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【ワレコの電子工作】昔作った金田式DCパワーアンプをレストア③【±20V大電流安定化電源基板PCBWayから到着し無事完成】

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ワレコ
ワレコ

今年の夏は鰻を食べたい。

さて一ヶ月ほど前から開始した「昔作った金田式A級30W DCパワーアンプをA級15Wへ改造レストアプロジェクト」であるが、前回までで電圧増幅段に使う±50V定電圧電源基板は1枚完成している。

その後、出力段に使う±20V大電流安定化電源基板もKiCadで設計してPCBWayさんに発注していたが、その基板が先日到着した。

当記事では、

  • ±50V定電圧電源基板の2枚目製作
  • ±20V大電流定電圧電源基板の1枚目製作

の過程を紹介したい。

結論としては、多少のトラブルは有ったが順調に進んでいる。

前回記事はこちら⤵

【ワレコの電子工作】昔作った金田式DCパワーアンプをレストア②【±50V電源基板PCBWayから到着し完成、±20V電源基板設計し発注】
ワレコ 今年の夏は暑くなるのか? ワテが2000年代初頭に自作した「金田式A級30W DCパワーアンプ」をレストアすると同時にA級15Wへ改造するプロジェクトであるが、KiCadで設計してPCBWayさんに発注していた専用プリント基板が到着...

では、本題に入ろう。

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±50V安定化電源基板2枚目を解体した

PCBWayさんから到着した±20V大電流安定化電源基板を使って電源回路を製作する前に、±50V安定化電源の2枚目を製作する。

当プロジェクトは過去にモノラル構成で製作したパワーアンプをレストア改造しているので、±50V電源基板も±20V電源基板も各2枚製作する。

前回までで1台目のパワーアンプを解体して使える部品は再利用して±50V電源の1枚目は無事に完成したのだ。

さて、下写真のモノラル構成の2台目のパワーアンプの±50V電源基板を解体する。

写真 過去に製作した金田式風A級30W DCパワーアンプ(2台目)

下写真のように±50V安定化電源基板を取り出した。

写真 ±50V安定化電源基板(2枚目)を取り出した

電動ポンプ式のハンダ除去ツールを使って電子部品を取り外す。

写真 自動ハンダ除去ツールの温度設定を450-500℃に設定した

下写真が解体前の±50V安定化電源基板だ。

写真 解体前の±50V安定化電源基板

上写真のように銅線を数本撚って配線する金田式の作法に従って製作したので、太い配線にハンダが沢山付いている。

これを解体するには自動ハンダ除去ツールは必須だ。銅網線や手動式のスッポンでは作業性が悪いので。

自動ハンダ除去ツールを使うと、サクサクと順調に作業が進むので十分も作業すれば下写真のように面白いように部品が外せる。

写真 トランジスタやコパル半固定抵抗などを取り外した

という事で、下写真のように全てのパーツを無事に取り外すことが出来た。

写真 ±50V電源基板(2枚目)の全てのパーツを無事に取り外した

作業時間は三十分くらいかな。

やっぱり電動ポンプ式の自動ハンダ除去ツールは買って良かった。

と言うか、もっと早く買っておけば良かった。

±50V安定化電源基板2枚目を半田付け完了

解体して回収したパーツを使って±50V安定化電源基板(2枚目)を製作する。

既に1枚目の基板は完成しているので、KiCadで設計したこの基板には配線間違いは無い事が分かっているので、2枚目の作業は順調に進んだ。

写真 ±50V安定化電源基板(2枚目)の製作途中の様子

回収したバーツは故障している可能性もあるので、取り付ける前に必ず計測して正常かどうか確認する習慣を付けている。

下写真はツェナーダイオードの逆方向電圧を計測している様子を示す。

写真 ツェナーダイオード RD13A のツェナー電圧を計測中(13.367Vと計測)

