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【ワレコの電子工作】ATmega328PマイコンでDC電圧電流の計測成功【JLCPCB基板に部品半田付け】

この記事は約20分で読めます。
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ワレコ

電子工作は楽しい。

今の時代、個人でも完成度の高い電子工作が出来る最高の環境が揃っている。

  • 無料の電子回路シミュレータ(LTspiceなど)
  • 無料の電気系CAD(KiCad, Eagleその他)
  • 無料のマイコン開発環境(Arduino, Microchip Studioなど)
  • 低価格で迅速納期の基板製造業者さん
  • ネット通販で電子部品購入(秋月電子、RSコンポーネンツさんなど)
  • 電子回路の勉強に必要な情報はネットにあふれているし

いや~、いい時代になったもんだ。

さて、ワテも過去に色んな電子工作をやったが、最近では実用性のある作品を作りたいと思っている。

つまり、作った作品は自分で日常生活で使いたい。

今回製作しているのは直流用の電圧・電流計だ。

ワテは以前に18V充電式電動ドライバーをAC100V駆動の有線式へ改造をした(記事)。例えばその電動ドライバーのモーターに何アンペア流れているのかを調べたい時に、この電圧・電流計で計測してみたい。

電圧や電流の計測は電子工作では良く必要となる作業なので、この作品が完成したら色んな用途に活用できると期待している。

前回記事で紹介したように、直流用の電圧・電流計測基板(ATmega328Pマイコン、電流計測ホール素子取り付け)はJLCPCBさんに発注していた。

前回記事はこちら↴

【ワレコの電子工作】ATmega328PマイコンでDC電圧電流計を自作【JLCPCBに異種面付けV-Cutプリント基板発注】
ワレコAVRマイコン(ATmega328P)を使って直流の電流A・電圧V・電力W・電力量Whを計測してみる事にした。そう言う機能を持つ製品は市販品でも売っている。上写真の二つの製品はシャント抵抗付きなのでDC100Aまで計測出来る。ワテの場...

その基板が到着したので、早速半田付けして組み立てた。

では本題に入ろう。

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JLCPCBプリント基板の紹介

JLCPCBさんに発注していた基板は約一週間と言う速さで自宅に届いた。

2022-06-16 発注(基板用ガーバーファイルアップロード)
2022-06-24 受け取り

速いわ。

AVRマイコン利用の電圧電流計測用基板が到着した

ではそのJLCPCBさん製造のプリント基板を紹介しよう。

今回は配送業者さんにはFEDEXを指定していた。DHLよりも若干安かったので。

写真 FEDEXで届いたJCLPCB製プリント基板小包

送料は約38ドル。基板製作費が約16ドル。総額約53ドルだった。

送料の方が高いので、複数の基板を注文すれば同梱で配達して貰えるのでお勧めだ。

写真 JLCPCBさんの青色の小箱に入って来る

下写真のように十枚のプリント基板は真空パックされていてエアーキャップで厳重に梱包されている。

写真 厳重に梱包されたプリント基板

JLCPCB製両面スルーホール基板

下写真にそのプリント基板の写真を示す。

写真 JLCPCB製プリント基板(黄色レジスト、両面スルーホール1.6t、半田メッキ仕上げ)

上写真のJLCPCB製基板の仕様は以下の通り。

  • 2層ガラスエポキシ基板(FR-4材)
  • 大きさ: 100 mm * 95 mm
  • 枚数: 10
  • 異種面付け(Different Design): 2(Vカット仕上げを依頼した)
  • 基板厚み(PCB Thickness): 1.6mm
  • レジスト色(PCB Color): Yellow
  • シルク文字色(Silkscreen): White
  • パッド表面処理(Surface Finish): 有鉛半田メッキ(HASL with lead)
  • 銅箔厚さ(Outer Copper Weight): 1oz(=35μm)

なお上写真において基板右上に「JLCPCB」さんのロゴ文字が入っているが、これはワテがJLCPCBさんに発注した事をメモする目的で入れている。なので、JLCPCBさんに発注すると自動的にこのようなロゴが基板に入る訳では無い。

Vカット処理が便利

JLCPCBさんに発注したこの基板の仕様を補足説明をするなら、二種類の基板データを異種面付けしている。

つまり、上写真で上部のATmega328Pマイコン取り付け部分と、下部にある電流検出ホール素子や大型電極取り付け部分との境に横一直線のVカット処理がされているのだ。

Vカット処理とは、基板の表裏に直線状の溝(断面がV字形状)を掘る処理だ。Vカット処理がされていると、基板を簡単に手で折り曲げて分割出来るのだ。

実際にやってみた(下写真)。

写真 Vカットの溝に沿ってペキッと折って分割出来る

どう!便利でしょ!

