ワレコ
しかしまあ、この所の猛暑は尋常ではないなあ。
今はまだ笑いごと程度の話題にしかなっていないが、数年後にはこの猛暑が何カ月も続く事態になると予想する。
人類はみんなバーベーキューになるぞ!?
さて、Auratone風の密閉キューブ型スピーカーが完成した。
前回記事はこちら↴
前回記事では密閉スピーカーボックスを木工で製作したところまでを紹介した。
当記事はその後編。
当記事では、そのスピーカーボックスにスピーカーターミナル、吸音材、スピーカーユニットを取り付けて組み立てる作業を紹介する。
スピーカーターミナルには独自の工夫をしたのだ。
具体的には、
- バナナプラグ
- NEUTRIKスピコン
- 圧着端子(Y型、丸型など)
の三種類の接続方法が可能なスピーカーターミナルを自作したのだ。
その結果、各種の接続方法が可能なので、利便性が大幅に向上した。
スピーカーターミナルに使う台座はPCBWayさんに3Dプリンタ印刷を発注した。
で、完成したスピーカーターの最も肝心な音質は?それは本文中で紹介したい。
では、本題に入ろう。
スピーカーターミナルの調査
ワテが本格的なスピーカーを自作したのは今回が初めてであるが、オーディオ好きなワテとしては他の人がスピーカーを自作している記事や動画などは時々見る。
その理由は、世の中にはいろんなアイディアを考える人がいるので、スピーカー自作に関しても他の人の作品を見ると役立つアイディアも多いからだ。
主なスピーカーターミナル
さて、スピーカーボックスは無事に完成したので、その背面にスピーカーターミナルを取り付ける。
まずは世の中にあるスピーカーターミナルを調査してみた。
表 主なスピーカーターミナルとワテのコメント
プッシュターミナル反対派
ワテの場合は、上表においてプッシュ式のタイプは絶対に使わない。
スピーカーケーブルは一般には撚線を使うが、プッシュ式ターミナルのΦ2ミリほどの穴に差し込む時にその素線がばらけるので物凄くイライラするのだ。
それに、上手く挿し込んだとしても、貧弱なバネの力で押さえる程度で確実な電気的な接続が出来ているとは到底思えない。
なぜなら、オーディオ以外の世の中の電気的な接続方法で、弱いバネの力で押さえる程度で結線している箇所はあるか?
まあ下写真の埋込コンセントなどは被覆を剥いた電線を挿し込んで板バネ構造で結線するけれども、それは単線専用だ。
それも銅単線Φ1.6かΦ2.0と厳密に指定されているので、指定通りに工事をすれば確実に結線できる。
バナナプラグ反対派
と言う訳で、無難なのは下写真のタイプだろう。
上写真のスピーカーターミナルなら、バナナプラグ差込にも対応しているし、あるいは、穴にケーブルを挿し込んで円筒状のツマミを回して強く圧接して結線する事も可能だ。
だだし、ワテの場合はバナナプラグ差込方式での結線は好きでは無い。
この場合も同じく、世の中の電気接続でバナナプラグ差込と言った簡素な手法が採用されているのは、オーディオ業界と実験用の定電圧電源くらいだ。
定電圧電源電源の例で言えば、そのバナナプラグは日常的に抜き差しする事を前提としている。
実験用の定電圧電源なので、ケーブルをとっかえひっかえ差し替える事が前提なのだ。なので抜き差しし易いバナナプラグが標準で採用されている。
ただし、定電圧電源を長期間(何日、何カ月)何らかの電子機器を定電圧駆動するなどの用途に使うなら、バナナプラグではなくて、その根元にあるネジ固定部分にケーブルを挿し込んで強固にネジ固定するのが望ましいだろう。
と言う訳で、オーディオ業界のみスピーカーターミナルの長期接続にバナナプラグを採用しているのはワテに言わせれば、電気的な信頼性と言う観点では完全に間違っている。
オーディオショップなどで、スピーカーをとっかえひっかえ試聴するなどの用途ならバナナプラグは抜き差しし易いので好都合だとは思うが。
PA用機器で標準のノイトリックスピコン
ワテの場合PA業界とは無縁だが、PA用オーディオ機器は値段が安いけれど良い製品が多いので好きなのだ。
先日、自作したカーオーディオ用カースピーカーシステムに使用したスピーカーユニットもPA用だ。
写真 CLASSIC PRO ( クラシックプロ ) ED3402(一個三千円弱)
CLASSIC PRO ( クラシックプロ ) / ED3402
