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【ワレコの電子工作】昔作った金田式DCパワーアンプをレストア②【±50V電源基板PCBWayから到着し完成、±20V電源基板設計し発注】

この記事は約21分で読めます。
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ワレコ
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今年の夏は暑くなるのか?

ワテが2000年代初頭に自作した「金田式A級30W DCパワーアンプ」をレストアすると同時にA級15Wへ改造するプロジェクトであるが、KiCadで設計してPCBWayさんに発注していた専用プリント基板が到着した。

このプロジェクトでは数種類の専用プリント基板を使う予定だ。

具体的には以下の五種類を想定している。

  1. ±50V安定化電源基板(これが到着した)
  2. 大電流±20V安定化電源基板
  3. ブリッジ整流回路基板
  4. パワーアンプ基板
  5. DC検出回路&保護回路基板

今回は全てのプリント基板を設計して一気に発注するのではなくて、数回に分けて発注する予定だ。

その理由は、アンプのシャーシ内に余分の空きスペースが無いので、プリント基板のサイズは出来るだけ小型にする必要がある。

なので、まず小型化しやすい±50V安定化電源基板を最初に設計して発注したのだ。それを組み上げてみて、良ければ次の基板を設計して発注する予定だ。

当記事ではPCBWayさんから届いた±50V安定化電源基板を使って電源部を組み立てる作業を紹介したい。専用基板を使ったおかげで大きなトラブルもなく短時間で完成させることが出来た。

記事後半では、二番目の基板発注作業を紹介する。具体的には大電流±20V安定化電源基板とブリッジ整流回路用の専用基板をKiCad設計して同じくPCBWayさんに発注した。

前回の第一回目記事はこちら⤵

【ワレコの電子工作】昔作った金田式DCパワーアンプをレストア①【±50V電源基板設計しPCBWay発注】
ワレコ最近ぬか漬けを作り始めた。ぬか床を買って来て胡瓜を一晩埋めておけば翌日には自家製ぬか漬けが出来上がる。これが美味い。そんな自作派のワテであるが、このところ時間があれば部屋を整理している。不用品は処分して出来るだけ持ち物を減らす。いわゆ...

では本題に入ろう。

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金田式A級15W DCパワーアンプ用±50V安定化電源基板PCBWayから到着

まずはPCBWayさんから到着した±50V安定化電源用プリント基板を紹介しよう。

写真 Fedexで到着した±50V安定化電源基板の小包

プリント基板製造に必要なGerberデータをPCBWayさんのサイトにアップロードして6日で自宅に到着した。

時系列で言うと以下の通りだ。

2023/6/27 Gerberデータをアップロード
2023/7/3  プリント基板が自宅に届く

通常は一週間から10日くらいで届く事が多いが、6日で届くというのは最速だ。

Fedexの小包を開封すると下写真のようにプリント基板十枚が厳重に真空パックされて梱包材に包まれている。

写真 真空パックされたプリント基板がクッション材に包まれている

上写真のように十枚のプリント基板は厳重に真空パックされているので、輸送中の振動でも互いに擦れる事が無いので、プリント基板表面に傷が付かないのだ。

さっそく真空パックを開封してプリント基板を取り出した。

写真 ±50V安定化電源基板の表裏(PCBWay製) 67mm x 86mm

注意事項としては、上写真右のPCBWayさんのロゴマークはワテがこの基板をPCBWayさんに発注した事をメモする目的で入れている。なのでPCBWayさんに発注すると自動的にこのロゴマークが入る訳では無い。

この基板の仕様は以下の通り。

基板サイズ 67 mm x 86 mm
基板厚さ 1.6mm
レイヤー 2層(=両面スルーホール)
銅箔厚み 35μm
表面処理 HASL with lead(=有鉛ハンダメッキ仕上げ)
レジスト 黄色
シルク文字 白色

