
8月は猛暑で気分停滞気味だったが、9月になって復活してきた。
先日以下の記事で紹介した自作の新パソコンに採用したMSI社のマザーボードのチップセットが高温になる問題であるが、記事で紹介したように一応解決している。
高温の原因はSSDドライブの取り付けスロットの場所であり、具体的には当初はCPUから最も遠い位置にあるM2_3スロットを使っていたが、それをCPUに最も近いスロット(M2_1)に変更したら90℃前後の高温から70℃前後に下がったのだ。
その状態で約三週間ほど使ってきたがチップセット温度は70℃前後に落ち着いているので問題は無さそうだ。
という事で本件は一件落着していた。
しかしながら、HWINFO64と言うハードウェアモニターツールで確認すると、CPU温度は50℃前後なのにチップセットが70℃と言うのは、まだ温度が高いような気もする。
そこで、今回は念の為にチップセットのヒートシンクを分解して熱伝導性の良いサーマルパッドに交換してみた。
その結果、チップセット温度は65℃前後に下がった。
当記事はその作業内容の備忘録だ。
では、本題に入ろう。
チップセットのサーマルパッドを交換する作業
自作Windows11パソコンのマザーボードを取り出す。
写真 自作Windows11パソコン(MSI社MAG B650 TOMAHAWK WIFIマザーボード)
上写真で問題のチップセットは写真中央の白文字でTOMAHAWKと印字されている四角形のアルミヒートシンクの下にある。
前回記事でも紹介したが、本件のチップセットが高温になる問題ではMSI社のサポートの人と何度かメール交換した。
その過程で、チップセット温度が高い原因として推測されるのは、MSI社からは以下の可能性を指摘された。
- ヒートシンクの固定ネジが緩んでいる可能性
- ヒートシンクの内部にあるサーマルパッドがズレている可能性
ネジの緩みに関してはアルミヒートシンクを手で触ってもしっかりと固定されているので、ネジ緩みの可能性は無いと判断した。
一方、チップセットとアルミヒートシンクの間にあるサーマルパッドがズレて取り付けられている不具合の可能性に関しては未確認だった。
その件は気にはなるが、上で説明したようにSSDスロットM2_1を使うようにすれば90℃が70℃に改善されたので放置していた。
しかし、気になったまま放置するのも気分が悪い。気になるものは解消するのが一番だ。
とは言ってもサーマルパッドの状態を確認するためにはマザーボードを取り出す必要がある。
かなり面倒な作業だ。でもまあ、前進するにはやるしか無い!
という事で、重い腰を上げて作業を開始した。
このアルミ製のヒートシンクはマザーボードの裏側からネジ止めされているのでマザーボードの全てのケーブルを取り外し、9箇所の固定ネジも外してマザーボード単体を取り出した。
水冷式のCPUクーラーも採用しているので、取り外し作業はかなり面倒くさい。
下写真はマザーボードの裏側のアルミヒートシンクを固定している2個のネジだ。
写真 チップセットのアルミヒートシンクを固定している2個のネジ
この2個のネジを外せばアルミヒートシンクが外れる。
アルミヒートシンクを外してサーマルパッドを発見
下写真で分かるように、1cm x 1cmくらいのサイズのチップセットの上に、灰色のサーマルパッドがあり、それを通してアルミヒートシンクに熱を逃がす構造だ。
サーマルパッドと言うのは要するに熱伝導性の良いゴム状の材質だ。
写真 チップセットのアルミヒートシンクを外してサーマルパッドが露出した
上写真の左のアルミヒートシンクとサーマルパッドを見る限り、チップセットの形に凹んでいる箇所は若干はズレているが、チップセットの上面を完全に覆っているので問題は無さそうだ。
写真 チップセットの上にサーマルパッドの一部が残っている状態
その灰色のサーマルパッドはアルミヒートシンクにへばり付いていたので、手で剥がしたらボロボロと割れてしまった(下に写真有り)。まるで板ガムがボロボロと割れるような感じで。
下写真のようにチップセットの上部を無水エタノール99.5%と綿棒で清掃したら、AMD社のロゴが出てきた。
