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【ワレコの電子工作】ぺるけ式トランジスタ式ミニワッターPart5 19V版(二号機)完成【PCBWay基板採用の自作シャーシ】

この記事は約24分で読めます。
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ワレコ
ワレコ

さて皆さん。

アンプが無事に完成しました。

今年の1月末から開始した「ぺるけ式トランジスタ式ミニワッターPart5 19V版(二号機)」製作プロジェクトであるが、PCBWayさんに発注した専用基板を使って無事に完成した。

でもワテの気分が停滞していたので約二ヶ月も掛かってしまった。

前回記事はこちら⤵️

ぺるけさんオリジナル記事はこちら⤵️

今回の記事では、配線作業、ヒートシンク自作、動作確認作業などを紹介したい。

では本題に入ろう。

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電源の配線作業

前回までの作業でアンプ基板の半田付け、プリント基板を利用したシャーシ製作までは完了している(下写真)。

写真 「ぺるけ式トランジスタ式ミニワッターPart5 19V版(二号機)」未配線

このアンプにはPCBWayさんへ発注した専用基板を採用している。

黄色レジスト基板はぺるけさんのサイトを参考にKiCadで設計して作成したアンプ基板だ。1.6mm厚両面スルーホールで、サイズは89×139 mm2だ。これはぺるけさん採用のタカス基板と同じ寸法にしたからだ。

一方、黒色レジスト基板を四枚使ってシャーシのフロントパネルとリアパネルも作成した。

さっそく配線作業に取り掛かる。

下写真のように、リアパネルに付けたACインレットとフロントパネルのトグルスイッチ(電源SW)を配線した。

写真 アルミ複合板(白)とエゾマツ材で自作したシャーシ

上写真の赤黒ケーブルの先にはVHコネクタを付けている。これは下写真に示すスイッチング電源のAC100V入力コネクタに接続する。

最近のワテはDIYに強力両面テープを使う事が多い。

従来は基板や大型部品をシャーシに固定する場合にはシャーシにM3ネジ用の穴を四つ開けて、六角スペーサーで固定する事が多かった。

でも、シャーシにネジ穴を開けると見た目が悪い。そこで両面テープで貼るのだ。

写真 スイッチング電源の裏側に強力両面テープを貼る

アマゾンで超強力両面テープ(粗面用)を見る

このスイッチング電源はDC24V出力だが、ポテンショメータを回すと±10%の範囲で出力電圧を可変出来る。

写真 スイッチング電源の出力電圧を最小値にする

そこで上写真のようにインパクトドライバー用のプラスビットを使ってポテンショメータを最小位置まで回した。

でも実際は±15%程度は可変できるようなので、最も出力を小さくするとDC19.8Vが得られた(下写真)。

写真 ぺるけ式トランジスタ式ミニワッターPart5 19V版(二号機)をDC19.8Vで駆動する

ぺるけさんのオリジナル記事では電源電圧は

DC19V±0.5V、2A以上

と指定されている。

一方、ワテの場合は

DC19.8V、4.5A

で駆動することにした。

電源電圧が0.3Vほど指定値をオーバーしているが、まあ大丈夫だろう。

写真 スイッチング電源貼り付けが完了した

上写真では電源部が完成したので、アンプ基板にパルジェネで信号を入れて出力をオシロで観察している。

オシロの画面は撮影していないが、この時点でアンプ基板は正常動作している事が確認出来たので一安心だ。

この後で、オシロを使った測定作業も紹介する。

アルミアングルでヒートシンクを自作する

このアンプは二号機だが、数年前に作成した一号機ではぺるけさん指定のヒートシンクサイズだと出力トランジスタの表面温度が70℃近くにもなった。

ぺるけさん指定のヒートシンクサイズ(片面)
2mm厚・30mm幅・90cm長のアルミ材を70mmの長さに切って(面積は20平方cm以上)

そこで一号機ではアルミLアングルをカットしたものをヒートシンクに貼り付けて表面積を増やすことで50℃程度まで下げることが出来た(下写真)。

写真 ヒートシンクを大型化したぺるけ式ミニワッター(一号機)

