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【ワレコの電子工作】ぺるけ式トランジスタ式ミニワッターPart5 19V版を自作【専用プリント基板をKiCAD7で再設計しPCBWay発注】

この記事は約20分で読めます。
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ワレコ
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本年度初の電子工作を開始した。

表題の通り、ぺるけさん設計の「トランジスタ式ミニワッターPart5 19V版」を自作することにした。

このアンプは数年前に既に自作していて、現在のワテのPCオーディオ用パワーアンプとして日常的に使っている。

ノイズが少なく自然な音なので長時間聴いても心地よいアンプなのだ。

その製作記事は以下の通り。

この第一号機アンプを製作した時には覚えたばかりのKiCad5を必死で使い込んで専用基板を設計してPCBWayさんに発注して、いい感じのアンプに仕上げることが出来た。

今回、第二号機を製作するに当たり、その専用基板を改良して新たに専用プリント基板を設計し直して、同じくPCBWay発注した。

当記事ではその基板に部品を半田付けする作業過程を紹介したい。

では、本題に入ろう。

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トランジスタ式ミニワッターPart5 19V版の1号機を振り返る

下写真がワテが数年前にKiCad5の操作を必死で覚えて設計した「トランジスタ式ミニワッターPart5 19V版」の1号機だ。

写真 「トランジスタ式ミニワッターPart5 19V版」の1号機(PCBWay発注専用基板)

この1号機に用いた専用基板は、ぺるけさん製作例で使われているタカス製ユニバーサル基板のレイアウトに似せてデザインしている。

かつ、基板の表裏でなるべく同じ配線パターンを描いて、その表裏の配線に多数のVIAを配置することで表裏パターンを電気的に接続して、配線の電流容量を増やす工夫をした。

その結果、下写真のように基板表面のシルク文字、VIAの穴、スルーホールなどが多くて見た目がゴチャゴチャしていて分かりづらいと言う欠点がある。

写真 トランジスタ式ミニワッターPart5 19V版の1号機専用基板(左:部品面、右:ハンダ面)

この基板を設計したワテですら、今このプリント基板を見ても、どの場所にどのパーツを差し込んだら良いのか直ぐには分からない。

この1号機は当初は下写真の自作の木製シャーシに収納していた。

写真 自作木製シャーシに収納した「トランジスタ式ミニワッターPart5 19V版」1号機

ちなみに上写真左の大型空冷ヒートシンクは、アルミLアングルを数センチにカットして、アルミ板にアロンアルファで接着して自作したものだ。

この大型アルミヒートシンクのお陰で、当初は70℃以上に上昇していたパワートランジスタの温度を50℃くらいまで下げることが出来た。その作業を紹介した記事はこちら。

自作オーディオは見た目が良いシャーシに入れたい

その後、この木製シャーシは下写真のサイドウッド付きアルミシャーシに変更して、アンプの中身も移植したのだ。その作業を紹介した記事はこちら。

写真 サイドウッド付きアルミシャーシ(左)に移植した「トランジスタ式ミニワッターPart5 19V版」1号機

上写真でオレンジ色パネルのアンプは「ぺるけ式FET差動バランス型ヘッドホンアンプ15V(2017版)」だ。

現状では、この二台のアンプを接続してワテのPCオーディオ環境で使っている。

  • ぺるけ式FET差動バランス型ヘッドホンアンプ15V(2017版)製作記事
  • ぺるけ式トランジスタミニワッターPart5(19V版)製作記事

これらのアンプの組み合わせで聴くパソコンの音声や音楽はノイズがなくて静寂感があり、ワテのお気に入りだ。

フルボリュームでも殆どノイズが聞こえないのが素晴らしいのだ。

やっぱりオーディオ機器は見た目が命と言っても良いだろう。

Fusion360で設計したアンプ用のアルミパネルをPCBWayの金属加工メニューから発注した。

PCBWayさんの場合、これくらいの大きさのアルミパネル加工なら数十ドル程度で発注できるので、フロントとリアの合計2枚でも100ドル程度で発注できる。

あとは木工DIYで自作したサイドウッドにアルミパネルを貼り付けて自作のシャーシを組み上げている。

トランジスタ式ミニワッターPart5 19V版の2号機を自作する

さて、上でも説明したように「トランジスタ式ミニワッターPart5 19V版」1号機用に設計した黒色の専用基板はシルク文字、VIA、スルーホールが多すぎて分かり辛い。

