーを被せても56℃前後に抑える事が出来た。改良前なら70℃を超える温度だったのに。

出来れば、コの字型のカバーを被せても50℃以下くらいに抑えられれば理想的なのだが、それは今後の課題にしておこう。

と言う事で、ぺるけ式トランジスタミニワッターPart5(19V版)をワテのPCオーディオシステムに組み込む事に関して、発熱問題と言う懸案事項はほぼ解決した。

近日中にワテのPCオーディオシステムへ組み込みたい。

ワテと同じく、このぺるけ式トランジスタミニワッターPart5(19V版)を既に自作している人で、ヒートシンクの発熱が気になる人は、ワテみたいにヒートシンクにフィンを増設すると良いだろう。

例えばこんなやつを買って貼り付ければ良い。

あるいは、ワテみたいにLアングルで自作するのも良いだろう。

 

ぺるけ式トランジスタミニワッターPart5(19V版)は、手持ちのジャンク電子部品や、今回新たに入手したやっすいスイッチング電源などを使って製作したので費用総額で五千円も掛からずに完成した。

別の記事で紹介しているように、プリント基板設計の無料ソフトKiCADを使って専用基板を作成したので、基板設計には30時間ほど掛かったが、基板にパーツを半田付けする作業などは半日も有れば十分に足りる。

それに、配線間違いも無いので、泥沼に嵌る事無く短時間でアンプを完成させる事が出来た。

余った基板をどうするか?

さて、ぺるけ式TRミニワッターPart5(19V版)用にKiCADで設計して中国PCBWayさんで製造して貰った専用基板であるが、10枚作った基板は9枚が残っている。

写真 ぺるけ式TRミニワッターPart5(19V版)専用基板(KiCADで設計、PCBWayで製造)

自分用に同じアンプを作るとしても、せいぜいあと一台くらいだ。

あるいは基板を二枚使ってBTL化するなどの案もあるのだが、それでも2枚しか使わない。

残り数枚の基板を手元に置いていても無駄だし。

でも販売するなどの選択肢は今のところ考えていない。

何故なら、ぺるけさん設計のものを勝手に販売する訳には行かないし、誤配線チェック、不良品のチェック、サポートなど面倒だし。

欲しい人に無料で差し上げると言う選択肢もあるのだが、匿名でブログを運用しているので、基板を発送するとしても匿名で送りたいが、なんだか面倒な感じ。

どうにかしたい。

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この記事には読者の方からコメントが 2件あります。
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コメント

  1. sue より:

    いつも楽しく拝見させていただいています。
    一つ気になった点があり、コメントさせていただきます。
    アロンアルファでフィンを固定されているそうですが、
    耐熱性は80℃と低く、継続的に熱がかかる部分の接着には向かないそうです。
    ネジとナットで固定か、熱伝導両面テープに変更された方がいいのでは?

    ttp://www.aronalpha.com/qa/
    Q どれくらいの温度まで耐えられる?

    • wareko より:

      sue様
      この度は、小生の記事にコメントありがとうございました。
      さて、ご指摘のアロンアルフアの耐熱温度は80℃の件ですが、私もアロンアルフアを使う前に耐熱温度を調べてみました。
      その結果、80℃だったのでアロンアルフアで貼ると将来的には剥がれる可能性があるかなと思っています。
      でもまあ身近に有ったアロンアルフアを使って手っ取り早くヒートシンクを作りたかったので貼りました。
      剥がれるかどうかの実験も兼ねてアロンアルフアを使ったと言う感じです。
      もし剥がれた場合には、sue様ご指摘のネジとナットや熱伝導両面テープなどでやり直す予定です。
      では、また何か良い話題など有りましたらお教え頂けると嬉しいです。