写真 高温になるチップセット(AMD製)
ちなみにワテは下写真のようなポケットルーペを普段から持ち歩いている。
写真 携帯用のポケットルーペ(LED照明付き)が便利
照明付きルーペを持っていると、ぶらっと立ち寄ったハードオフなどでジャンクを漁る時に役に立つ。
サーマルパッドを交換する
さて、元々付いていたサーマルパッドは剥がす過程でボロボロに分解してしまった(下写真)。
見た目でもあまり高品質な材質には見えなかった。
何となく安っすいシリコンゴムみたいな材質に見えた(実際は不明だが)。
で、アマゾンなどで熱伝導率の良いサーマルパッドを購入しようかなあと思ったのだが、ほんの 1cm x 1cm程度の面積が有れば良いのでわざわざ買うのも勿体ない。それに熱伝導率の高い製品だと一枚で2千円とかするし。
手持ちのパーツで高熱伝導性ゴムを持っている事を思い出した(下写真)。
写真 サーマルパッドを手持ちの高熱伝導性ゴムに置き換える
サーマルパッド業界に関してはワテは素人なのだが、まあ多分、サーマルパッドを日本語でいえば熱伝導性ゴムだと思ってよいのかな?
要するに同じ物でしょ?知らんけど。
という事で下写真のようにちょっと大きめで厚さも5mmほどあり分厚いけれど、丁度良いサイズの高熱伝導性ゴムの切れ端が有ったので採用した。
写真 手持ちの高熱伝導性ゴムを採用した
この高熱伝導性ゴムの製造元は不明なのだが、かなり以前にジャンク屋の店頭で長さ10cmくらいのやつが一箱数十本ほど入っていて安かったので購入したのだ。正確な値段は忘れたが全部で数百円くらいか。
恐らく日本製だと思う(ワテの直感だが)。
この製品の熱伝導率などの情報は不明だが、手で持っただけでも手の熱が吸い取られるようで冷たく感じるのだ。なので、かなり熱伝導率の良い高品質な熱伝導性ゴムだと思う(ワテの直感だが)。
下写真のようにアルミヒートシンク側にも古いサーマルパッドの残りカスが残っていたので無水エタノールと綿棒で清掃した。下写真の色ムラは無水エタノールが蒸発途中なので。
写真 無水エタノールで清掃直後のアルミヒートシンク
無水エタノールは清掃に便利だし、すぐに蒸発するので扱いやすい。
このあと、アルミヒートシンクをネジ固定して、マザーボードも取り付けて配線もやり直して、パソコンを無事に組み上げた。
サーマルパッド交換後のチップセット温度は65℃前後
サーマルパッド交換前はHWINFO64でモニターするとチップセット温度は70℃前後だった。
それが、サーマルパッドを高熱伝導性ゴムに交換したら、下写真のように65℃前後に下がった。
この例では67.3℃を示しているが、その後、HWINFO64で見る限り大体は65℃前後に落ち着いている。
なので、大型の熱伝導性ゴムを採用した結果、放熱効果が若干ではあるが改善した。5℃の温度低下は中々良い結果だと思う。
MSI Centerが検出するチップセット温度との相違
HWINFO64は有名なソフトのようで、使っている人も多いらしい。というワテは今回Windows11を使い始めて初めて知ったツールなのだが。
一方、MSIマザーボードには純正のツール(MSI Center)があり、そのツールを使ってもマザーボードの各種情報を取得出来る。あるいはBIOSのアップデート作業なども簡単に出来るのだ。
そのMSI Centerを使ってチップセット温度を計測してみた。
写真 チップセット温度 左:MSI Center(48℃)、右:HWINFO(67.3℃)
上写真で示すように、チップセット温度はMSI Centerでは48℃、HWINFOは67.3℃を示している。約20℃の差があるのだ。
上写真はパソコンの電源をONして使っている状態だ。
一方、パソコンがスリープして復帰した直後だと、MSI Center 39℃、HWINFO 58℃だった。ここでも約20℃の差がある。
このMSI Centerは、チップセットが90℃を示す最初の問題を調査する際にも使ったのだが、確かその時にもMSI CenterとHWINFOとで、計測温度に20℃くらいの差が有ったと記憶している。