もしVカット処理がされていない基板を自力で分割するとなると、案外手間が掛かるのだ。

例えば下写真のような小型の丸ノコ盤を持っているとしても、硬いガラスエポキシ基板を真っ直ぐに切断するのは難しい。それに大量の切り粉が飛び散るので後片付けも面倒だし。さらにこの手の丸ノコでガラスエポキシ基板を切断すると、すぐに鋸刃の切れ味が悪くなるのだ。

と言う訳で、Vカット処理はお勧めだ。 

なお、どこの基板製造業者さんでも100x100mm2 以内の両面基板であれば10枚発注しても5ドル前後と低価格だが、そこにVカット処理を追加すると若干値段が上がる。今回のワテの注文でも基板製作費は約16ドルだった。

これくらいの値段でVカット処理をやって貰えるなら、積極的に利用したい。

部品を基板に半田付けして組み立てる

下図が今回JLCPCBさんで製作した基板の設計データだ。KiCadを駆使して基板製造に必要なガーバーデータを生成したのだ。

KiCadの回路図エディタ(Eeschema)で描いた回路図 KiCadのレイアウトエディタ(Pcbnew)で描いた基板

早速、AVRマイコン(ATmega328P)を利用する電流計測基板を組み立てる。

まずは半田付けする前にJLCPCBプリント基板に部品を嵌め込んでみた。

この基板では、DIP28ピンのATmega328Pを直接半田付けしても良いし、下写真のように300mil幅のDIP28ピン用ゼロプレッシャーソケット(300mil幅)を取り付けても良い。

写真 ゼロプレッシャーソケットが良い具合にJLCPCB基板に刺さった

このゼロプレッシャーソケットは裏側に出ている28個の半田付け端子が幅広なので、普通のΦ0.8くらいのスルーホール穴には入れづらいのだ。なので、ワテが設計した基板では、この部分のスルーホール穴は楕円形にして幅広の端子がスムーズに挿し込めるように工夫している。

その結果、上写真のようにスムーズに挿し込む事が出来たのだ。

さて、いよいよ半田付けを開始する。

表面実装部品をホットプレートリフローで付ける

表面実装部品をホットプレートで半田付けする作業は案外簡単なのだ。

ワテも今まで数回やっているがいずれも成功している。

写真 半田付けするパーツを用意した

まずは表面実装部品を載せる場所の半田パッドに半田を盛っておく。その上に表面実装部品を載せる。必要ならフラックスを塗布して部品を貼り付けておくと良い。

今回はTO-252タイプの三端子レギュレータ(7805S)をホットプレートリフローで半田付けするのだ。

この三端子レギュレーターは背面全体が電極になっているので、その部分は半田ごてでは半田付けが難しい。

あと、表面実装セラミックコンデンサ(3216Mサイズ)、表面実装ダイオードも事前に手半田しておいた。これらのパーツは手半田で付けられるのでホットプレートリフローは必ずしも必要は無いが、手半田で付けたあとでホットプレートリフローをすると、より最適な位置に部品が移動するかなと期待して試してみたのだ。

ワテが使っているのは小型のホットプレートだ。

5mmほどの半田の小片をホットプレートに載せてスイッチオンする。

半田が融けたら基板を載せる

温度コントロール機能の無い小型ホットプレート ホットプレート上の半田片が融けたら基板を載せる

基板を載せてから数分後に、基板上の電極パッドに盛っておいた半田も溶けた。そしてその上に乗っている三端子レギュレータも溶けた半田の表面張力に引っ張られて最適な位置に自動で位置決めされた。