基板は10枚製作して自分で1枚使ったが残り9枚の基板は、欲しい人に差し上げたり、あるいはヤフオクに出品して処分したので手元にはほぼ無くなった。

でも現在でもたまに読者の方からこの専用基板を譲って欲しいと言うお問い合わせがあるので、追加で基板を製作することにしたのだが、この際、もう少し分かりやすい基板に改造しようと思ったのだ。

そこで、KiCad5で設計した過去データを最新のKiCad7.0に読み込んでプリント基板を設計し直したのだ。

図 KiCad7.0とKiCad5.1.12-1アイコン

上図右のKiCad5.1.12-1アイコンはKiCad5の最終安定版だ。

過去にKiCad5で設計した回路を見たい場合もあるので残している。

KiCad6は失敗作だったようで、ワテのWindows10Pro x64では数分に一回くらい異常終了したり、無反応になるなど、完成度が低かった。

KiCad7は安定していて使い易い。

KiCadを覚えて専用基板を設計出来るようになると電子工作が楽しくなる。

ワテはニ回くらい挫折したが、三回目に必死で一週間くらい使い込んだら案外簡単にマスター出来たのだ。

取り敢えずKiCadの教科書を一冊買ってみて、練習問題をやってみると良いだろう。

あとは、やる気だ!

KiCad7.0でプリント基板を再設計する

下図はKiCad7.0の起動画面。KiCad5と見た目は殆同じ。

図 KiCad7.0の起動画面

KiCad5で設計した回路図やプリント基板レイアウトはKiCad7.0に無事にインポート出来た。

図 KiCad5で設計した「トランジスタ式ミニワッターPart5 19V版」回路図をKiCad7.0に無事にインポート出来た

ただし、KiCad5で自作していた部品シンボルやフットプリントはKiCad7にはそのままではインポート出来ないようだったので、KiCad5のそれらのデータは諦めることにした(何らかのやり方があるかも知れないが面倒なので調べていない)。

今後、KiCad7を使いながら必要に応じて部品シンボルやフットプリントを新規に自作するつもりだ。

同様に基板レイアウトもKiCad7.0に無事にインポート出来たので、ゴチャゴチャと分かりづらかったシルク文字やVIAを減らして下図のようにスッキリとしたレイアウトに変更した。

図 「トランジスタ式ミニワッターPart5 19V版」基板レイアウトをKiCad7.0で再設計した

下図はKiCadの3Dビューア機能で描画したプリント基板の完成予定CGだ。

図 KiCadの3Dビューア機能で描画したプリント基板の完成予定CG

さらに下図は、部品を取り付けた場合のCGだ。

図 KiCadの3Dビューア機能で描画したプリント基板の完成予定CG(部品取り付け時)

これらの基板データをガーバー形式で出力して、それらをPCBWayさんのサイトにアップロードして、「トランジスタ式ミニワッターPart5 19V版」2号機用のプリント基板を発注した。

多くの基板製造メーカーさんの場合、ガーバーデータをアップロードしてから一週間前後で自宅にプリント基板が届く。

今回PCBWayさんに発注した基板も一週間ほどで自宅に届いた。

基板製作費は 100mmx100mm 以内なら10枚で約5ドル程度だ。今回の基板は 89mm×139mmなので若干製作費は上がるがそれでも30ドル程度だったと思う。銅箔厚さやランド処理(金メッキ、半田メッキなど)に応じても基板価格は変化する。

あとはFedex送料が20ドルほど掛かるので、総額でも数十ドル程度なので自作派には嬉しい価格設定だ。

なお発送手段をFedexやDHLでは無くてChina Post(中国郵政)を選べば送料は10ドル程度なので、さらに費用を抑えることが可能だ。ただし輸送に掛かる日数が若干増える。

それでもワテの過去の経験では、ガーバーデータをアップロードしてからニ週間も有れば自宅に到着したと思う。

「トランジスタ式ミニワッターPart5 19V版」2号機用のプリント基板に半田付け開始

下写真が、PCBWayさんから送られてきたプリント基板だ。

上で紹介したCGにそっくりでしょ!