その経験を踏まえて、今回も大型のヒートシンクを採用した。

下写真のように50x50x3tのアルミLアングルを買ってきて113mmにカットしたものを2つ作った。

ワテ採用のヒートシンクサイズ(片面)
3mm厚、5×11.3×2(L型なので)=113平方cm

写真 50x50x3tのアルミLアングルを113mmにカットしたものを2つ作る

ちなみにアルミLアングルのカットは下写真のように金切り鋸を使った。

鋸刃がブレないようにするために、2×4材の端材を2個使ってLアングルを押さえると同時に、その隙間に鋸刃を通すことで刃ブレを防止した。

写真 アルミLアングルを真っ直ぐに切断する工夫

下写真のように自作ヒートシンクを使って出力パワートランジスタを固定した。

写真 自作ヒートシンクを使って出力パワートランジスタを固定

なお、上写真でプリント基板には自作の接着式基板スタンドを取り付けてアルミLアングルに貼り付けている。

このあとの実験で分かるようにヒートシンクはこのサイズで十分な放熱能力を発揮出来た。

ただし、一つ問題がある。

それは上写真で分かるようにLアングルが基板下部に入り込んでいるので、基板の裏面にアクセスしづらくなった。

全て半田付けを終えていると問題は無いが、実はこの時点で入出力のコネクタ(XHやVH)を取り付けていなかったので、このあと、一旦ヒートシンクを取り外してコネクタを半田付けして再組み立てしたのだ。かなり面倒くさかった。

と言う事でもし読者の皆さんが類似のヒートシンクを作るならLアングルではなくてT字型のやつを使う方が良いと思う。T字のやつなら基板の下に入り込む部分も2~3cm程度のものを採用すれば基板裏面へのアクセスを悪くする事はないので。

なお、この自作シャーシの底板はアルミ複合板だ。

その上にこのアルミLアングル採用のヒートシンクを載せることで、熱がアルミLアングルからアルミ複合板に流れるので、さらに効率よく冷却出来る事が分かった。その件はこのあとで紹介する。

ヒートシンクが完成したので、パルジェネ信号を入れて簡単な動作実験をしてみた。

写真 出力パワートランジスタにヒートシンクを付けたのでパルジェネで動作確認

下写真のように10KHz(2Vp-p)の矩形波を入れてみたら、無事に出力信号が得られた。

写真 下:入力 10KHz(2Vp-p)、上:出力(約14Vp-p)

なお、この測定の時点では、Bass Boostスイッチは取り付けていないのでBass Boostが有効化されている。

下写真は100KHzを入れた場合だ。

写真 下:入力 100KHz(2Vp-p)、上:出力

立ち上がりや立下がりがかなり鈍っているが、変な発振など無さそうなのでほっと一安心というやつだ。

入出力端子とアンプ基板をケーブル接続する

次は入出力端子とアンプ基板とをケーブルで接続する作業だ。

この「ぺるけ式トランジスタ式ミニワッターPart5 19V版(二号機)」には入力部に10KΩAの2連ボリュームを付ける。

下写真はボリュームからアンプ基板入力端子(XHコネクタ)までの接続ケーブルを自作している様子だ。

写真 ボリュームからアンプ基板入力端子(XHコネクタ)までの接続ケーブルを自作

Rチャンネル:赤Inー黒Gnd

Lチャンネル:青Inー茶Gnd

と決めた。

ワテの場合は日本圧着端子製造(JST)のXHやVHコネクタを使う事が多い。

種類 ピッチ 定格電流 定格電圧 ワテの用途
XH 2.5mm 3A (AWG#22使用時) 250V

小信号用(例:アンプ入力)

VH 3.96mm 10A (AWG#16使用時) 250V

電源ケーブル

パワーアンプ出力

表 XH、VHコネクタの仕様とワテの用途

XHやVHコネクタは秋月電子などでも売っているので入手性が良い。

下写真のようにXHコネクタをケーブルに圧着した。

写真 XHコネクタをケーブルに圧着した(実体顕微鏡撮影)