EMINENCE ( エミネンス ) / ALPHA4-4 4Ω フルレンジスピーカーユニット、ペア
写真 EMINENCE ( エミネンス ) / ALPHA4-4 4Ω フルレンジスピーカーユニット、ペア
サウンドハウスさんで買った。
知る人ぞ知る音響機器関連の激安通販サイトだ。2000円以上の買い物で送料無料なのが嬉しい。
EMINENCE ( エミネンス ) / ALPHA4-4 4Ω フルレンジスピーカーユニット、ペア
この商品は、商品説明には記載されていないがペアでの販売で、約3500円で買える。
そんなPA業界でスピーカー接続に標準的に使われているのがノイトリック社のスピコンだ。
スピーカー用レセプタクルコネクター speakON 角型
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スピーカー用ケーブルコネクター speakON
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表 ノイトリックスピコンNL4MPとスピコンコネクターNL4FX
引用元 ノイトリック社のサイト
民生用オーディオ機器には滅多に採用されないスピコンなのだが、その理由は不明だ。
でも上表を見ると分かるように、定格電流30A rms/連続でも行ける物凄い性能なのだ。
たぶん一個数百円のコネクタが最高の方式なのだと言う事実がばれると、オーディオ業界は商売上がったりになるからなのか?
そして、世界中のコンサート会場その他、大規模なPA機器で使われている訳なので、信頼性と言う観点ではスピコンは最有力候補だろう。
ワテの場合も最近はスピコンを良く使う。
端子台こそ最も確実な結線方法なのだ
高級オーディオアンプの出力端子に端子台が標準で付いていたりしたら、世の中のオーディオマニヤから馬鹿にされるだろう。
例えばこんな端子台↴
春日電機の端子台はでかくてゴツイのでワテ好み。
サトーバーツの端子台も好きだ。
まあ普通は高級パワーアンプの出力端子は下写真のように金メッキで煌びやかな大型ターミナルが付いている。
しかしながら電気的な接続と言う観点では、端子台が最も確実な方式なのだ。
なぜなら世の中の電子機器、電設機器、配電盤、工場、原子力発電所、そうりゅう型潜水艦、クイーン・エリザベス級航空母艦、その他でも多数の端子台が使われているからだ。
逆に、バナナターミナルにバナナプラグを挿し込む方式が電気的接続が重要な箇所に使われている例はスピーカーターミナル以外にワテは知らない。
つまり、オーディオ業界だけが完全に間違っているのだ。その理由は多分、オーディオ評論家の怪しい宣伝文句に釣られて金メッキした高そうなパーツを買うオーディオマニヤがいるからだろう。
まあワテはそう言う製品が悪いとは思わない。
高級感あるケーブルで接続すれば絶対にいい音が出るに違いないという期待感で脳内にドーパミンが分泌されて高揚感が高まる。
出て来る音を測定器で比較すると安もんケーブルで接続した場合と同じ音だとしても、本人の耳では良く聴こえて本人が満足しているので有ればそれで良いのだ。
それがオーディオ趣味というものなのだ。
と言う訳で、結論としては、世の中にはいろんなスピーカー端子があると言う事だ。
まあ調査するまでも無く分かり切った事だがw
複合スピーカーターミナルを自作する
さて、世の中にはいろんなスピーカーターミナルが有る事が分った。
で、ワテの場合はスピーカーターミナルとして最も好きなのは端子台なので、自作スピーカーには下写真のような丸型裸圧着端子が接続可能な方式を採用する。
ちなみにワテの場合はニチフを使う。日本圧着端子製造株式会社製も悪くはないが、昔からニチフさんのやつを使っている。
でも、バナナプラグ方式でも使えるほうが汎用性が高い。例えばアンプを自作した場合、ちょっと音を聴いてみたいような場合にはバナナプラグで手軽に使えるほうが好都合だ。
なのでバナナプラグも利用可能にする。
かつ、ノイトリックスピコン接続もあるほうが便利だ。
例えばPA用パワーアンプの場合、出力端子はスピコンと大型陸式ターミナルやジョンソンターミナルを併設しているものが多い。
なのでスピコン接続可能なスピーカーなら、スピコンケーブルが有れば手軽に接続出来るのだ。