写真 PCBWay製「トランジスタ式ミニワッターPart5 19V版」2号機用のプリント基板(半田面)

このPCBWay製基板の仕様は以下の通り。

基板サイズ 89mm×139mm
両面スルーホール(1.6mm厚)、ガラスエポキシ
銅箔厚さ  35μm
黄色レジスト、白色シルク文字

同じ黄色レジストを選んでも、基板製造業者さんごとに微妙に色合いが異なる。ワテの場合はPCBWayさんの黄色レジストの色合いが気に入っている。

上写真のように2号機用基板はスッキリとした基板に仕上がった。1号機用基板にあった不要なシルク文字や無駄に多かったVIAやスルーホールは削除したからだ。

下写真のように抵抗から半田付けを開始した。

写真 「トランジスタ式ミニワッターPart5 19V版」2号機用基板に抵抗を半田付けする

ワテの場合、リード型抵抗は日本製のKOAや利久電器の金属皮膜抵抗(±1%、1/4W)製品を主に使っている。

海外製の製造元も良くわからない怪しいパーツは極力使わないようにしている。

かつ、抵抗やコンデンサを基板に半田付けする前に、必ずテスターで値を計測して間違いがないことを確かめている。電子工作界の心配性と呼ばれているワテである。

写真 「トランジスタ式ミニワッターPart5 19V版」2号機用基板はスッキリとした基板に仕上がった

上写真のように、シルク文字は必要最小限にして、無駄なVIAをも削除したので、分かりやすい基板に出来たと思う。

両面スルーホール基板は表面から半田付けするとやり易い

今回製作した基板は両面スルーホール基板だ。

下写真のようにパーツをマスキングテープで固定しておけば、半田付けするために基板を裏返しても抜け落ちない。

写真 電解コンデンサを半田付けする為にマスキングテープで固定している様子

でも、両面スルーホール基板の場合、基板を裏返さずに部品面から半田付けしても良いのだ。

円筒形の電解コンデンサの場合には、リード線が電解コンデンサ本体で隠れてしまうので部品面から半田付けするのは難しい。

でもリード型の抵抗やトランジスタなどの場合には、部品面から半田付けすることも出来る。

そうすると、マスキングテープで抵抗やトランジスタを押さえておく必要も無いし、基板を裏返す必要も無いので半田付け作業が捗るのだ。

その場合、部品面からは少量の半田で仮固定するくらいにしておいて、あとはリード線を適切な長さにニッパーでカットして、ハンダ面から本番のハンダ仕上げすれば良いのだ。

写真 左:ハンダ面の様子、右:実体顕微鏡写真の例

上写真のように、この基板はベタアースを採用している。

ベタアース上にあるスルーホールは半田付けの際に熱が周囲に逃げるので半田が溶けにくい。

非温調な20W前後のハンダゴテだと、ベタアース基板の半田付けはやり辛いと思う。

なので、出来れば温調式ハンダゴテを使うのが望ましい(下写真)。

あと、電動ポンプ式のハンダ吸い取り器も電子工作をやるなら持っておきたいツールの一つだ。

HAKKO はんだ吸取器はワテも昨年買ったばかりなのだが。もっと早く買っておけば良かったと思う。

オーディオ用コンデンサを使う

「トランジスタ式ミニワッターPart5 19V版」には数個のフィルムコンデンサが使われている。

以下にぺるけさんのサイトから引用させて頂く。

フィルムコンデンサは、耐圧50V程度のポリエステル(マイラー)の通常タイプです。積層セラミックコンデンサは、電源回路と位相補正回路で使っています。電源回路の(10μF)は品種を問いませんが、位相補正用(22pF or 33pF)は印加した電圧によって容量が変動しないCHタイプまたはNPOタイプを使ってください。ディップマイカ・コンデンサもOKです。アルミ電解コンデンサはサイズがコンパクトな通常品を推奨します。オーディオ用として売られているものはサイズが大きいので基板スペースに入りきれませんし、ナチュラルな音にならないものが多く通常品がよろしいかと思います。アルミ電解コンデンサおよびインダクタのサイズの制約は以下のとおりです。