アマゾンで圧着ペンチXH用を見る

一方、入力RCA端子からボリュームまでの配線は、下写真のように2芯(赤・透明)を銅線で覆った黒色シールド線が手持ちに有ったのでそれを使った。

確か切り売りで買った「MOGAMI 2944 機材コンソール用 ケーブル」というやつだ。やっぱりオーディオケーブルはモガミ電線を使いたい。

アマゾンで2芯 シールドケーブル mogamiを見る。

左右RCA端子のGNDは下写真のようにパネル部で接続してシールド銅線に接続した。

写真 リアパネルのRCA端子、スピーカー端子の配線作業

ちなみに上写真のハンダリールはワテ自作だ。別記事で紹介しているので興味ある人は御覧ください。

下写真のように入出力関連の全ての配線作業が完了した。

写真 入出力の配線作業が完了

下写真のように入力RCA端子、出力スピーカー端子に電線を半田付けした。ちょっと半田付けが雑なのが気になるが。

写真 入力RCA端子、出力スピーカー端子の配線の様子

電線はよく捻ってツイストペアケーブルにしておいた。ツイストペアにしておくとコモンモードノイズに強いのは分かるが、オーディオ機器の内部配線をツイストペアにするとどれくらい効果があるのかはワテは知らない。

下写真のようにアンプ基板下部にはXHコネクタ(青茶、赤黒)で入力信号を接続し、基板上部ではVHコネクタ(青茶、赤黒)で0.5sqのKIV線をスピーカー端子まで接続している。

ヘッドホンジャックはフロントパネルに取り付けているが、今回は配線は省略したのでヘッドホンは使えない。もし将来必要になれば配線しても良い。

このようにケーブルをコネクタ式にしたので必要に応じて基板からケーブルを外せるのでメンテナンス性が良い。

写真 XHコネクタ、VHコネクタを採用してスッキリ配線出来た

ちなみに、「ぺるけ式トランジスタ式ミニワッターPart5 19V版(一号機)」は下写真のように黒色基板を採用している。

写真 ぺるけ式トランジスタ式ミニワッターPart5 19V版(一号機)

この黒色基板はワテがKiCadを覚えて初めて設計した基板なのだが、気合を入れて設計したので色んな工夫をしている。この基板もPCBWay製だ。詳細は別記事で解説しているので興味ある人は御覧ください。

なお、この黒色基板は見ての通りユニバーサル基板の如く多数のスルーホール穴が開いている。その理由は、ぺるけさん採用のタカスのユニバーサル基板のレイアウトを忠実に似せて作成したからだ。

シルク文字も基板の表裏に多数入れた。

その結果、余りにも複雑な見た目になってしまったので、設計したワテ自身ですら半田付け作業時に部品をどのスルーホールに挿し込んだら良いのか迷ってしまった。

もちろんこの黒色基板は機能的には全く問題なく使えるのだが、譲って欲しいと言う人も時々あるので、見た目が複雑な基板をお送りするのはワテも心配になる。基板を受け取った人が上手く完成させることが出来るだろうかと。

それらの反省を踏まえて、黄色レジストの二号機基板はシンプルで分かり易い基板にしたのだ。

トランジスタ式ミニワッターPart5 19V版(二号機)の動作確認

無事に配線作業が完了したのでアンプの動作確認を行う。この時点まででも何度かパルジェネとオシロを使ってある程度は動作確認が出来ているので致命的な間違いは無さそうだ。

下写真はぺるけ式アンプ試験ワークベンチをワテが自作したものだ。

写真 ワテ自作の「ぺるけ式アンプ試験ワークベンチ」

アンプ試験ワークベンチの製作記事はこちら。

まずはLチャンネルからテストした。

アンプ出力部分には10Ωのダミーロード(無誘導型)が入っている。

写真 Lチャンネル 下:入力 10KHz(2Vp-p)、上:出力

上写真のように10KHzでこの波形なら、かなり良い性能だと思う。変なリンギングも無いし、発振も無さそうだ。

下写真はワテが使っているHPの中古パルスジェネレータだ。ボタンが多くて使いこなせていないが、普段はアンプのテストに使う程度なので周波数を変更するくらいしかやらない。