スルーホール基板の部品面から半田付けするテクニック

両面スルーホール基板に抵抗、ダイオードなどのリード型部品を半田付けする場合、通常は基板裏側(=ハンダ面)から半田付けするのが一般的だろう。

ワテも従来はそうしていたのだが、最近は部品面から半田付けする事が多い。

例えば下写真では RD11Aというシルク文字の場所にツェナーダイオードRD13Aを半田付けする前の状態だ。

写真 RD13Aを半田付けする前

RD13Aを半田付けした理由はこの部分はRD11AとRD9Aと言う二つのツェナーダイオードが直列で接続されている。

ワテの手持ちにはそれらのツェナーダイオードが無かったのでRD13Aと7Vのツェナーダイオードを直列にして20Vを作ることにしたので。

さて、そのツェナーダイオードを部品面から半田付けしたのが下写真だ。

写真 部品面から半田付けしたツェナーダイオード

部品面から半田付けするメリットとしては、基板を裏返す必要が無いので作業効率が良い。

もし基板を裏返して半田面から半田付けをする場合には、リード型部品が基板から抜け落ちないようにマスキングテープなどで固定する必要がある。

部品面から半田付けすればそう言う手間が掛からないのだ。

という事で、サクサクと作業が進んで下写真左のように2枚目の±50V安定化電源がほぼ完成した。

写真 2枚目の±50V安定化電源がほぼ完成(左)

上写真右は既に完成している1枚目の±50V安定化電源基板だ。

左側が今回作成した2枚目の±50V安定化電源基板。

3.9KΩの抵抗が2個足りなかったのでそれらはまだ半田付けしていない。

で、ここは妥協して下写真の普通のリード型抵抗3.9KΩを付けて2枚目の±50V安定化電源基板を完成させることにした。

写真 サンハヤトのリードベンダーは電子工作に必須

でも本当は上写真のような普通のリード型抵抗を使うと金田式の雰囲気を壊すのであまり使いたく無いが。

まあ、どんな抵抗を使ってもアンプの音なんて全く変わりゃしないが。

でもオーディオ機器は見た目は重要だ。中身よりも外見。

でも無いものは仕方ないので、ここは妥協してリード型抵抗を使った。

下写真は完成した±50V安定化電源基板(2枚目)の動作確認の様子だ。

写真 完成した±50V安定化電源基板(2枚目)の動作確認の様子

下写真のように無事に電圧増幅段用の2台の±50V安定化電源基板が完成した。

写真 無事に電圧増幅段用の2台の±50V安定化電源基板が完成

なお、妥協して付けた3.9KΩリード型抵抗は、この後でニッコームの茶色の金属板抵抗3.9KΩに交換した。

それは手持ちには新品が無かったが、この後で解体するA級30W用の±25V大電流安定化電源基板でニッコーム3.9KΩを使っていたので。

A級15Wの±20V大電流安定化電源では3.9KΩの部分は2.7KΩに変わるので、3.9KΩが余るのだ。

という訳でリード型3.9KΩは外してニッコーム3.9KΩを付けた。

これで2台の±50V安定化電源基板は完璧に金田式風に仕上がったw

変なことにこだわるワテである。

DIY界の粘着質気質と呼ばれているワテである。

±20V大電流安定化電源基板PCBWay到着

さて、そうこうしているうちにFedexで品物が届いた。

先日KiCadで設計してPCBWayさんに発注していた±20V大電流安定化電源用の専用プリント基板とブリッジ整流回路用基板だ。

写真 Fedexで届いたPCBWayさんの小包

前回の±50V電源基板はガーバーデータをPCBWayさんにアップロードして6日で自宅に基板が到着したが、今回の±20V基板も一週間程度で自宅に到着した。速いわ。

写真 Fedexで届いたPCBWayさんの小包

上写真のように多少箱が凹んでいるが中身はプリント基板なので全く問題無い。

箱を開封すると下写真のようにクッション材が入っている。

写真 クッション材に包まれたプリント基板が入っている

下写真が今回PCBWayさんに発注していた二種類のプリント基板だ。

写真 ブリッジ整流回路基板(左)、±20V大電流安定化電源基板(右)

今回も黄色レジストに白色シクル文字を指定した。

その結果、完成したアンプの見た目が金田式純正風になるのでPCBWayさんの黄色レジスト基板はお勧めだ。

下写真がブリッジ整流回路に使う基板だ。

写真 ブリッジ整流回路基板(表と裏)

これらの基板の仕様をまとめると以下の通り。

基板厚さ 1.6mm
レイヤー 2層(=両面スルーホール)
銅箔厚み 35μm
表面処理 HASL with lead(=有鉛ハンダメッキ仕上げ)
レジスト 黄色
シルク文字 白色