引用元 http://www.op316.com/tubes/mw/mw-19v-p5.htm

ワテの手持ちには下写真に示す黄色のメタライズドポリエステルフィルムコンデンサと円筒形のスチロールコンデンサ(共に秋月電子で購入)が有ったので、それらを使うことにした。

Faithful Link社のフィルムコンデンサです。無誘導構造、自己修復性、小型を特長とします。ケースに入れエポキシで充填してあるため、耐湿性があります。特性がよく、ひずみも少ないのでオーディオ回路に最適です。

Faithful Link社のスチロールコンデンサ(ポリスチレンフィルム)です。スチロールコンデンサは誘電正接(tanδ、タンデルタ)が良好でひずみも少ない為オーディオ回路に使用されています。

写真 秋月電子で購入したFaithful Link社のフィルムコンデンサやスチロールコンデンサを採用(説明文は秋月から引用)

上の説明文(秋月から引用)のように、これらのフィルムコンデンサはオーディオ用との事なので、良い音が出るに違いない。

積層セラミックコンデンサはオーディオには向かないと言われているので、ワテも積層セラミックコンデンサはオーディオ回路には使わないようにしている。

ディップマイカ・コンデンサは、金田式オーディオ機器を自作する場合にワテは良く使う。双信電機のSEコンデンサ(マイカコンデンサ)が高くて買えないので、その代替としてディップマイカ・コンデンサを使う。

下写真のようにフィルムコンデンサ、スチロールコンデンサをはんだ付けした。

写真 スチロールコンデンサは熱に弱いので短時間で半田付けを行う

あとは下写真のニッセイ電機のフィルムコンデンサも手持ちに有ったので使った。これはアンプ出力のZobel回路(CR直列回路)の部分に使うコンデンサだ。

写真 手持ちのニッセイ電機製フィルムコンデンサも使う

電源部に取り付ける8個の3300μF/16V電解コンデンサは手持ちに数個しか無かったので、足りないやつは秋月電子に注文する予定だ。

それ以外の抵抗やコンデンサの半田付けが完了したので次はリレーをはんだ付けした。

写真 電源部の遅延回路に使うリレー(高感度型9Vタイプ、秋月)941H-2C-9D

下写真のように専用基板なのでリレーの半田付けも楽ちんだ。

写真 「トランジスタ式ミニワッターPart5 19V版」2号機用のリレー取付部

このあとでリレーを半田付けした。

ダイオードを半田付けする

次はダイオードの半田付けだ。

写真 サンハヤトのリードベンダーを使ってダイオード(1NU41)の足を曲げる

まずは1NU41を取り付ける。このダイオードに関する注意事項をぺるけさんのサイトから引用させて頂く。

1NU41・・・温度制御のセンサーなので基板から浮かさないでできるだけ密着させる。

アイドリング電流を決定するバイアス用のダイオードは順電圧が少し低い1NU41としました。それでも出力段トランジスタのコレクタ損失は15V版よりも増えてしまったので、放熱器の面積をやや大きくしました。ちなみに、15V版で使用した既製品の放熱器の表面積は約8平方cm×2=16平方cmですが、本機で使用した放熱器の総表面積は21平方cmです。

1NU41は出力トランジスタのバイアス回路のバイアス電流を決める重要な素子との事なので、東芝純正の1NU41を信頼できる業者さんから入手して取り付けた。

次は差動二段目の定電流回路に使われている1S2076Aの半田付けだ。

写真 大昔にどこかで入手した1S2076A(確か日立製)

定電流回路の1S2076Aは精密な順電圧が求められますので他のダイオードでは代替できません、必ず1S2076Aを使ってください。

上写真のように手持ちに十本くらいの1S2076Aが有ったので半田付けした。

確か、かなり昔にジャンク屋で見付けて買った記憶がある。たぶん日立純正だと思う。

トランジスタを選別して半田付けする

残るはトランジスタとFETの半田付け作業だ。

まずは2SA950-YのhFEを計測してペアを組んだ。ぺるけさんの説明文を以下に引用させて頂く。

2SA950-Y(2段目定電流回路)は、hFEが250~300のものを推奨します。秋月にてセカンドソース品が買えます。hFEおよびVBEの精度が定電流特性を決定するので2SA1020や2SA966といった類似した定格の他のトランジスタで代替する場合は、同じ動作条件を与えて検証した上で回路定数の確認が必要です。