写真 中古で数千円くらいで買ったHPのパルスジェネレータ

次はRチャンネルだ。

写真 Rチャンネル 下:入力 10KHz(2Vp-p)、上:出力

上写真のようにRチャンネルも綺麗な波形だ。

乱れのない綺麗な方形波応答の波形を見るだけで良い音が出そうなのが期待出来るぞ。

その他の配線作業

幾つかの配線作業をまだやっていなかったので、以下で行う。

電源表示のLEDを付ける

下写真のように電源表示LEDは先端がΦ2mmの円筒形の緑LEDを採用した。コネクタはXHだ。

写真 電源表示LEDは先端がΦ2mmの円筒形の緑LEDを採用(コネクタはXH)

下写真のようにぺるけさん設計基板には電源表示LEDを接続出来るようになっている。電流制限抵抗はワテは下写真のようにピンヘッダソケット(2ピンメス)を取り付けてリード抵抗を脱着可能にしている。

写真 電源表示LEDや電流制限抵抗の取付の様子

下写真のように無事に電源表示LEDを光らせる事が出来た。

フロントパネルに採用したPCBWay製基板にはΦ2mmの穴あけ加工がされているのでΦ2mmのLEDがうまい具合に差し込めるのだ。

写真 電源表示LEDの発光の様子

手作業でこの手のパネル加工をしてもこんなに綺麗に仕上げることは不可能だろう。

このLEDは推奨電流は10mAだが、ワテは控えめな光量が好きなので6mAくらいで光らせている。

Bass Boostスイッチを配線する

最後にBass Boostスイッチを配線する。これもコネクタ式にした。

写真 Bass Boostスイッチは2ピンピンヘッダ採用のコネクタ式にした

Bass BoostスイッチはOpen状態でブースト有効、Close状態でブースト無効だ。なので二本の電線には極性は無いので白色ケーブルをツイストペアにして末端には2ピンのピンヘッダソケットを半田付けした。