そして、なるべく素早く基板のネジ穴をラジオペンチで摘まんで持ち上げて、作業台の上に敷いているダンボールの上に移動して冷却する。必要なら扇風機で冷却すると良いだろう。

その結果、下写真のように表面実装タイプの三端子レギュレータをいい感じに半田付けする事が出来た。

写真 表面実装タイプ5V三端子レギュレータ(TO-252型)の半田付け成功

なお、事前に手半田して取り付けていた表面実装コンデンサやダイオードも半田は溶けたが、元々手半田で慎重に作業して割と真っ直ぐに付けていたので、ホットプレートリフロー後には、位置は大きくは動いていなかった。

KiCadに無いフットプリントは自作すると良い

さて、表面実装部品の半田付けはある程度完了したので、次は大物部品を取り付ける。

下写真のDCジャックは秋月電子で購入したDCジャックだ。

  • 型番:2DC-G213-D42
  • 内径:2.1mmΦ
  • 外径:5.5mmΦ
  • 定格:DC20V 0A~最大10A

このDCジャックは金属ケースに入っていて丈夫なので、DCプラグを何度も抜き差ししても壊れにくいのでワテは気に入って良く使う。

下写真のようにJLCPCB製基板にはこのDCジャックが挿し込めるように穴開け加工がしてある。

写真 JLCPCB基板には秋月製DCジャック用の取り付け穴を開けている

上写真のようにこのDCジャックには合計五個の突起がある。三個のGND電極、一個のプラス電極、一個の樹脂突起(位置決め用)だ。ワテの場合、これらの突起が自作基板の穴に設計通りにピッタリと嵌ると極上の快感がある。

では、どのようにしてKiCadに無いパーツをこのように基板にピッタリ嵌るように穴開けするのか?

それは簡単で、KiCadのフットプリントエディターを使って下図左のような作図をすれば良いのだ。

KiCadのフットプリントエディタで描いたDCジャック そのフットプリントをJ13番のJack-DCに割り当てる

そして上図右で描いた回路図のJack-DCにこのフットプリントを割り当てれば、プリント基板のレイアウトにこのフットプリントを描く事が出来るのだ。

まあ要するにお絵描きツールを使って作図するだけなので、練習すれば誰でも出来る作業だ。

下写真には、この部分に実際にDCジャックを挿し込んで半田付けした前後の写真を示す。

DCジャックの左の電極を一箇所だけ半田付けした状態 DCジャックの全部の電極を半田付けした

写真 DCジャック用の自作フットプリントで作成したJLCPCB基板拡大

上写真のようにワテの設計通りにピッタリと電極が嵌り、完璧に半田付けが出来た。

快感だ。これぞ専用基板を使う醍醐味と言って良いだろう。

ゼロプレッシャーICソケット 28P 300milも半田付け

下写真のようにゼロプレッシャーICソケット 28P 300milを半田付けする。

この部分には直接DIP28ピンのATmega328Pを半田付けしても良いが、今回は実験なのでゼロプレッシャーソケットを半田付けする。これで上手く行ったら、残り9枚の基板があるのでゼロプレッシャーソケットを使わない本番機を作成する予定だ。

写真 JLCPCB製専用基板にゼロプレッシャーICソケット 28P 300milを半田付け

上写真のように半田付けする際にはマスキングテープを使ってパーツを固定すると良い。使い終わったマスキングテープは何度も再利用出来るので、ワテの場合は作業台の実体顕微鏡の本体に貼り付けている。

下写真がゼロプレッシャーICソケット 28P 300milの半田付け前後の様子だ。

ソケットの足がピッタリ刺さっている 足を一気に半田付け 横から眺めても美しい半田付け仕上げ

写真 ゼロプレッシャーICソケット 28P 300milをJLCPCB製専用基板に半田付け成功

上写真のように専用基板なら部品の足がピッタリと刺さるので半田付けの仕上がりが綺麗に出来る。光沢のある綺麗な半田付けが出来ると充実感がある。

電子工作は完成させる事に意味がある!