と言う訳で、端子台、バナナプラグ、スピコンの三通りの接続方法が可能なスピーカーターミナルを設計したのだ。
その詳細を紹介しよう。
端子台、バナナプラグ、スピコンの三種接続可能なスピーカーターミナル
下図はFusion360で設計したスピーカーターミナルの台座の部分だ。
マテリアルを水に設定したので、半透明に見えている。
この台座は、PCBWayさんの3Dプリントサービスを利用して、ABS樹脂で印刷して貰う予定だ。
その台座に下写真のように三種類の端子を取り付けられる構造にした。
上写真のように、赤黒の一般的なスピーカーターミナル、中央にはノイトリック四極スピコン(NL4MP)、下部にはM3ネジタイプの金属端子を二個取り付ける。
背面から見ると下図のようになっている。
さて、赤黒スピーカーターミナルとスピコンはネジ固定だが、下部にある二つのM3ネジ端子(マックエイト製のPB-2-G電極)は半田付けタイプだ。
KiCadでスピーカーターミナル用プリント基板を設計する
なので、この台座にピッタリとはまる長方形プリント基板を設計してM3ネジ端子(マックエイト製のPB-2-G電極)を半田付け出来るようにする。
下図がその基板レイアウトを示す。
ちなみに下図がその元になった回路図。
下図がKiCadの3D表示機能で表示した基板の完成予定図だ。
下図はその背面。
図 このプリント基板もPCBWayさんに発注する
この基板を先ほど紹介したABS樹脂製の台座に固定すると、三種類の接続方法に対応したワテ独自設計のスピーカーターミナルが完成するのだ!
PCBWayさんに3D Printingを発注する
PCBWayさんのサイトで3D印刷を発注するのは今回が初めてだ。
プリント基板の発注は今まで十数回やっているので、興味ある人は他の記事でプリント基板発注に関しては詳しく解説しているのでそちらを参考にして頂きたい。
PCBWayさんで3D Printingを依頼する場合には、まずはPCBWayさんのサイトを開いて、そこにある「ラピッドプロトタイピング」を開く。
その中に、以下の四つのサブメニューがあるので3D Printingを開くと良い。
3D Printing | FDM, SLA, SLS, MJF, DMLS, Polyjet |
CNC Machining | Milling (3-, 4- & full 5-axis), turning |
Sheet Metal Fabrication | Laser cutting, bending, post processing |
Injection Molding | Rapid tooling, multi-cavity molds |
表 PCBWayさんの「ラピッドプロトタイピング」メニューに有る項目
3D Printingメニューを開くと下図が出る。
図 PCBWayさんの3D Printingメニューの入力の様子
上図に於いて、「SPターミナル台座PCBWay基板用 v20 v10.step」と言うのがワテがFusion360で設計してSTEP形式で出力したデータだ。
それをアップロードすると、上図のように小さなサムネイルで3Dモデルが表示されている。
あとは、上図のようにMaterialを選ぶのだが、十種類ほどあるがABS(黒)を選択した。
その理由は、ワテも3Dプリンタを持っているのだが、いつもはPLAと言う素材で印刷している。ABSはPLAよりも丈夫らしいのでABSを選択した。それと、他の素材を選ぶと製造コストが高い物もあるので、値段的に安いABSを選んだのだ。
なお、今回設計したスピーカー台座の形状は下写真のラーメン鉢のように外側に張り出す形状だ。
3D印刷では下から順番に薄い層を積み上げる方式なので、外側に庇(ひさし)のように広がる下図のような形状は3Dプリンターが苦手とする形状だ。
こう言う形状はワテ自宅の3Dプリンターでは印刷する技術がまだないのだ。そこでPCBWayさんに印刷を依頼してみたのだ。
ちなみに、上図のように同じ物を4個の印刷を依頼したが、製作時間は5-6日で見積価格は$89と表示されている。
あとは、下図のように、オプションで「Technical drawing」など追加する項目があるが今回は特に必要無い。
図 PCBWayさんの3D Printingメニューの入力の様子(続き)