表 ±50V安定化電源基板(PCBWay製)の仕様

金田式アンプではサンハヤトの黄色っぽいユニバーサル基板が使われる。

PCBWayさんの黄色レジストを指定すると上写真のように黄色っぽい色合いになり金田式風の雰囲気が出るので今回も黄色を選んでみた。

この仕様で十枚発注して基板製造費用がUS $ 5.00、Fedex送料が US $ 17.64 だ。

合計でUS $ 22.64 なので本日の為替レート144円/US$で計算すると日本円で約3260円だ。

下写真は基板中央のGNDライン付近の拡大だ。

写真 基板中央のGNDライン付近の拡大

上写真に示すように多数のスルーホールが開いている。

発注時に表面処理は「HASL with lead」を指定したが、それは日本語でいうと「有鉛ハンダメッキ仕上げ」になる。

要するに上写真のようにスルーホールの半田付けパッド表面が有鉛ハンダメッキされているのだ。PCBWayさんの場合には、他の選択肢としては無鉛ハンダメッキ、金メッキなども選択出来る。

シルク文字のサイズに関して説明しておこう。

上写真で 620p, Q17, 2SC1811_ECB, 1.5k などの小さな文字は文字高さ1mm、文字幅1mm、線幅0.15mmで指定している。これくらいの極小文字でも綺麗に印字されているのが分かるだろう。

ただし、最近のワテは視力が落ちてきていて1mmの文字は見えづらい。なので100円ショップで買った2.5倍の虫眼鏡を使うこともある。

上写真の虫眼鏡は30倍らしいのだが、買ってみようかなと思っている。

古い金田式A級30W DCパワーアンプの±50V安定化電源基板の解体

下写真に示す古い±50V電源基板を解体して、電子部品を回収して再利用する。

モノラル構成なので同じ基板が二枚あるが、取り敢えず今回は一枚だけを解体する。

写真 電動ハンダ除去ツールを使って±50電源を解体する

下写真がその拡大だ。

写真 解体前の±50V安定化電源(部品面)

ワテが参考にした「改訂版 最新オーディオDCアンプ 金田明彦」に掲載されているA級30Wパワーアンプの製作記事では、この電源基板は基板中心に対して正負の電源回路が点対称に配置されている。

一方、上写真のワテ自作の電源回路は中央にGNDを直線に配置してその上下に正負電源回路を配置する一般的なパターンを採用した。

今回PCBWayさんに発注した専用基板もそのようにデザインしている。そのほうが分かり易いから。

写真 解体前の±50V安定化電源(ハンダ面)

上写真のようにサンハヤトのユニバーサル基板の大きめのハンダランドにタップリとハンダを盛っているので、部品を外すのは難しい。

ここで使うのが先日購入したばかりのワテの人生初の電動真空ポンプ式の半田吸取り器だ。

作業中の写真は撮っていないが、一時間も掛からずに下写真のように全ての部品を回収することが出来た。素晴らしい。

写真 電動ハンダ除去ツールを使えば部品の回収も簡単

この白光の電動ハンダ除去ツールは買って良かった。電動ハンダ除去ツールは電子工作で毎回使うツールでは無けれど、これが無くては作業が出来ない。

ワテははんだ吸取線サンハヤト はんだシュッ太郎NEOも持っているが、今思えば少々高くても電動ハンダ除去ツールをもっと早く買っておけばよかった。

上写真の基板を一枚解体する作業で、下写真のように大量のハンダが回収される。

写真 白光ハンダ除去ツールのパイプに貯まったハンダ

上写真のハンダはこのあとで黒い蓋を外して取り出して廃棄した。

基板一枚の解体でこの作業を二回行ったのでかなりの量になる。

ワテは有鉛ハンダが好きなのだが、その理由はハンダのノリが良いのと、表面の光沢が好きなので。

でもハンダ除去ツールで回収したハンダを廃棄する作業では素手でハンダを扱ったので、健康には良くない。とは言ってもわざわざ手袋をするのも面倒なので、この際、無鉛ハンダに切り替えるかなとも考えている。