引用元 http://www.op316.com/tubes/mw/mw-19v-p5.htm

手持ちの数十個の2SA950-YのhFEを計測して、hFE=240くらいのが2個有ったので、その2個を採用した。ぺるけさん推奨のhFE=250~300から少しだけ低いが、まあ問題ないだろう。

 

次は、2段目差動回路に使う4個の2SA1359-Yを選別した。ぺるけさんの説明文を以下に引用させて頂く。

2SA1359-Y(2段目差動回路)は、今でも秋月にて入手可能です。選別など堅苦しいことを考えなくても十分に製作できます。TTA008Bも使用できます。

との事なのでhFEで選別しなくても良いのだが、念のために選別した。

写真 hFEが同じくらいの2SA1359-Y(2段目差動回路)を4個選別中

その結果、hFE=160くらいの2SA1359-Yが4個取れたので、それらを採用した。

写真 hFEが同じくらいの2SA1359-Y(2段目差動回路)を4個選別中

ちなみにこのhFE計測ツールもワテ自作だ。別記事で紹介しているので参考にして頂きたい。

4個の2SA1359-Yの半田付けでは、下写真のように基板からの高さを2cmに揃えた。高さが揃っていると見た目が良くなるからだ。

写真 4個の2SA1359-Yは基板からの高さを2cmに揃えて見た目を良くする

2SA1359-Yの取り付けに関して、ぺるけさんの解説を以下に引用させて頂く。

・2SA1359と2SC3422・・・リード線をやや長めにして基板や周囲の部品から離す。

なのでワテもこの説明に従って、2SA1359-Yのリード線は長めにしたのだ。

FETを選別して半田付けする

さて、差動増幅回路の初段に使われている2SK170を4個選別して半田付けする。

2SK170は製造中止になって数年経っているので東芝純正の2SK170は貴重品になってしまった。

ワテは手持ちに数十個くらい持っているが、数十個の中から特性が揃った4個を選別するのは難しい。数百個くらい有れば良いのだが、そんなに持っていないし。

2SK170に関する注意事項をぺるけさんのサイトから抜粋して以下に引用させて頂く。

2SK170-BL(初段差動回路)は、できるだけバイアス特性が揃ったペアを使ってください。ソース側のバイアス調整ボリューム(10Ω)による調整範囲はめいっぱい回し切っても16mVくらいしかありませんので無選別の2SK170は使えません(※)。BLランクを使用していますが、GRランクも問題なく使えます。
※売られている2SK170からランダムに拾った場合は、同じドレイン電流を流した時のバイアス値は150mVくらいのばらつきが生じるのでバイアス調整ボリュームには100Ωが必要です。そうなると温度特性が揃わなくなるのと、微調整がきかなくなります。2SK170は製造ロットが同じでも特性のばらつきは小さくなりませんので、実測による選別は必須です。なお、ペアと称して市販されているものは本機で要求する精度には遠く及ばないので自力で再選別しない限り使えませんのでご注意ください。

・2SK170・・・平たい面同士を密着させて2液混合タイプのエポキシ系ボンドで貼り付け、熱結合させる(右画像)。リード線は短くし過ぎると取付時に融通がきかなくなるので長めにしておく。

・2SK170のゲートとつながる2.2kΩは2SK170に近い側に立てる。

なお、頒布の2SK170ペアを使い、回路が正常に動作している場合は、DCオフセットは±10mV以内の調整可能範囲内に収まります。±10mVを大きく超えた場合は別のどこかに異常がありますから、10ΩVRで調整しようとしても無駄ですしやってはいけません。