と言う訳で、PCBWayさんで3D Printingを依頼するのはプリント基板の発注以上に簡単だった。
今回は、PCBWayさんには上図の3D Prinitngを四個、それとプリント基板を二種類発注した。
二種類の基板の一つは上で紹介した長方形基板、もう一つは他の記事で紹介している金田式プリアンプ再生プロジェクト用のブジッリ整流基板だ。
約一週間で自宅に到着
PCBWayさんにネットで注文して八日で自宅に到着した。
到着日 2021/8/24
今回は3Dプリントも注文したので到着まで二週間程度掛かるかなあと予想していたのだが、予想以上に速かった。
下図にPCBWayさんから届いた小包を示す。
写真 PCBWayさんから届いた小包
写真 PCBWayさんから届いた小包の梱包材
写真 プリント基板二種類と3Dプリント完成品
下写真にプリント基板二種類と3Dプリントされたスピーカー台座を示す。
台座は二個しか写っていないが、合計四個印刷して貰った。
写真 プリント基板二種類と3Dプリントスピーカー台座(写真では二個だが全部で四個ある)
下写真にABS樹脂製のスピーカーターミナル台座を示す。
写真 スピーカーターミナル台座(左:表、右:裏側)
角皿のように外側に張り出す部分も設計図通りに印刷されている。
写真では分かり辛いのだが、この張り出した庇(ひさし)の部分は、研磨した痕跡が見られる(上写真右)。
つまり、印刷時には庇をささえるサポート材(柱)が追加されていたのだと思う。
そして印刷完成後に、サポート材を取り除いて手作業で表面を綺麗に仕上げてあるようだ。
3Dプリントではサポート材を上手い具合に追加して、張り出した部分が印刷中に落ちて来ないように支えておいて印刷するのがテクニックなのだが、それが難しい。
と言う訳で、ワテが自宅の3Dプリンターで試行錯誤してもここまで綺麗には印刷出来ないと思うので、PCBWayさんに製作依頼して正解だった。
下写真のように白色プリント基板をスピーカーターミナル台座に嵌め込むのだ。
写真 白色プリント基板を黒色ABS台座に嵌め込んだ
なお、ワテの設計ミスで、白色プリント基板が黒色ABS台座の窓にピッタリと収まらなかった。つまり、設計値のクリアランスが少な過ぎたのだ。
もう少し余裕をもって、白色プリント基板を小さめにするか、黒色窓部分を大き目にするかしておくべきだった。
なお、黒色ABS樹脂は金属製のヘラなどで削れば簡単に加工できるので、ワテの場合にはマイナスドライバーやカッターなどを使って黒色ABS窓部分を削って広げた。
その結果、白色プリント基板がピッタリとはまるように出来た。
スピーカーターミナルを組み立てる
M3ネジ端子(マックエイト製のPB-2-G電極)を半田付けする。
今回はPCBWayさんの白色レジスト基板を選択した。
白色レジストを選んだ理由は、全く色付けの無いピュアな白が良いかなと思ったのだ。
それにスピーカー背面は光が当たりにくくて暗いので、白色なら見易いかなあと言う判断もある。
下写真のようにM3ネジ端子(マックエイト製のPB-2-G電極)を半田付けした。
写真 M3ネジ端子(マックエイト製のPB-2-G電極)を半田付けした
上写真のようにM3ネジ端子(マックエイト製のPB-2-G電極)は少し半田が上がるくらいがベストな状態だとマックエイトさんのサイトに記載されていたので、そのように仕上げた。
下写真が基板の裏側だ。
上写真の茶色の半田フラックスはこの後で無水エタノールと綿棒で清掃しておいた。
2.0SQスピーカーケーブルで配線する
下写真のようにカッターナイフを使って2.0mm2スピーカーケーブルの被覆を剥いた。
ワイヤーストリッパーと言えば下写真のVessel製が定番だ。
でも、ワイヤーストリッパーは上手に作業しないと撚線の素線を一本や二本も一緒にカットしてしまう事がある。
2.0SQのケーブルの場合、素線の本数は37らしい(ネット情報)。なのでもし素線を一本カットしてしまうと、37分の1だけ電気信号が伝わりにくくなると考えると、約2.7%の信号が劣化するのだ!?
なので、ここはカッターナイフを使って素線に傷を付けないように慎重にビニル被覆を剥いた。
下写真のように切り取った被覆部分を捩じりながら引っ張ると素線を捩る事が出来る。かつ、素線には指が触れないので、皮脂が素線に付かないのだ。高等テクニックだ!