金田式A級15W DCパワーアンプ用±50V安定化電源の製作

回収した部品を使って金田式A級15W DCパワーアンプの±50V安定化電源を製作する。

製作の方針としては、回収した部品は使えるものはなるべく使う。

写真 回収部品をPCBWay製±50V安定化電源基板に半田付け開始

下写真はPNPトランジスタ2SA539を半田付けする場所の拡大だ。

写真 PNPトランジスタ2SA539を半田付けする場所の拡大

上写真のようにTO-92タイプのトランジスタ用フットプリントに3つのスルーホール穴が開いているので、下写真のようにトランジスタを挿し込んで半田付けするだけで良いのだ。

写真 2SA539をTO-92タイプのフットプリントに半田付けした例

なお手持ちには雑誌記事指定の2SA539が無かったので、適当に探したPNPトランジスタ2SA817を代替として取り付けている。その判断が正しいのかどうかは分からないが、まあ問題ないだろう。

再利用する部品は計測してから使う

下写真では再利用するツェナーダイオードの電圧を計測している様子を示す。

写真 再利用するツェナーダイオードの電圧を計測している様子

上写真はワテが独自に設計して製作した汎用計測ステーションと名付けた装置だ。

オシロ、パルジェネ、安定化電源などの信号を配線しやすくして、電子工作における各種の計測作業をやり易くする目的で作ってみた。まだ改良の余地はあるが、なかなか便利だと思っている。

その制作記事はこちら

下写真は、ツェナーダイオードに1KΩの抵抗を直列に入れて、それらに汎用計測ステーションを使って数十ボルトの直流電圧を掛けて、ツェナーダイオードの逆方向電圧をテスターで計測している様子だ。

写真 ワテ自作の汎用計測ステーションを使ってツェナーダイオードの逆方向電圧計測中

下写真のように逆方向電圧が6.3Vと計測された。

実は当初はツェナーダイオードに順方向に電圧を掛けてしまい、テスターで電圧を計測するとどれも0.7V前後を示したもんだから「あれれ、ツェナーダイオード壊れているぞ?」と勘違いしてしまった。

あかんがな。

下写真はタンタル電解コンデンサの容量を確認している作業だ。

写真 NECタンタル電解コンデンサ10μF/75Vの容量を確認

下写真のように10.5μFと計測されたので、正常だろう。

タンタルコンデンサは良く知られているように少しでも逆電圧を掛けると壊れるので、テスターで容量を計測する際にも細心の注意を払う必要がある。

赤色テスターリードが正電圧なのでタンタルコンデンサの⊕極に当てる。黒色テスターリードは⊖極だ。

写真 再利用するNECタンタル電解コンデンサ10μF/75V

タンタルコンデンサはショートモードで故障するので厄介なやつだが、レストアするのが目的なので今回はこのタンタルコンデンサを再利用する。

ちなみにこのNECの金属ケースに入ったハーメチックシール型タンタルコンデンサ10μF/75Vは確か秋葉原の鈴商さんでジャンク品を買ったような記憶があるが、定かではない。

半田面だけでなく部品面からも半田付けする

今回製作している±50V安定化電源基板ではRD9A, RD11Aと言う古いツェナーダイオードを直列にして使ってある箇所がある。逆方向電圧は合計で約20Vになる計算だ。

解体した±50V安定化電源基板ではその部分は6~7Vくらいのツェナーダイオードを3直列にして20Vを実現していた。

PCBWayさんに発注した専用基板は雑誌記事に忠実に設計したのでツェナーダイオードの取り付け箇所は2直列にしている。そこで手持ちに有ったRD13Aと言う黒っぽいやつと、回収した7Vくらいのツェナーダイオードを組み合わせて20Vを得ることにした(下写真)。