表 ±20V大電流安定化電源基板、ブリッジ整流回路基板(共にPCBWay製)の仕様

旧±25V大電流安定化電源基板(1枚目)の解体完了

下写真は解体前のA級30Wパワーアンプの出力段用の±25V大電流安定化電源基板だ。

写真 解体前のA級30Wパワーアンプの出力段用の±25V大電流安定化電源基板

正確に言うと、使った電源トランスの電圧が少し足らなかったので、コパル半固定抵抗を最大に回しても出力電圧は±23Vくらいだった。なのでA級30Wではなくて25Wくらいだったと思う。

今回の改造レストアではそれをA級15Wに改造するので、±20V大電流安定化電源基板を製作するのだ。

下写真のように解体前のA級30Wパワーアンプの出力段用の±25V大電流安定化電源基板を取り出した。

写真 解体前のA級30Wパワーアンプの出力段用の±25V大電流安定化電源基板

出力部分に470Ω/5Wセメント抵抗を付けているが雑誌記事では470Ω/2Wが指定されていた。でもこの抵抗はかなり発熱したので5Wのセメント抵抗に変更した記憶がある。

上写真の基板もサンハヤトのユニバーサル基板に銅線を数本撚って作成している。

その当時(今から20年くらい前)は、ワテも無線と実験を偶に購読していたので、雑誌に掲載されていた金田先生の製作方法に従ってなるべく忠実に自作した記憶がある。

だたし、ダイエイ電線の配線の向きとかも指定されていた記憶があるが、ワテの場合はそれは真似しなかった。電線の向きがオーディオの音に影響するとは到底信じられないので。

まあ、信じるのがオーディオだと言う意見も理解出来るが。

さて、オーディオのオカルト論争に発展するとややこしいのでこの話題はこれくらいにして、作業を進める。

 

基板を解体するに当たり、電動ポンプ式の自動ハンダ除去ツールのノズルの部分を清掃した。

下写真のように付属の針金をノズルの先端から差し込むのだ。

写真 ハンダ除去ツールの温度を高めにセットしておいて針金を挿す

金属製のノズルの部分は半田が詰まると吸い込み能力が低下する。あるいは半田が詰まってしまって全く吸わなくなる事もある。

そう言う場合には、ハンダ除去ツールの温度設定を最大温度に設定しておいて、上写真のようにノズル先端から付属の針金を奥まで抜き差ししてノズルの内部に詰まっている半田や銅線クズなどを除去するのだ。

このノズル清掃作業を行うと、吸い込み能力が復活するので気持ちいいくらいに半田が吸い取れる。

下写真のように三十分も作業したら、簡単に全ての部品を除去することが出来た。

写真 三十分も掛からずに±25V大電流安定化電源基板(1枚目)の解体完了

±20V大電流安定化電源基板1枚目半田付けした

解体して回収した部品を使って金田式A級15Wパワーアンプ用の±20V大電流安定化電源(1枚目)を製作する。

写真 解体して回収した部品を使って±20V大電流安定化電源(1枚目)を半田付け

下写真のようにまずは抵抗を半田付けした。

写真 まずは抵抗を半田付けした(±20V大電流安定化電源1枚目)

下写真は 0.22Ω/2W を2本並列接続して 0.11Ω にする部分だが、基板の表裏に抵抗を半田付け出来るようにプリント基板のランドを配置しておいた。

写真 見た目を重視して抵抗を裏面に配置する工夫をした

その結果、裏面の抵抗は見えないので基板表面の見た目がスッキリするのだ。

表配線と裏配線という感じか。

いや、表部品と裏部品かな。

つまりまあ茶道の世界の表千家と裏千家みたいなもんか。

なんのこっちゃw

下写真のように抵抗の半田付けが完了した。

写真 抵抗の半田付けが完了した

次はトランジスタやオペアンプなどを半田付けする。

写真 トランジスタやオペアンプの半田付けランドも分かり易く配置している

下写真は解体して回収したトランジスタだ。

トランジスタの足を無理やり広げてサンハヤトのユニバーサル基板の4mmピッチの穴に挿し込んでいたので、下写真左のようにトランジスタの足がいびつに曲がっている。

写真 回収した直後のトランジスタ(左)と足を真っ直ぐに修正したトランジスタ(右)