一方、アンプ基板には2ピンのピンヘッダを半田付けしているので、上写真の黒色ピンヘッダソケットを向きは気にせずに差し込めば良い。

最終動作確認

Bass Boostも付けたので、最終的な動作確認をやってみた。

ぺるけ式アンプ試験ワークベンチを使っている。アンプ出力には10Ωの無誘導巻ダミーロードを入れている。

まずは1KHz(2Vp-p)Lチャンネルだ。

写真左がBass Boostオフ、右がオンだ。

Bass Boostオフ Bass Boostオン

写真 Lチャンネル、下:入力 1KHz(2Vp-p)、上:出力

上写真のように1KHz方形波入力の場合なら、Bass Boostの有無で波形に変化が見られた。

波形は立ち上がりも立下がりもリンギングもオーバーシュートもアンダーシュートも目立たない綺麗な波形だ。

次は10KHzだ。

Bass Boostオフ Bass Boostオン

写真 Lチャンネル、下:入力 10KHz(2Vp-p)、上:出力 

上写真のように10KHzでも非常に綺麗な波形だぞ。素晴らしい。

次は100KHzだ。

未計測
Bass Boostオフ Bass Boostオン

写真 Lチャンネル、下:入力 100KHz(2Vp-p)、上:出力 

まあ100KHzなんてワテには聴こえないので、どうでもいいが。

次はRチャンネルだ。

Bass Boostオフ Bass Boostオン

写真 Rチャンネル、下:入力 1KHz(2Vp-p)、上:出力

上写真のようにRチャンネルもLチャンネルと同じく綺麗な波形だ。

10KHzや100KHzもLチャンネルと同じ感じだった。

いや~、オシロの波形に変な発振などが無いのは非常に気分が良い。

これで全ての配線作業が完了した。

ただしヘッドホン端子は未配線。

ヒートシンクの効果を確認

パワーアンプ製作後に必須なのがヒートシンクの放熱能力の確認作業だ。

一号機製作の経験でも、この「ぺるけ式トランジスタ式ミニワッターPart5 19V版」はかなり発熱が大きい。

下写真のようにデジタル温度計のセンサーをNPN-PNPパワートランジスタの間のヒートシンクに貼り付けて温度計測した。

写真 デジタル温度計でヒートシンク表面温度を計測

その結果、上写真のように39.9℃と計測された。室温が約20℃なのでこれはかなり良い性能だ。

アマゾンで「デジタル温度計 小型」を見る。

ちなみに、下写真のようにアルミLアングルで自作したヒートシンク全体がシャーシ底板に接触しないように白色樹脂製六角スペーサーを挟んで数ミリ浮かせると43.9℃になった。

写真 アルミLアングルで自作したヒートシンクをシャーシ底板に非接触にすると43.9℃

このようにシャーシ底板に用いたアルミ複合板も放熱に貢献していることが分かった。

最後に下写真のように上蓋もはめてみた。これもアルミ複合板だ。青色保護膜は剥がしていない。

写真 アルミ複合板の天板をはめるとてヒートシンク温度を計測

その結果、下写真のように温度は50.0℃になった。

写真 アルミ複合板の天板をはめると温度は50.0℃になった

天板をはめてシャーシを密閉してもヒートシンク温度50℃なら実用性は高い。

今は春先なので室温は20℃くらいと低いが、この測定で分かるように室温プラス30℃くらいになるので、夏場の30℃くらいの気温ならシャーシ内部は60℃程度になると予測される。

60℃なら部品が直ぐに壊れる事は無いと思うが、出来れば夏場でも50℃以下、理想的には40℃程度まで温度を下げたい。

暫く使ってみて必要なら天板に穴あけ加工をするとか、あるいは一号機のようにアルミLアングルをカットして既存のアルミヒートシンク表面に接着剤で貼り付けて放熱能力を上げるなどの改良も予定している。

一号機に比べて二号機は発熱が少ない

なお、一号機に比べてこの二号機は出力パワートランジスタの発熱が体感で3~4割程度少ないように感じる。その理由は不明だ。

使った部品は一号機も二号機もほぼ同じ。出力SEPPのパワートランジスタのバイアス回路に用いている二個のダイオード(1NU41)も同じロットだ。

出力パワートランジスタの発熱に関しては以下に引用するぺるけさんの記事に詳しい解説がある。

・アイドリング電流のチェック・・・出⼒段の両エミッタ間(0.68Ω×2個分)の電圧が測定できるようにDCVレンジのテスターを当てて電源ONします。

電源ON直後のアイドリング電流の初期値は180mA±40mAくらいなので、両エミッタ間の電圧は0.25V±0.05V(すなわち)になり、出⼒段トランジスタが暖まるにつれて上昇が続き、やがて基板が温まって近くにある1NU41に熱が伝わるようになると時間をかけて徐々に下がってきて150mA±35mA(すなわち0.2V±0.05V)あたりで落ち着きます。

この値は各部品のばらつきによるものなので、左右で同じにはなりませんし、この値と同じでなくても問題ではありません。しかし、0.4Vよりも⾼い場合は異常電流が流れていますので、電流値を素早く読み取って電源を切ってください。

引用元 http://www.op316.com/tubes/mw/mw-19v-p5.htm

そこで二号機の出力段のパワートランジスタ(2SA1931/2SC4881)の間の二つの0.68Ω抵抗の両端の電圧、電流を計測・計算してみた。室温23℃くらい。

Lch  262mV /1.36Ω = 193mA
Rch  265mV /1.36Ω = 195mA

この値はぺるけさん規定値150mA±35mAの最大値185mAよりも10mA高い。原因は調査中だ。それにも関わらず発熱量が少ないのだ。不思議だ。

ちなみに、一号機の場合は二つの0.68Ω抵抗の両端の電圧、電流は、以下の通り。

Lch  228mV /1.36Ω = 167mA
Rch  246mV /1.36Ω = 180mA

この値はぺるけさん規定値の上限値185mAにギリギリに収まっているが、そのせいで発熱が大きいのだと思っていたのだが、二号機はそれ以上にアイドリング電流が大きいのに発熱が少ない。謎だ。