その件に関しては、ワテの勝手な解釈として、MSI CenterとHWINFOが示すチップセット温度は計測場所が異なるんだろうと思っていた。
つまり、下写真のようにHWINFOでチップセット文字の辺りにマウスカーソルを持って行くと、ポップアップでメッセージが表示される。いわゆるツールチップと言うやつだ。
そのポップアップメッセージをテキストに書き下ろした。
チップセットの内部温度。
この値はチップセットから直接読み取られるため、チップセットの近くにあるメインボードセンサーによって報告される温度よリも高くなります。
つまり、温度センサーの場所が、AMDと印字されたチップセット内部にあるのか、あるいはメインボードセンサーにあるのかで、計測温度に20℃程の差が出るんだろうと解釈したのだ。
ここでメインボードのセンサーとは、恐らくAMDチップセットがハンダ付けされているエメラルド色の数センチ角のプリント基板の事だと思う。
さて、この件に関しては実際のところは不明で、ワテも未確認なので今後時間が有れば調べたい。
あるいはもし詳しい情報をご存知の方がおられましたら、お教え頂けると嬉しいです。
なお、HWINFOをバージョンアップして現在はHWINFO 64(8.30-5800)を使っているのだが、このバージョンだと上記のポップアップメッセージが出なくなっている。
なぜだろうか?
(参考)Windows11パソコンのパーツ
ワテ自作パソコンに採用したパーツは以下の通り。
番号 | 種類 | メーカー | 製品名 |
1 | CPU | AMD | Ryzen 7 8700G 100-100001236BOX 【国内正規品】 |
2 | M/B | MSI | MAG B650 TOMAHAWK WIFI 【PCIe 4.0対応】 |
延長保証 個人5年 価格: \1,100(税込) | |||
3 | CPUクーラー | DEEPCOOL | LS520S ZERO DARK R-LS520-BKNNMM-G-1 |
4 | メモリー | Crucial クルーシャル | CP2K32G56C46U5 [デスクトップ用 / DDR5 SDRAM(288pin) / 64GB(32GB × 2枚組)セット / DDR5-5600 CL46-45-45 / Intel XMP 3.0 および AMD EXPO 両対応 / Crucial Proシリーズ] |
5 | SSD | Western Digital | WDS400T2X0E [M.2 NVMe 内蔵SSD / 4TB / PCIe Gen4x4 / ヒートシンク非搭載 / WD_BLACK SN850X NVMe SSDシリーズ / PS5動作確認済 / 国内正規代理店品] |
表 Windows11パソコン自作用に購入したパーツ一式
これら5点のパーツ以外の部品(電源、ケース、キーボード、マウス、ファン)などは今まで使っていたパソコンのやつを再利用した。
まとめ

気になることは解消するのが一番だ。
当記事では、ワテが久しぶりに自作したWindows11パソコンのマザーボード上のチップセット温度が高温になる問題に関して、前から気になっていたサーマルパッドを交換した過程を紹介した。
その結果、チップセット温度は約5℃低下したのでサーマルパッド(高熱伝導性ゴム)を大型化して接触面積を増やすと同時に、熱伝導率の高いサーマルパッドを採用する事でチップセットの冷却に効果が有ることが確認出来た。
当初は90℃もの温度を示していたチップセットは、SSDスロットをM2_3をM2_1に変更して70℃に下がった。
今回、サーマルパッドを交換することで70℃を65℃前後まで下げることが出来た。
と言う事で、約2ヶ月前に自作して組み上げたWindows11パソコンであるが、これで安心して使えるだろう。
今まで2ヶ月間使っているが、以前のWindows10パソコンに比べて動作も素早く快適だ。
4TBのSSDドライブ(M.2タイプ)を採用したので、それがレスポンス向上に大きく貢献しているようだ。
(続く)
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