その足をラジオペンチで真っ直ぐに伸ばした(上写真右)。

KiCadで設計した専用基板はこれらのTO-92型のトランジスタのフットプリントを配置しているので、足を無理に曲げたりせずに下写真のように自然な状態でトランジスタを半田付け出来るのだ。

写真 回収したトランジスタを再利用する(2SC1775/2SA872)

下写真は同じく回収したオペアンプ(NEC C55A)、コパル半固定抵抗2KΩなどだ。

写真 回収したオペアンプ(NEC C55A)、コパル半固定抵抗2KΩも再利用する

ちなみにこのオペアンプ(NEC C55A)はμA709オペアンプの互換品だ。

どこで買ったのか覚えていない。確か秋葉原のお店かな。

メタルカンの8ピンオペアンプも下写真のように円周上に配置した8個のランドに自然に差し込む事が出来るのだ。このあたりが専用基板を設計するメリットの一つと言えるだろう。

写真 メタルカンの8ピンオペアンプの8個の半田付けランドの例

この後、オペアンプは半田付けした。

下写真は回収したタンタルコンデンサ(NEC 35V/22μ)の容量を測定している様子を示す。

写真 回収したタンタルコンデンサ(NEC 35V/22μ)の容量を測定

その結果、上写真右のように22.3μFと計測されたので、壊れてはいないようだ。

回収した四つのタンタルコンデンサは再利用する。

写真 回収した四つのタンタルコンデンサは再利用する

雑誌の製作記事ではこのタンタルコンデンサは35V/47μFが指定されている。

ワテの場合は手持ちの35V/22μFを二個並列で使って35V/44μFにしている。

この場合も、見た目を重視するために、下写真左のように基板の表裏にタンタルコンデンサを半田付けしている。

写真 見た目を重視するためにタンタルコンデンサを基板表裏に付ける工夫

そのために、上写真右のようにタンタルコンデンサの半田付けランドは二個取り付けられるように工夫しているのだ。完璧な設計だ!

裏千家方式ではなくて、裏部品半田付け方式の例を下写真に示す。

写真 基板裏側に抵抗、マイカコンデンサ、タンタルコンデンサを半田付け

このワテ流の裏部品方式は、基板の見た目を良くすることが出来るのでお勧めだ。

下写真はXH6コネクタを半田付けする前の写真だ。

写真 XH6コネクタを半田付けする前

この±20V大電流安定化電源基板は、DC検出回路とSN7400を使ったロジック回路と組み合わせる事で、アンプ出力にDCが検出されると電源出力を遮断する保護回路が組み込まれている。

このXH6コネクタはSN7400ロジック回路と接続する為のものだ。

雑誌のオリジナル製作例では、SN7400ロジック回路もこの±20V大電流安定化電源基板の上に詰め込んであるのだが、やれば出来るが見た目が悪くなるのでワテの場合は見た目を重視してSN7400ロジック部は別基板に分離する事にした。

という訳で、サクサクと半田付け作業をやったら一時間ほどで半田付けが完了した(下写真)。

写真 左上下:±50V安定化電源(動作確認済)、右:±20V大電流安定化電源(TO-3取り付け前)

残る作業はこの±20V大電流安定化電源基板とTO-3型パワートランジスタとの配線だ。

TO-3型パワートランジスタと基板を配線する

±20V大電流安定化電源に使うTO-3型パワートランジスタは雑誌記事ではNECのやつが指定されているが、ワテの場合はそんなやつは入手出来なかったのでON Semiconductor社のやつで代替している(下表)。

  NPN PNP
雑誌指定 2SD287(NEC) 2SB539(NEC)
代替トランジスタ MJ802(ONセミ) MJ4502(ONセミ)

表 ±20V大電流安定化電源に使うTO-3型パワートランジスタ代替品

ちなみにこのTO-3パワートランジスタをダーリントン駆動するトランジスタもオリジナル品が入手出来なかったので適当に代替品を使っている(下表)。

  NPN PNP
雑誌指定 2SC1124_EBC(SONY) 2SA566(日立)
代替トランジスタ 2SC4793_BCE(東芝) 2SA1837_BCE(東芝)