そのスピーカーケーブルを下写真のようにM3ネジ端子に接続した。
上写真で、スピーカーケーブルのもう一端はこの後で、ジョンソンターミナルの金メッキ平板に半田付けする。
下写真のようにプリント基板とABS樹脂製台座を組み合わせる。
下写真のように中央部分にNEUTRIK NL4MPスピコンを挿し込んで、配線するのだ。
スピーカーユニットに接続するケーブルは余裕をもって40cmくらいにした。
そのケーブルの一端を下写真のように金メッキの電極平板に半田付けするのだが、その一端はスピコンの電極に半田付けしたい。
なので、下写真のようにビニル被覆の部分で導線を7ミリ程露出させて金メッキ平板に差し込んだ。
そうして、下写真のように先ほどM3ネジ端子に半田付けした短いケーブルも一緒に半田付けしたのだ。
もし上写真で金属平板の部分でケーブルを切断していると、三本のケーブルを平板に同時に半田付けする必要があるので難しい。
そこでワテの高等テクニックを駆使して、半田付けを簡単にしたのだ。完璧やw
なお、この手の構造物を安定させるには下写真のようにクランプで挟んで底面積を増やすと安定感が良くなる。
自称DIY達人のワテの完璧なクランプ技術だ。
あとは下写真の中央のノイトリックスピコン電極に半田付けすれば良い。
NEUTRIK NL4MPスピコンは四極タイプを採用した。
そこで以下のように電極端子を割り当てた。
1- スピーカーマイナス極
2+ 未使用
2- 未使用
写真 安っすい紅白2.0SQスピーカーケーブルで配線したスピーカーターミナル
スピーカーを組み上げる
いよいよスピーカーを組み上げる。
まずはスピーカーターミナルをスピーカーに取り付ける。
そこでスピーカーエンクロージャーに角穴を開けた。
失敗したw
写真 ジグソーでフリーハンドで開けた角穴をマキタトリマーに丸面ビットで仕上げた
まあフリーハンドでジグソーを使ったので角穴の辺が真っ直ぐでは無い。
トリマーに丸面ビット(坊主面ビット)を付けてその歪んだ辺を基準にラウンド加工したのだが、ワテが使っているマキタトリマM373は回転数が35000回転/分(583.3回転/秒)もの猛烈に回転するので、モタモタしていると木が焦げる。
写真 グニャッと曲がった角穴のエッジ
芳ばしい香りだ。
やっぱりDIY用トリマは安いけれど性能は良くないなあ。
マキタ トリマ M373は回転数固定だしブレーキも付いていないし。
下写真のような無段変速、ブレーキ付ルーターをテーブルに固定して使うのが最も作業性が良さそうだ。
ちなみにワテが使っているルータービットは下写真のボッシュのやつだ。
良く使うビットがセットになっていて、ボッシュのやつなのでクオリティは良さそう。
完成したスピーカーターミナル
下写真のように先ほど組み上げたスピーカーターミナルを嵌め込んだ。
ボックスに開けた角穴が歪んでいたが、スピーカーターミナルを嵌め込んだら見えないから分からない。
なお、上写真のように白色プリント基板と黒色ABS台座の部分には、四カ所にネジ穴を開けている。
でも結果的にはこのネジ穴は無くても良かった。
なぜならスピコンや二個のジョンソンターミナルの固定でネジを使うので白色プリント基板と黒色ABS台座は密着するからだ。
でも、四つのネジ穴を放置するとエンクロージャーの空気が抜けるので塞いでおく必要がある。
そこで下写真のようにM4ボルトとナットを使って固定しておいた。
写真 スピーカーターミナルの取り付けが完了
吸音材を詰める
さて、スピーカーに吸音材を詰める。
スピーカー用吸音材なんて購入するのは初めてなのだが、吸音材として売られているものは高い。
それにグラスウールは皮膚に触れるとチクチクするのでワテは嫌い。
と言う事で、代替品になりそうなものを手芸店で買って来た。
手芸用圧縮わた 300gだ。600円くらいだった。
その圧縮わたをエンクロージャーに詰めてみた。
どれくらいの量を詰めたら良いのかなど、全く見当が付かないので、取り敢えず満杯に入れたw
それでも圧縮わた300gの半分も使っていない。
まあワテの場合は、実はもう一つスピーカーを自作する予定があるのでその時に使うつもりだ。
スピーカーユニットに配線を行う