という訳で二号機のアイドリング電流がぺるけさん規定最大値を5パーセントほど上回っている理由は不明だが、まあ方形波応答を見る限り正常動作しているから良しとする。

今の季節が春先の涼しい時期だからヒートシンクの放熱効率が良いのかな?現在の室温が23℃くらいなので夏場の30℃以上の気温の場合にも再測定してみたい。

出力DCオフセット電圧をゼロ調整する

実は、この時点まで出力DCオフセット電圧の調整をすっかり忘れていた。

ぺるけさんの解説記事では最終的には3mV以内程度に収まれば良いとのことだ。

ワテ自作の二号機では、10Ωポテンショメータを調整しなくても出力スピーカー端子で計測するDCオフセット絶対値は左右ともに1mV程度と少なかった。

その後、数十分通電してアンプ全体の温度が熱平衡状態になった時点で再度10Ωポテンショメータを調整して、DCオフセット電圧は左右チャンネル共に1mV以下、つまり数百μV程度に設定が出来た。非常に良い性能だ。

その理由は恐らく初段の2SK170BLペアを超々高精度にIdssやVgsで選別したからだと思う。電子工作界の超神経質と呼ばれているワテである。その記事はこちら。

ぺるけ式トランジスタ式ミニワッターPart5 19V版(二号機)の紹介

下写真のように無事に「ぺるけ式トランジスタ式ミニワッターPart5 19V版(二号機)」が完成した。

写真 無事に「ぺるけ式トランジスタ式ミニワッターPart5 19V版(二号機)」が完成した

スイッチング電源をオーディオ機器に使うなんてのは絶対に許せないと言う人も多いだろう。高周波ノイズがオーディオ信号に混じって音が悪くなるなどの意見だ。

ところがワテの経験で言うと(少ない経験だが)、最近のスイッチング電源は性能は良いしオーディオ信号にノイズが混じるなんて言う経験は無い。

一方、大型トランスをブリッジ整流して大型電解コンデンサで平滑化した電源のほうがトラブルが出易いと思う。ワテの場合は、安易に3端子レギュレータを使ったリニア電源を採用して正体不明のハムノイズに悩まされた事もあるので。

と言う訳で、最近のワテはスイッチング電源をよく使う。というか、大型で重い電源トランスはめったに使わない。以前ならパワーアンプに巨大なトロイダルトランスが載っているとパワーを感じたのだが、最近はそう思わなくなった。スイッチング電源でエエやんという感じ。小型で効率も良いし。

ただしワテのお勧めは日本製の有名メーカーのスイッチング電源だ。TDK-Lambdaとかコーセルとかだ。

プリント基板で作成したフロントパネルとリアパネル

今回作成したアンプではプリント基板をシャーシパネルに採用すると言うアイデアを試してみた。

これらのシャーシ基板はアンプ基板と同じくPCBWayさんに発注したものだ。

その結果、プリント基板シャーシパネル作戦はとても素晴らしいことが分かった。

下写真のようにプリント基板シャーシパネルは見た目も良いし、シルク文字も読み易い。文字だけでなく線も描ける。必要なら画像を描く事も可能だ。

写真 プリント基板で作成したシャーシパネル(リア)

PCBWayさんの場合、プリント基板は今回採用した黒色以外にも赤、緑、青、白、紫、黒(艶消し)、無しなど選べる。

もし色無し基板で表面仕上を金メッキにすれば、物凄く豪華な金色パネルを製作することも可能だ。

今度やってみたいが費用がかなり高額になる可能性があるが。

さらにPCBWayさんの場合は今回採用した1.6mm厚基板が標準だが、以下のように各種の厚さを指定出来る。

板材の厚み[mm]: 0.2, 0.3, 0.4, 0.6, 0.8, 1.0, 1.2, 1.6, 2.0, 2.4, 2.6, 2.8, 3.0, 3.2

写真 プリント基板で作成したシャーシパネル(フロント)