表 ±20V大電流安定化電源に使うトランジスタ代替品

なお、前々回記事でも書いたが、これらの代替トランジスタの選定はワテが適当に選んだやつなので、その選定が妥当かどうかは全く分からない。

ワテが代替トランジスタを選定する基準と言えば、データシートの絶対最大定格の以下の項目を比べる程度だ。

コレクタ・エミッタ間電圧 VCEO
コレクタ電流 (DC) IC
コレクタ損失 PC

これらの数値が大体同じくらいならOKかなと言う判断なので、その妥当性は不明だ。

こんな代替トランジスタを使うと、純正金田式とは到底言えないが。

まあ、そんな事は気にせずに製作を続けよう。

電子工作は完成させて活用する事に意味がある。

下写真のようにタカチのHY型シャーシのヒートシンク部にはアルミLアングルをM3ネジ固定していて、TO-3型トランジスタ取り付け穴を開けている。

写真 タカチHY型シャーシヒートシンクにアルミLアングルを介してTO-3型トランジスタ取り付ける

ワテの場合はシリコングリスは手に付くと気持ち悪いので使わない。その代わりに下写真のようにアルミLアングルにはTO-3用熱伝導ラバーシートを載せる。

写真 TO-3用熱伝導ラバーシートを載せてパワートランジスタをネジ固定した

下写真のように二枚の電源基板もタカチシャーシ側面のヒートシンクに固定した。

写真 二枚の電源基板もタカチシャーシ側面のヒートシンクに固定

基板とパワートランジスタの配線は0.5SQのMOGAMIの電線を使った。

写真 MOGAMI 2514 NEGLEX OFC 0.5sq ケーブルで配線する

このMOGAMI 2514 NEGLEX OFC(無酸素銅) 0.5sq ケーブルはどこで買ったのか忘れた。上写真右のように被覆を剥くと銅線の綺麗な光沢があり、いかにもいい音が出そうな雰囲気だ。

ほんまかいなw

電線なんてどれでも同じだと思うが。でもやはりオーディオは見た目が重要だ。無酸素銅線で配線すれば一切の曇りの無いピュアな音が出る。そう信じるのだ!

MOGAMI 2514 NEGLEX OFCケーブルは被覆が硬めで、カッターで切り込みを入れると簡単に被覆を剥くことが出来る。また半田ゴテの熱にも強いのでワテはこのモガミのケーブルが気に入っている。

今回使うONセミのTO-3型パワートランジスタの金属ケース部分はコレクタ電極なので、上写真のように丸形圧着端子を使ってM3ネジで固定する。

ニチフ R0.3-3N と言う小型の丸形圧着端子を使ったが、こんな細い圧着端子を圧着出来る工具を持っていないので、半田付けした(下写真左)。

写真 圧着端子は半田付けした(左)、熱収縮チューブは各色買っておけば役立つ(右)

なお、ワテの場合は熱収縮チューブは従来は黒色しか使わなかったのだが、先日秋月さんや共立エレさんでネット通販で部品を購入した時に、上写真右のように各色幾つかのサイズを買ってみた。

ワテが持っている熱収縮チューブは以下の通り。

色 :赤, 黄, 白, 青, 黒, 透明
直径:Φ1.5, 2, 3, 4, 6, 10mm

下写真のようなセットで買うと安いし種類も多いのでお勧めだな。

ワテは熱収縮チューブは黒しか使ったことが無かったが、各色揃えていればケーブルの色に合わせられるのでお勧めだ(下写真)。

写真 ±20V大電流安定化電源基板とTO-3型パワートランジスタを配線中

下写真のように配線を済ませた。

写真 ±50V安定化電源(左)、±20V大電流安定化電源(右)