写真 新品RD13A(黒)と回収した7Vのツェナーダイオードを組み合わせて20Vを実現

ところが上写真のように回収したツェナーダイオードや抵抗は足を短くカットしているので、下写真のようにスルーホールに通しても足が短い。

写真 足が短い部品はスルーホールから足が出ていない

そこでこれらの部品はまずはハンダ面から普通に半田付けしたあとで、下写真のように部品面からも半田付けをした。

写真 スルーホールのハンダ面だけでなく部品面からも半田付けした

これくらい慎重に半田付けをやっておけば電気的な接続は問題ないだろう。

片面のユニバーサル基板ではこう言う技は使えない。

両面スルーホール基板なのでこう言うテクニックが使えるのだ。そう言う点でもやはり専用基板を基板製造業者さんに発注するのはお勧めだ。

なお、ハンダ面から十分なハンダを流し込めば部品面にもハンダが流入するので、わざわざ部品面からハンダ付けしなくても良いのでは?と言う疑問を持つ人もいるだろう。

ワテも当初はそう思ったのだが、そのためにはハンダゴテで熱する時間が長くなる。その結果、熱で部品を壊す可能性が高いので、普通にハンダ面から半田付けしたあとで部品面から短時間で半田付けする作戦に方針転換したのだ。

超慎重派のワテである。

半田付けのテクニック1

ワテの場合、電子工作歴は長いが半田付け技術は自己流なので正統派の方法かどうかは分からない。

でもまあ、ワテのやり方でも最近は電子工作の成功率はほぼ100パーセントなので、強ち間違ったやり方だとは思わない。

参考までにワテ流の半田付けのテクニックを紹介したい。

まずは電子工作にはリードベンダーは必須だ。

下写真のようにリードベンダーを使って抵抗の足を特定の間隔に折り曲げることが出来る。

写真 サンハヤト リードベンダー RB-5 は電子工作には必須のツール

足を折り曲げた部品は下写真のようにプリント基板に挿し込んでマスキングテープで固定する。

写真 マスキングテープで固定すると裏返した時に抜け落ちない

プリント基板には上写真のように四隅の穴にスペーサーを取り付けておくと安定して置けるので半田付け作業がやり易い。

スペーサーは色んな種類があるが下写真のように各種の長さがあり、かつオス・メスがセットになっているものがお勧めだ。

なお、マスキングテープはよく使うのでワテの場合には実体顕微鏡に貼り付けて何度も再利用している。粘着力が無くなるまで数十回は使う超節約派のワテである。

写真 マスキングテープは実体顕微鏡に貼り付けて再利用

上写真の実体顕微鏡は中古品をヤフオクで購入して、自作のレール式スタンドに取り付けている。

実体顕微鏡は一台あると電子工作がとてもやり易くなるのでお勧めだ。

半田付けのテクニック2

半田付け作業はいろんな流儀があるようなので、ワテ流のやり方を紹介しよう。

下写真の中央にあるのはGNDの5ミリの幅広のパターンだ。

写真 5ミリの幅広パターンに半田付けする例

このような幅広の銅箔パターンに半田付けする場合、半田ゴテで熱しても熱が逃げるので半田付けがやり辛い。

ワテの場合は、下写真のように幅広のコテ先(D型2.4mm幅)を使ってまずは銅箔部分をしっかりと熱する。

写真 部品のリード線を熱するのではなく銅箔ランドを熱する

この時に熱で部品を壊さないように部品のリード線にはコテ先を触れないようにしている。

上写真のように銅箔を十分に熱したら、熱したパッドのところに半田を持って行くと、いい感じに半田が溶けてスルーホール内部に流れ込むのだ。

半田付け初心者の人が良くやる失敗は、半田ゴテで銅箔を熱するのではなくて、部品のリード線を熱するのだ。ところがリード線は丸いので半田ゴテとの接触面積が少ないのでなかなか温度が上がらない。それにも関わらず半田を持って行っても半田が溶けないので、意地になってさらに長時間に渡り部品のリード線を熱する。その結果、熱で部品を壊してしまうとか、芋ハンダになるのだ。