黒色プリント基板に白色シルク文字で作成したフロントパネルは、アルコールで清掃してもシルク文字は簡単には消えないので、そう言う点でもお勧めだ。

もしインスタントレタリングを転写して自作したシャーシなら、アルコールで擦ると消えてしまうだろう。そんなのは嫌だな。

銅製ツマミで高級感を出す

下写真のようにボリュームツマミに銅製キャップを被せてみた。

写真 銅製キャップをボリュームツマミにするアイデア

この銅製キャップは銅管を使った配管で使われるパーツだ。銅管の末端にこのキャップをロウ付けして閉じるなどの用途に使うやつだと思う。

上写真の銅製キャップは買ったままの状態なので表面に小傷などがある。今後、ピカールなどの研磨剤で表面を磨いて光沢を出して、クリアースプレー塗装を予定している。

下写真のように銅製キャップと黒色ツマミの間には3Dプリンタで印刷した部材をはめ込むのだ。

写真 ワテ考案の銅製キャップをボリュームツマミにするアイデア

数百円の銅製キャップを使って高級感ある純銅製ボリュームツマミを自作するアイデアはワテが知る限り世界初のアイデアだ。

>>>アマゾンで銅管キャップを見る

ある種のオーディオマニアの中には銅に執着する人も一定数いるのは知っている。

銅製シャーシとか純銅製スピーカー端子とか無酸素銅線スピーカーケーブルとか、、、

ワテの場合はそう言うのは全く気にしない。その理由は高くて買えないからだ。

電子工作界のプアオーディオ派と呼ばれているワテである。

アマゾンで無酸素銅線 オーディオ用を見る。

通気口の追加とベッドサイドに設置

シャーシに天板を載せると完全に密閉されてしまう。

先日の実験ではシャーシ内部温度は室温プラス30℃強だ。

夏場の気温35℃だとすると、内部温度は65℃から70℃くらいになるだろう。

そこでもう少し放熱能力を上げる工夫をした。

100均のCanDoで下写真の排水口カバー220円を買ってきた。

写真 100均のCanDoで下写真の排水口カバー220円

このステンレス製の網目を利用するのだ。

下写真のようにアルミ複合板をカッターで四角に切り取った。

写真 アルミ複合板をカッターで四角に切り取った

アルミ複合板は軽いのだが両面にアルミの薄い板などが接着されていて、カッターで切っても簡単には切れない。かなり強い力で数回くらい切り込んだ。

そして、大型の金切り鋏で丸く切り取った(下写真)。

写真 大型の金切り鋏で丸く切り取った

最後に、下写真のように半丸金工ヤスリなどを使って丸く加工した。

写真 半丸金工ヤスリなどを使って丸く加工した

一方、ステンレス排水口カバーも高さ5ミリくらいに切り取った(下写真)。

写真 ステンレス排水口カバーも高さ5ミリくらいに切り取った

下写真のようにステンレス網目をアルミ複合板にアラルダイトで接着して天板が完成した。

写真 ステンレス網目をアルミ複合板にアラルダイトで接着して天板が完成

天板の小穴は天板を外す時に指を入れて引っ掛ける為に開けた。

ステンレス網目天板の放熱効果を確認する

現在の気温は27.3℃だ(下写真)。

写真 現在の気温は27.3℃

アンプの電源をONして数十分経過した。アルミヒートシンク表面に貼り付けた温度センサーで計測したシャーシ内部温度は55.5℃だ。

   

写真 アルミヒートシンク表面温度は55.5℃

温度上昇=55.5 – 27.3 = 28.2℃

室温プラス28.2℃なので、あまり効果無かったかな?