上写真のように二つの電源ユニットがヒートシンクに一体化出来たので、動作確認もやり易いし、分解組み立てもやり易い。

このようにワテ設計のパワーアンプは抜群のメンテナンス製を実現しているのだ。

なお、±50V安定化電源に使うTO-220型のモールド型トランジスタも上写真のアルミLアングルに開けた穴にM3ネジ固定した(下写真)。

写真 ±50V安定化電源のTO-220型のモールド型トランジスタをアルミLアングルに固定

さて、次は±20V大電流安定化電源の動作確認だ。

±20V大電流安定化電源基板1枚目の+側がおかしい

まずは負側の動作確認をする。

下写真の下段の赤青テストクリップにはワテ所有の高砂電源から入力電圧DC28.6Vが来ている。

写真 ±20V大電流安定化電源基板(1枚目)の負電圧側の動作確認

その結果、タンタルコンデンサの両端で計測している[GND-負側出力]は下写真のように設計通りに -20V 付近が出力されている。

写真 ±20V大電流安定化電源基板(1枚目)の負電圧側は正常動作した

コパル半固定抵抗を回すと -20V を中心に±5Vくらいの範囲で変化させる事も出来た。

素晴らしい。

次に、下写真のように正電圧側を同じくテストしてみた。

写真 ±20V大電流安定化電源基板(1枚目)の正電圧側の動作確認

その結果、下写真のように出力電圧は 6.3V 付近に固定されていて、コパル半固定抵抗を回しても全く変化しない。

写真 ±20V大電流安定化電源基板(1枚目)の正電圧側は異常あり

あかんがな。

行き成りお先真っ暗という感じ。

ここまでは順調だったのに、行き成り奈落の底に落ちた気分だ。

まあここは冷静になって調査する。

まずは、ツェナーダイオードの電圧が正常かどうかテスターで測ってみた。

➡ 正常だった。

次に、トランジスタのVBEを計測してみた(保護回路のトランジスタは省略した)

➡ だいたいどれも0.5~0.6V付近だったので正常だと思われる。

ここまでの調査で、結論としては

➡ 分からんw

で、下写真のようにテスターで出力電圧(タンタルコンデンサの両端)を計測しながら、指で各部品を突いてみたら、ドライバーで指した部分のトランジスタの辺りを触ると出力電圧が20V付近を示したぞ!

写真 正電圧側の3段ダーリントントランジスタの1段目が怪しい?

でも、一瞬だけ20Vくらいの出力電圧を示したがすぐに6V台に戻ってしまった。

それもその一回限りで、再現性は無いが。

一瞬でも20Vを示したという事は、基板には致命的な間違いは無さそうだ。

少しは希望の光りが見えてきたぞ!

そこでこのトランジスタ周りの半田付けを確認してみる(下写真)。

写真 怪しそうな部分を実体顕微鏡で観察したが特に問題は無さそう

上写真のように半田付け不良などは無さそうだったが、念のために該当トランジスタの三本足を再ハンダ付してみた。

➡ 改善せずに出力6V付近のまま。

あかん。

じゃあ、正常動作している負電圧側も動作させながら正電圧側と比較すれば何か分かるかもしれない。

という事で高砂電源を二台使って±30Vを生成して、±20V大電流安定化電源基板に入力する。

写真 高砂電源2台使って±30V生成し、ぺるけ式ワークベンチ経由で±20V大電流安定化電源に入れる

下写真のように赤、緑、青の3つのテストフックで (+30Vdc)-GND-(-30Vdc) を基板に入力している。

写真 正負電源を同時にテスト中

取り敢えず上写真のように歯ブラシで基板を擦って半田クズを飛ばしたり、各パーツに刺激を与えてみたが20Vは出てこない。相変わらず正電圧側は出力が6V固定のままだ。

さっき見たのは幻の20Vだったのか!?

こう言う場合は焦ると余計に泥沼に嵌る。

まずは冷静になって、落ち着く。

次に掃除機を使って作業机や床を掃除した。

下写真のように、さっき指でつついたら一瞬だけ出力に20Vが出たトランジスタのVBEなど計測してみる。

写真 トランジスタのVBEなど計測してみるが0.5V付近なので問題無さそう

その結果、VBEは0.5V付近なので若干低い気がするがまあ問題無さそう。正常動作している負電圧側の該当トランジスタも同じくらいの値だし。

この後、オシロスコープを使って発振の有無など調べてみたが、特に発振などは無さそうだった。

➡ この時点では、原因は全く不明。あかん。

 

さてどうするか?

冷静に考える。

取り付けた抵抗、コンデンサは過去に正常動作したA級30W機から回収したやつなので壊れている可能性は低い。半田付け前にテスターで計測しているので値間違いも無いはず。

➡ 抵抗、コンデンサは問題なし。

 

取り付けたトランジスタは取り付け前に自作hFEテスターで計測して正常動作を確認済。

➡ トランジスタは問題なし。

 

一瞬だけだが出力20Vが出た。

➡ 回路図や基板レイアウトに間違いは無さそう。

 

高砂電源を使って正負電源を同時テストしたが、高砂に流れる電流は正負共に10mA程度の同じ値を示した。

➡ この事実からも回路図や基板レイアウトに間違いは無さそう。

 

という事は、オペアンプ (NEC C55A)が壊れているのか?