半田付けの基本は部品のリード線を熱するのではなくて、銅箔を熱するのだ。

ちなみにワテは通常はΦ0.6ミリの半田を使っている。

上写真のD型コテ先は幅2.4mmの直線状なのでコテ先を少し寝かせれば広い接触面積で基板を一気に熱する事が出来るのでお勧めだ。

かつ、D型コテ先はコテ先端の角の部分を使えば細かい部品の半田付けも出来るのでD型コテ先は万能型だ。最近のワテはこの2.4D型コテ先を使う事が多い。

残りの部品も半田付けして行く

半田付けは高さの低い部品からやるのが基本だ。

具体的には抵抗、ダイオードから付けて行くと良い。

次はトランジスタやオペアンプなどを付けて完成だ。

この±50V安定化電源では8pinメタルカンタイプのオペアンプ709を使う(下写真)。

写真 8pinメタルカンタイプのオペアンプ709を半田付けする

解体前のサンハヤトユニバーサル基板にオペアンプを取り付けていた時には上写真左のように8ピンを4ピンずつに分けて2列にして半田付けしていた。

今回のPCBWay製専用基板では8ピンオペアンプ用のフットプリントを選択したので、上写真右のように8ピンが綺麗に円周上に等間隔に収まっているのだ。

下写真は8ピンオペアンプの足を半田面から撮影したものだ。

写真 8ピンオペアンプの足が円周上に等間隔に配置出来ている

このように電子部品の足が無理なく基板に差し込む事が出来て半田付け出来るのが専用基板を設計する醍醐味の一つと言えるだろう。

 

同様に下写真ではコパルの半固定抵抗RJ-13タイプを半田付けした。

写真 コパルの半固定抵抗RJ-13タイプを半田付け

上写真左に示すようにコパル半固定抵抗RJ-13用のフットプリントを配置しているので写真右のようにピッタリと収まっている。

このRJ-13用のフットプリントはKiCadの標準ライブラリに無かったので、ワテが自作したのだ。

KiCadにはフットプリントの自作用のツールがあるので、このように自分で好きなフットプリントを作る事が出来る。

フットプリントの作り方は簡単で、以下の仕様を自分で決めてあとは好きな位置にパッドを配置すれば良い。

  • パッドの数(この例では1, 2, 3の3個)
  • パッドの形状(円形、楕円、四角、角を丸めた四角など)と大きさ
  • パッドのドリル穴径、形状
  • パッドの種類(スルーホールかSMD表面実装か)

などだ。

下写真では、雑誌製作記事指定のコンデンサの容量を実現する為に、部品面だけでなく半田面にもコンデンサを付けて並列接続で目的とする容量を実現している。

写真 基板裏面にコンデンサを並列接続する作戦はお勧め

この半田面にコンデンサや抵抗を並列接続して目的とする値を実現する手法は、最近のワテが良く採用するテクニックだ。

このやり方だと部品面の見た目は変わらないのが良い。もし部品面に二個も三個も追加の部品を半田付けしてしまうと、見た目がゴチャゴチャして見た目が悪くなるからだ。

と言う事で専用基板を使う事で一時間ほどで半田付け作業は完了した。

±50V安定化電源基板の動作確認

半田付けが完了したので早速動作確認を行う。

もしユニバーサル基板に手配線で製作した場合には、ここでいきなり電圧を加えるのは危険なので、まずは配線間違いのチェック作業が必要になる。その作業は入念に行えば一時間くらい掛かる場合もある。

今回は専用基板を設計したので、事前にERC(エレクトリカルルールチェック)やDRC(デザインルールチェック)を何度も行っている。

なので、半田付けが完了した時点ではワテは何もチェックせずに行き成り電圧を加える。

写真 ±75V電圧を加えて(黄白ケーブル)テスターで出力電圧計測

この±50V安定化電源基板には±80V前後の非安定化電圧を入力されるので、下写真のようにワテ所有の定電圧電源から±75Vを加えた。

写真 実験用の定電圧電源から±75Vを加えた

まあ本当は±80Vを加えても良かったのだが、なんとなく少な目にして±75Vにした。要するに小心者でビビリのワテである。

その結果、下写真のように設計通りにDC50Vが得られた。コパルの半固定抵抗を回すと電圧を可変する事も出来た。

同様に負側の電源回路もテストしたが、こちらも設計通りDC -50Vが得られた。

素晴らしい!