まあワテの場合は、昨年思い切って下写真の白光のソルダリングステーションを買ったので、半田付け作業が格段にやり易くなった。

そして、半田の乗りが良い専用基板を使う事で、半田付け作業があっけないくらい簡単に出来てしまうようになった。

まあ電子工作は半田付けで悪戦苦闘すると言うのも一つの楽しみかも知れないが、ワテの場合は半田付け作業で悪戦苦闘するのはもうやりたくない。それよりも目的とする電子工作を確実に短時間に完成させる事を優先したい。

なぜなら、自作エッチングした基板とかユニバーサル基板に手配線などの手法で電子工作をやっても配線間違い、半田付け不良、その他色んなトラブルがある。ワテも色々経験した。

でも専用基板なら事前にKiCadで設計する時点でエレクトリカルルールチェック、デザインルールチェックと言った強力なツールがある。

自分が回路図を描き間違いしない限りは、回路図の電子部品に割り当てるフットプリントを間違えない限りは、それらのツールを駆使すれば出来上がって来たプリント基板に間違いが入り込む可能性は無いのだ。

ATmega328Pのクロックは水晶発振子ソケット式にしてみた

ATmega328Pのクロックは最大20MHzまで行ける。そこで下写真のように水晶発振子を挿し込めるソケット式にしてみた。

水晶発振子取り付け部分にICソケット(単品)を付ける 半田付け完了

ATmega328P内蔵のクロックを使う事も出来るので、上写真のソケットに水晶発振子を挿さなくても動作させる事が出来る。

電流計測基板に大型電極を半田付け

次は基板下部にある電流計測部分に部品を半田付けする。

写真 電流計測部分に取り付ける電極端子

上写真の高級金メッキ電極はマックエイトのPB-2-G(金メッキ)と言う型番の端子だ。

以前にジャンク品を安く買ったのが沢山あるので、どんどん使う事にした。マックエイトさんはこの手の気の利いた電子部品を沢山出しているのでパーツボックスに常備しておくと何かと役に立つ。小型なので嵩張らないからワテは数種類持っている。

アマゾンでマックエイトの端子を見る

下写真のように電極を半田付け出来た。

写真 大型電極を六個半田付けした

これくらい大型の部品を半田付けするには、大型の半田ごてが必要になる。

ワテが使っているのは白光FM-206に付属している70W(最大)のコテなので、上写真の大型部品でも難なく半田付け出来た。

写真 大型電極の半田面の様子

上写真のように、この基板はマイコン部(上部)と電流計測部(下部)がVカット仕上げされているのが分るだろう。

ATMEL-ICEとの接続用ICSP-6コネクタを半田付け

ワテ設計のこのATmega328P用マイコン基板は、下写真に示すようにICSP6と呼ばれる6ピンの接続コネクタを付ける。

写真 ICSP6用の6ピンコネクタを半田付けする前

上写真の6ピンコネクタを基板に取り付けると、下写真のATMEL-ICEを接続出来るのだ。

その結果、パソコンにインストールしたMicrochip Studioを使ってこのATmega328Pマイコンをプログラミングする事が出来るのだ。

ワテの場合は、まずはArduino UNOを使ってATmega328Pマイコンを学習したのだが、Arduinoの開発環境ではデバッガーが使えないのが不便。そこでこの基板を使ってATmega328PマイコンをMicrochip Studioを使ってプログラミングする方式に変更した。

その結果、プログラミング作業が格段にやり易くなった。デバッガも使えるし。

ピンソケットを取り付ける

秋月電子などで売っている分割式のピンソケットをカッターで切って使う。

写真 秋月で買った分割式のピンソケットをカッターで切る

下写真のように幾つかのピンソケットを基板の上に取り付けた。

写真 完成したATmega328Pマイコンと電流計測基板

上写真にある幾つかのピンソケットの機能を紹介しておこう。

  • 最上部の2×7ピンソケットはLCD表示用(類似品 LCD ディスプレイモジュール
  • ICソケット上下の二列のやつはICのピンに接続している。配線取り出し用。
  • ICソケット左右の一列のやつは左が5V、右がGND。これも実験用に取り出している。
  • 基板左側から出ている6ピンは秋月FT232RL USBリアル変換モジュール接続用
  • 下部電流計測基板の右にある3ピンは、電流計測出力、GND、12V供給用だ。