➡ 電動ポンプ式ハンダ除去ツールを買ったので取り外すことは出来る。新品のμA709は手持ちに数個あるので交換してみるか?

 

でも、一瞬でも20Vが出たという事はオペアンプの故障の可能性は考えにくい。

さあ、どうするかなあ。

と思いながら、各部品を手で触りながらチェックしていると、原因が判明した!

±20V大電流安定化電源基板1枚目正常動作した

下写真のニッコーム3.9KΩの左側の右足は中央GNDラインに半田付けしているが、この部分が半田付け不良だったのだ。手で触ると足がグラついている。

写真 左側3.9KΩ抵抗の右足がGNDに半田付け不良だった

±20V大電流安定化電源の回路図を以下に示す。

写真 ±20V大電流安定化電源の回路図

10KΩ、2KΩコパル半固定、3.9KΩの3つを直列接続して、半固定抵抗で生成した基準電圧をオペアンプ709のマイナス入力側に入れている。

その3.9KΩがGNDに落ちていなかったので基準電圧は+20V側に張り付いていたようだ。その結果、出力が6V付近で固定されていたようだ。

下写真が半田付け不良の3.9KΩ抵抗(左側)の右足部分。

写真 再利用した抵抗の足が短くて半田付け不要が発生していた

この3.9KΩ抵抗は旧基板を解体して回収したものを再利用した。

その結果、リード線が短くカットされていたので、半田付けの際には注意深く作業したはずなのだが、見落としていたようだ。

そこで、この抵抗の足を部品面から半田付けする(下写真)。

写真 実体顕微鏡で観察しながら抵抗の足を部品面から半田付けする

ワテ自作の実体顕微鏡スタンドはレール吊り下げ式なので上写真のような大型構造物でさえも余裕で観察出来るのだ。

この後、実体顕微鏡を見ながら半田付け不良部分を基板の表側から再ハンダ付けした。

そして、再び動作テストした結果、正常に動いたぞ!

写真 正電圧側も正常動作して20V出力が得られた

下写真のように、正負出力端子の電圧を計測すると、設計通りに40Vが得られた。

写真 無事に出力40V(20V+20V)が得られた

という訳で、一時はお先真っ暗で有ったが、一時間も掛からずに問題が解決した。

写真 ヒートシンク一体型の±50電源と±20V電源

問題は解決してみると呆気ない。

まとめ

ワレコ
ワレコ

電子回路が無事に正常動作すると気分爽快だ!

これもひとえに専用基板のお陰と言っても良いだろう。

当記事は「昔作った金田式A級30W DCパワーアンプをA級15Wへ改造レストアプロジェクト」の三回目だ。

電圧増幅段に使う±50V安定化電源基板は2枚が完成した。

出力段に使う±20V大電流安定化電源は専用基板を設計してPCBWayさんに発注していた。

その基板が到着するまでに旧A級30Wアンプの±25V大電流安定化電源基板を解体して、パーツを再利用する準備を整えていた。

PCBWayさんからは一週間ほどで基板が到着したので、早速半田付けして±20V大電流安定化電源を組み立てた。

その結果、負電源側は正常動作したが正電圧側は6V付近で固定で可変機能が動かない。

冷静に原因を探っていたら、オペアンプの基準電圧生成回路の抵抗の半田付け不良と言う単純な原因で有ることが判明。

半田付けをやり直したら呆気なく解決。

という事で±20V大電流安定化電源基板(1枚目)は無事に完成した。

残る作業はアンプ基板、DC検出回路&SN7400ロジック回路基板のKiCad設計だ。

KiCadでアンプ部の回路図は描いているので、あとはレイアウトエディタを使って基板レイアウトを作成する作業をやれば良い。

それと同時に今回作成した±20V大電流安定化電源基板の2枚目も時間がある時に完成させたい。

そうするとモノラル2台構成で製作するアンプの電源部(2セット)が完成する。

(続く)

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DIYKiCadオーディオ半田付け
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