まあ、でも見た目では通気性は良さそうなのでこれで良しとする。

ぺるけ式トランジスタ式ミニワッターPart5 19V版(二号機)をベッドサイドに設置

下写真が無事に完成した「ぺるけ式トランジスタ式ミニワッターPart5 19V版(二号機)」だ。

写真 完成した「ぺるけ式トランジスタ式ミニワッターPart5 19V版(二号機)」リア

下写真のようにボリュームには銅製キャップを被せた。銅製キャップは耐水ペーパーで表面を研磨して見た目も良くなった。

 

写真 完成した「ぺるけ式トランジスタ式ミニワッターPart5 19V版(二号機)」フロント

下写真のようにスピーカーケーブルは赤白のごく普通のやつを使う。ただし接続部分にはVVFケーブル2.0SQの銅単線をはんだ付けして自作したものだ。このあと、熱収縮チューブを被せた。

写真 自作のスピーカーケーブル

下写真のようにオーラトーンのスピーカー端子に銅単線を挿し込んでしっかりと固定した。

 

写真 ワテのオーラトーン

一方、アンプ背面のスピーカー端子にも銅単線を挿し込んで固定(下写真)。

写真 アンプ背面のスピーカー端子にも銅単線を挿し込んで固定

これで無事に「ぺるけ式トランジスタ式ミニワッターPart5 19V版(二号機)」の設置作業が完了した。

このあと、YouTubeにあるオーディオ信号左右極性チェック、位相チェックなどの音源を使って正常動作を確認出来た。

「ぺるけ式トランジスタ式ミニワッターPart5 19V版」製作はこれで2台目だが、ぺるけさん設計のオーディオ機器はナチュラルサウンドで、耳に心地よい。

そしてスタジオモニタースピーカーの定番中の定番のオーラトーン5Cと組み合わせることで、究極のベッドサイドオーディオシステム(正確には布団サイド)が完成したのだ!

まとめ

ワレコ
ワレコ

電子工作が無事に完了すると達成感がある。気分も良い。

「こいつは春から縁起がいいわい」

当記事ではワテが二ヶ月前から製作開始した「ぺるけ式トランジスタ式ミニワッターPart5 19V版(二号機)」の最終配線作業、ヒートシンク自作と効果の確認、方形波応答での動作確認の様子を紹介した。

出力パワートランジスタのアイドリング電流がぺるけさん規定最大値よりも5パーセントほど上回る原因は不明だ。それにもかかわらず発熱が少ない。それも謎だ。

いずれにしても日常使いする予定のアンプなので発熱が小さいことは好都合だが。

方形波応答を見る限り、10KHzでも十分に綺麗な出力波形を観察することが出来たのでアンプとしての動作は問題無さそうだ。

プリント基板をシャーシパネルに採用するアイデアは手軽かつ低価格で見た目の良い電子機器を自作するのに適している事が判明した。

今後もこの手法を使って各種の電子工作をやりたい。

 

最近のワテはユニバーサル基板を使うことは無くなった。必ずKiCadで専用基板を設計して、基板製造メーカーさんに発注している。

最近ではPCBWayさんに発注する事が多い。PCBWayさんの場合、発注画面が完全日本語対応なので分かり易い。かつ、追加発注時の同梱発送も発注画面で出来るので送料を節約することが可能だ。

視力が低下しているワテは細かい作業がやり辛くなって来た。特に基板に小さい部品を半田付けする際には裸眼では見え辛いのだ。なので出来るだけ半田付け作業を簡単にするには専用基板が最適なのだ。

専用基板の設計は大画面液晶ディスプレイを使ってKiCadを操作すれば可能なので、作業性が良い。

KiCadで基板設計する時にはLTspiceでその回路図を事前シミュレーションすることも多い。

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と言う事で、完成までに二ヶ月ほど掛かってしまったが、無事に「ぺるけ式トランジスタ式ミニワッターPart5 19V版(二号機)」が完成したのだ。

今後の予定としては、このアンプをワテのベッドサイド(正確には布団サイド)に設置して、寝転んでリラックスしながらYouTubeや音楽を聴く予定だ。

→その後、無事に設置完了した。

このぺるけさん設計のアンプは本当にノイズが少ない。

差動バランスヘッドホンアンプをプリアンプにして、このミニワッターと組み合わせて使っているのだが、フルボリュームにしてもワテの耳ではハムノイズも残留ノイズも全く聴こえないのだ。

こんなに耳に心地よいオーディオシステムは滅多に無いと思う。

(続く)

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DIYオーディオ半田付け
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