写真 ±50V安定化電源回路を実験している様子

ちなみに上写真の調整ドライバーセットは近所のリサイクル屋で買ったやつだ。

その店は新規オープンしたての頃にジャンク工具の値付けが無茶苦茶で、どれも100円だった。

たぶんアルバイトか新人店員が店長に「ジャンク品は100円のシール貼って」とか言われて、それを真に受けて全部100円シールを貼ったんだと思う。

この調整ドライバーセット以外にも、セラミック製の高級調整ドライバー数種類、六角レンチセット、ソケットレンチ単品(KTC, TONEなど)数種類、モンキー、HOZANプライヤーやニッパなどなど、未使用の長期保管品ぽいのが全部100円だったので沢山買い込んだ。

大電流±20V安定化電源基板とブリッジ整流基板の設計と発注

大電流±20V安定化電源基板の設計

さて、無事に一枚目の専用基板使った±50V安定化電源が完成したので気分が良い。

モノラル構成なので、この後、同じ作業をもう一度やる必要があるが、それは時間がある時にやる予定だ。

それとは別に、二番目の電源基板を設計してPCBWayさんに発注した。

大電流±20V安定化電源基板の設計と発注だ。

先ほど製作した±50V安定化電源はアンプの電圧増幅段に供給する電源だ。

一方、今回設計する「大電流±20V安定化電源基板」はアンプ出力段のコンプリメンタリーパワートランジスタに供給する電源だ。

出力段トランジスタまで安定化電源を使うのは、珍しいと思う。

さてその回路図を下図に示す。

図 大電流±20V安定化電源の回路図をKiCadで描いた

上図において、709オペアンプ周りの回路は第一回目に設計した±50V安定化電源回路とよく似ている。

しかしながら、上図では大電流を制御するので正負電源共に三つのトランジスタがダーリントン接続になっているので配線が複雑だ。

かつ、アンプの出力に付けるDC検出回路(今後作成予定)でDCが検出されるとスピーカーを保護するためにこの電源回路の出力を遮断する保護回路機能も追加されている。

なので、この大電流±20V安定化電源基板は±50V安定化電源基板にくらべてかなり過密になる。

なお、雑誌のオリジナル製作記事では、DC検出回路から来る信号を処理する為にSN7400(4回路入りNAND)を使ったロジック回路もこの基板上に実装されている。

ワテの場合はそのSN7400ロジック回路の部分はこの電源基板から分離して別途設計する事にした。

さて、上図の回路図に基づいて時間がある時にささっと描いたのが下図に示す大電流±20V安定化電源基板のパターンだ。

図 大電流±20V安定化電源基板のパターン

上図に示すように86x86mm2の基板サイズにかなり過密に部品を詰め込んだ。

この基板には三段ダーリントントランジスタの二段しか実装しない。三段目のTO-3型のパワートランジスタはタカチアルミシャーシに取り付けるので、基板とTO-3トランジスタは電線で結ぶ予定だ。

上図の中央にあるのがGNDラインで、上側が正電圧回路、下側が負電圧回路だ。

図中で負電圧側には6ピンのXHコネクタを半田付けする為のフットプリントを入れているのが分るだろう。このXH6コネクタを使ってSN7400ロジック基板と接続するように設計した。