と言う事で無事に半田付けが完了した。

安定化電源とダミーロードを使って電流を計測する

さっそく電圧や電流を計測してみよう。

Microchip Studioを使って電流電圧計測プログラムを即席で作成

ワテの場合、Microchip Studioを使ったプログラミングはまだよく分かっていない。

現状ではネット検索して見付けたコードを切り貼りして目的とするプログラムを組んでいる。

具体的には、今回の実験ではLCDパネルに文字表示するコードや、ADC機能を使って電圧を計測するコードを適当にネットで見付けたやつをコピペして混ぜ合わせたらどうにか動いた。

図 Microchip Studioで作成した電流電圧計測プログラム(C++)

プログラムは兎に角動けば良いのだ。

定電圧電源とダミーロードを使って配線する

まず全体の配線は以下のようになっている。

ATmega328Pマイコンで電流電圧計測(全体写真) 拡大写真

上写真左において、ブレッドボードにある半固定抵抗はLCD表示のコントラスト調整用だ。

白い箱がATMEL-ICE

ACアダプタで12V電源を供給して、基板上の7805Sで5Vを生成している。

水色の電流検出ホールセンサーは12Vで駆動している。

ATmega328PマイコンのADコンバーターは計測できる最大電圧は5Vのようなので、上写真右に写っているように電圧計測は10KΩと1KΩの抵抗で分割して11分の1の値をADCで読む事にした。

赤黒のミノムシクリップ部分にはワテ所有の安定化電源から電圧が印加される。

一方、丸型圧着端子で配線している赤黒のケーブルの先には10Ωのメタルクラッド抵抗が繋がっている(下写真)。

ぺるけ式アンプ試験ワークベンチ 大型メタルクラッド抵抗 5Ω(200W)

写真 ぺるけ式アンプ試験ワークベンチ内蔵のダミーロードを使う

この製作記事はこちら↴

【ワレコの電子工作】ぺるけさん設計の「アンプ試験ワークベンチ」を自作した
ワレコ前々から作ろうと思っていた「ぺるけ式アンプ試験ワークベンチ」を自作した。プリアンプやパワーアンプなどのオーディオ機器の動作確認、各種計測など色んな用途に使える便利ツールなのだ。ワテの場合、電子工作ではオーディオ関連機器を作る事が多い。...

安定化電源で電圧を加えて電流を計測する

下写真左のように安定化電源で1Aが流れるまで電圧を上げたら10.7Vとなった。

安定化電源で1Aを流した 電流計測値 0.94A、電圧計測値 0.91V

上写真右のように、電流計測値 0.94A、電圧計測値 0.91Vとなった。

ワテが使ったホール素子からは電流に比例した電圧が出力されるので、Microchip Studioで作った計測プログラムの中でADC計測電圧を電流値に換算している。

ダミーロードが10Ωなので安定化電源10.7Vが正しいとすると、計算上は流れる電流は10/10.7=0.93A となるので、電流計測値0.94Aはほぼ合っている。というか、合うように比例定数を求めたと言うのが正しい。

一方、電圧計測値 0.91Vを11倍すると10.01Vとなるので電圧計測値もまあまあ妥当な値だ。

この計測ではATmega328Pに幾つかあるADCの23ピンと24ピンを使った(下図)。まあどれを使っても良いようなので適当に選んだのだ。あと、LCD表示に数本のピンを使っている。それとATMEL-ICEとの接続にもSCK/MISO/MOSI/RESETなどのピンを使っている(下図)

RESET 1 28  
  2 27  
  3 26 LCD6
  4 25 LCD4
  5 24 電流測定
LCD11(DB4) 6 23 電圧測定
5V 7 22 GND
GND 8 21 5V
  9 20 5V
  10 19  
LCD12(DB5) 11 18 SCK
LCD13(DB6) 12 17 MISO
LCD14(DB7) 13 16 MOSI
  14 15  