引用元 http://www.op316.com/tubes/mw/mw-19v-p5.htm

と言う事で、ワテの手持ちの2SK170BLをワテ自作のFET選別機(ぺるけさん設計)を使って選別した。

写真 ワテ所有の2SK170BL

ワテ自作のFET選別機の製作記事はこちら⤵

2SK170BLの選別では、IDSSとVGSが近いものを4個選別した。

写真 選別中の2SK170BL

その結果、以下のように特性の近い4個の2SK170-BLを選別する事が出来たので、2個ずつをペアにした。

IDSS[mA] VGS[V] VDS=6V, ID=2mA
9.32 0.251
9.34 0.252
9.35 0.252
9.39 0.252

表 IDSSとVGSで4個の2SK170-BLを選別

ペアにした2SK170-BLはぺるけさんの説明に従って、下写真のように2液混合タイプのエポキシ系ボンドで貼り付けて熱結合させた。

写真 ペアにした2SK170-BLを2液混合エポキシ系ボンドで貼り付けて熱結合させる

あとは半田付けすれば完了だ。

なお、ぺるけさんによる注意事項の「2SK170のゲートとつながる2.2kΩは2SK170に近い側に立てる。」に関しては、ワテ設計基板では2.2kΩは基板に寝かせて取り付ける仕様だ。

ぺるけさんの製作例写真を見ても2.2kΩはタカス基板に寝ているようなので、恐らく上説明文のあとで、ぺるけさんも実装方法を変更されて2.2kΩ抵抗を基板に寝かせる方式にされたのだろう。

今日はここまで。

現在の基板の様子は以下の通り。

写真 2SK170-BLペア、電源部電解コンデンサなどは未装着状態(部品面)

上写真で電源部に100μHのインダクタを取り付けている。インダクタに関するぺるけさんの説明は以下の通り。

インダクタは100μH/1.2Aタイプで11mm径のものを使用しましたが、47μH以上で電流容量が1.2A以上あり、直流抵抗が0.3Ω以下であれば問題なく使えます。電流容量が少ないと過熱して焼き切れます。

ワテの場合は、100μH(1.2A、180mΩ、太陽誘電製)を採用した。

やっぱりインダクタは太陽誘電だな。素性の分からない怪しい他社製は使いたくない。

写真 2SK170-BLペア、電源部電解コンデンサなどは未装着状態(半田面)

まとめ

ワレコ
ワレコ

久しぶりの電子工作なので、今ひとつ段取りが悪い。

まずは作業机の上を片付ける事から始めよう。

当記事では本年度初の電子工作として、ぺるけさん設計の「トランジスタ式ミニワッターPart5 19V版」の2号機を製作する過程を紹介した。

1号機用に設計した専用基板は機能的には問題は無いのだが、余りに凝り過ぎた結果、設計したワテ自身ですら訳分からん状態になってしまった。

そこで今回新たに新設計した2号機用専用基板は1号機の反省点を踏まえて、シンプルで分かりやすいデザインにした。

具体的には、シルク文字は必要最小限にして、VIAやスルーホールも無駄なものは入れないと言う方針で設計した。

その結果、パーツを差し込む場所も迷うこと無く分かりやすいので作業がやり易かった。

ただし、ワテの視力は以前と比べると低下しているので、小さいシルク文字が読みづらいと言う問題が発覚した。

ワテ設計基板では最小のシルク文字は高さ1mm、幅1mm、文字太さ0.15mmで描いている。

「0.47/1W」とか「2SK170BL-DGS」などの文字だ。

昔はそれくらいの文字なら難なく見えていたのだが、最近では見づらい場合がある。なので実体顕微鏡や虫眼鏡を使う事が多い。

と言う事で、今後はプリント基板を設計する場合には、大きめのシルク文字を描く必要があるなあ。

 

今後の予定としては、足りないパーツをネット通販で購入する予定だ。3300μF/16V電解コンデンサなどを秋月で購入したい。

あと電源に使う予定のスイッチング電源は手持ちにあるので、配線して組み立てれば「トランジスタ式ミニワッターPart5 19V版」の2号機が完成するはずだ。

それと、この2号機用に使うフロントパネルとリアパネルはPCBWayさんに発注したやつがあるのだ。従来はアルミパネル加工で発注していたが、今回はプリント基板を使ってフロントパネルやリアパネルを製作したのだ。

次回記事ではそれらも紹介したい。

(続く)

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