当初は上図の基板にSN7400ロジック回路も入れ込む予定であったが、やれば出来たかも知れないが益々過密になって逆に分かり辛くなるので中止した。

ちなみに雑誌記事では金田先生はサンハヤトの86x86mm2の4ミリピッチのユニバーサル基板に上図の安定化電源回路だけでなくSN7400ロジック回路までも詰め込んでいるのだ。物凄い才能だと思う。

ブリッジ整流回路基板の設計

下図はブリッジ整流回路の基板だ

手持ちに有った二素子入りのダイオードを使ってブリッジ回路を組む事にしたので、ちょっとややこしいい図になってしまった。

なお、二素子入りダイオードを使うが電流容量的にはそのダイオードの一素子でも十分な電流容量なので問題無いだろう。

±50V電圧増幅段と±20V出力段の二つの安定化電源基板に電源を供給するのでブリッジ整流回路も二組描いた。

この回路図に基づいてささっと描いたのが下図に示すプリント基板レイアウトだ。

図 ブリッジ整流回路(2組)の基板レイアウト

上図において、上部に描いているのはサトーパーツの8Pの端子台がこの辺りに来る予定だ。

その端子台は電源トランスの二次側出力のケーブルを配線する為の中継端子台として使う。

ちなみにこのブリッジ整流基板では、上図の赤色パターン(部品面)と同じパターンを半田面にも描いている。下図の青色パターンだ。

図 半田面(青)にも部品面(赤)と同じパターンを配置した

このように部品面と半田面とで同じパターンを描いて、それらを多数のVIA(ビア)で連結して電流容量を増やす工夫をしてみた。

ちなみにそのやり方は簡単で、KiCadを使って下図のように赤色部品面の図形だけを表示させておいて、それを複製して青色半田面の図形を作成すれば良いのだ。下図では分かり易くするために赤青を少しずらして描いている。

図 赤色部品面配線をコピペして青色半田面配線を作る例

最近はKiCad 7.0.5を使っているのだが、異常終了する事が多いので困っていた。

でもネット情報によるとWindows10のMicrodoft IMEを使うのをやめてChromeの日本語変換機能を使うと良いとの事で実際にやってみると、安定性は良くなった。

その後、これらの二種類の基板はPCBWayさんに発注した。

一週間後くらいに到着するのが楽しみだ。

まとめ

ワレコ
ワレコ

最近時間が有れば趣味に熱中している。

最近のワテが凝っているのは、

・KiCad操作向上

・ぬか漬け自作

・テフロンフライパンをやめて鉄フライパンを使う

・美味しいコーヒーの淹れ方研究

などだ。

当記事はワテが2000年代に自作したモノラル2台構成の金田式A級30W(実際は25Wくらい)をレストア改造してA級15Wを製作する記事の第二弾だ。

第一回目の前回記事では、電圧増幅段に供給する±50V安定化電源基板をKiCadで設計してPCBWayさんに発注する作業を紹介した。

第二回目の当記事では、PCBWayさんから到着した±50V安定化電源基板に古いパーツを再利用して半田付けする過程を紹介した。完成した±50V安定化電源基板は無事に正常動作する事が確認出来た。

今後、時間がある時にもう一台のアンプも解体して同じ±50V安定化電源基板を製作する予定だ。

記事後半では、アンプ出力段に供給する大電流±20V安定化電源基板とブリッジ整流回路用基板を設計してPCBWayさんに発注するまでを紹介した。

大電流±20V安定化電源基板の設計では、前回設計した±50V安定化電源基板のKiCadデータを流用したので作業量は減らす事は出来たが、大電流部分の回路や保護回路機能の為の追加部品(トランジスタ数個、抵抗など)が増えているので、超過密な部品配置になった。

一週間後くらいにPCBWayさんから基板が届くと思うので、それまでに次の基板設計作業を行いたい。

具体的にはアンプ基板、DC検出回路&保護回路基板だ。

アンプ基板も86x86mm2サイズに収めるのはかなり苦労すると思うが、やれば出来るだろう。

(続く)

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