図 ATmega328Pマイコンのピン配置と使ったピン

AVRマイコンで液晶ディスプレイを使うやり方はこの記事で解説している。

【ワレコの電子工作】素のAVRマイコンでLCD表示成功【ATmega328PとATMEL-ICE】
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電流値が0.5Aから3.0Aまで0.5A刻みで増えるように安定化電源の電圧を調整し、その時の電圧電流値の計測結果を下表に示す。

安定化電源表示 実測値
V A V V x 11倍 A
5.50 0.50 0.45 4.95 0.39
10.70 1.00 0.90 9.90 0.92
16.00 1.50 1.37 15.07 1.47
21.20 2.00 1.83 20.13 2.02
26.20 2.50 2.29 25.19 2.52
31.40 3.00 2.75 30.25 3.03

表 ATmega328Pマイコンと電流検出ホール素子を使った電流電圧計測結果

上表に示すように、安定化電源の電圧電流表示の値と、ワテ自作機器で計測した電圧電流値は、ざっと見積もっても誤差数パーセント以内くらいに収まっているようだ。

ただし、電流が1A以下くらいの領域では誤差は十数パーセントくらいあるかな。

この実験で使った電流センサーは最大15Aまで行けるので、それくらいの大電流を計測する用途であれば、まあまあ妥当な電流値を計測できそうだ。

と言う事で、実験は大成功!と言う事にしておこう。

市販のデジタル電圧電流計は壊れていた?

今回製作した電圧電流計測基板には、下写真の市販のデジタル表示の電圧電流計も同時に取り付けられるようにしていた。

写真 市販のデジタル表示電圧電流計は壊れていたようだ

このデジタル電圧電流計には大型のシャント抵抗(上写真)が付属していて、最大DC100Aまで計測出来る仕様だ。

で、実際にこれをアマゾンで購入してワテの基板に取り付けて使ってみたのだが、電圧は計測出来たのだが、電流計測値がおかしいのだ。1A程度の電流が流れているのに表示は55Aなど、全然意味不明。

どうやら故障品の可能性があるのだが、返品期限を切れていたので返品出来ない。

あかんがな。

まあ、人生そう言う事もある。

ただ、上写真で示す大型のシャント抵抗は壊れている可能性は少ないので、このシャント抵抗をワテ製作の電圧電流計に組み込めば、現状の最大15Aの上限以上の電流計測が出来るように改造可能だ。

要するにシャント抵抗で電流を分流させるだけなので、電流値計測のADC値にその分流から逆算して得られる全電流を求める倍率を掛ければ良いのだ。

そうするとDC100Aも計測できるぞ。ちょっと怖いが。

まとめ

ワレコ

電流計測と言うのは案外難しいと思う。

自作機器で電流計測に成功したので気分爽快だ。

デジタルテスターの電流計測モードを使えば電流計測は可能だ。

テスターを買うならサンワの製品なら間違いないだろう。

でもワテが使っているFLUKEのデジタルテスターの場合、電流計測回路に入っている保護フューズが確か二千円くらいするのだ。うっかり大電流を流して断線させるとかなりの出費だ。

あるいは下写真のようなAC/DCに対応しているクランプメーターを購入すれば手軽に計測は出来るが、ケーブルをクランプする必要があるのでケーブルが露出していない回路の電流計測は困難だ。

そう言う点では、下写真のような製品を購入すれば手軽に計測出来る。

DC電圧電流計↴

AC電圧電流計↴

今回はワテの手持ちにあったホール素子電流計測部品とATmega328Pマイコンを組み合わせて自作でDC電圧電流計測機器を作ってみた。

ワテはATmega328PマイコンはArduino UNOから入門したが、現在ではATMEL-ICEとMicrochip Studioの組み合わせで直接プログラミングするほうが手っ取り早いので使い易い。

そしてマイコン内蔵のADCやDACを使えば各種の制御や計測が簡単に出来る。それらは全てプログラミングで出来てしまうので、ICやトランジスタを組み合わせてやる電子工作とは違う面白さがある。

電子工作にはプリント基板が必須だが、KiCadを使って専用基板を設計して基板業者さんに発注するのがお勧めだ。今回はJLCPCBさん製造のプリント基板を使ったが、両面スルーホール基板は半田の乗りも良く、シルク文字も綺麗に印刷されていて品質は非常に良いと感じだ。

(続く)

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