下写真のように紅白2.0SQスピーカーケーブルをスピーカーユニット(CORAL 4F-1B)の電極に半田付けした。
写真 CORAL 4F-1B フルレンジスピーカー(経年変化で劣化したエッジをゴムエッジに交換済)
スピーカーユニット取り付け作業中に、一度、圧縮ワタをバケツに取り出した(下写真)。
写真 圧縮ワタは「4~5倍にふくらみます」との説明通り、確かに膨らむ
下写真がスピーカーユニットの取り付けが完了した完成形だ。
写真 完成した密閉型キュービックスピーカー
写真 完成した密閉型キュービックスピーカー(背面端子部)
各種接続方法を試す
下写真がノイトリックスピコンを挿し込んで配線した例を示す。
写真 ノイトリックスピコンを挿した例
下写真はジョンソンターミナルタイプの端子にバナナプラグで接続した例だ。
写真 ジョンソンターミナルタイプの端子にバナナプラグ接続した例
完璧や。
あと、M3ネジ端子に圧着端子で接続する例はここでは撮影していないが、他の自作機器の例ならこんな感じ。
写真 自作DCDCコンバータ基板のM3ネジ端子に丸型裸圧着端子で接続した例
やっぱり上写真のように圧着端子をネジでしっかりと締めつけて固定するのが電気的には最も確実な手法だろう。
端子台は締め付けトルクも指定されているので、その仕様に従って取り付ければ信頼性も高いのだ。バナナプラグを挿し込む程度の緩い接続とは大違いなのだ。
自作密閉型スピーカーを試聴する
まずは「新宿の女」を聴いてみる。
写真 Auratone 5Cの下に設置したCORAL 4F-1Bフルレンジスピーカー
馬鹿だなあ~
写真 プリアンプはぺるけさんのFET式平衡型差動プリアンプVersion2
次は、元ちとせさんの「ワダツミの木」だ。
試聴に使った機器は以下の通り。
プリアンプ ぺるけ式FET式平衡型差動プリアンプVersion2
パワーアンプ ぺるけ式TRミニワッターPart5(19V版)
ワテのPCオーディオ機器はぺるけ式で統一している。
写真 パワーアンプはぺるけ式TRミニワッターPart5(19V版)上段黒色と下段SPセレクター
上写真の下段は、ワテ自作のラッチングリレー式スピーカーセレクターだ。
普段使っているAuratone 5Cと今回作成したCORAL 4F-1Bをプッシュボタンでパチパチと切り替えられるので、聴き比べがやり易い。
そして、東京オリンピック2020開会式で歌われた東京音頭も聴いてみる。
小唄勝太郎(こうた かつたろう)さんの素晴らしい歌声で聴く東京音頭は最高だ。
CORAL 4F-1B使用の密閉小型スピーカーを試聴したワテの感想
素晴らしい音だ!
ワテの場合、この十数年に渡りPCオーディオではAuratone 5Cを使っている。
ニアフィールドモニターとして定番のスピーカーだ。
今でもヤフオクでペアで一万円くらいで買える。
Auratone 5Cは高音も低音も出ないが、人の声の周波数帯域は聞き取り易いので、ニアフィールドモニターには最適だと思う。
そんなワテお気に入りのAuratone 5CとCORAL 4F-1Bの音を比較すると、CORAL 4F-1Bの音はAuratone 5Cよりも奥行き感があり、瑞々しいのだ。
いつも聴いているAuratone 5Cが薄っぺらく感じるくらいに。
今回作成したエンクロージャーはAuratone 5Cよりも奥行を1.5倍くらい伸ばして、縦横も一割くらい大き目にしたのだが、その効果かも知れない。
取り敢えずこのCORAL 4F-1BをワテのPCオーディオの標準スピーカーにしてみる。
交換したてのスピーカーエッジも暫く聴き続けるとエージングが進んでより耳に馴染むと思う。
まとめ
ワレコ
自称DIY達人のワテであるが、今日からワレコ鉄男に改名しようかなあ。
まずは角刈りにする必要がある。
当記事では、ワテが初めて作成した密閉型の小型スピーカーの製作過程と試聴結果を紹介した。
使用したスピーカーユニットは、ワテがエッジを自分でゴムエッジに交換したCORAL 4F-1Bフルレンジスピーカーだ。
エンクロージャーは針葉樹合板や化粧ベニアの端材をホームセンターで買って来て自作したので製作費は200円くらい。
スピーカーターミナルの部分にワテ独自のアイデアを採用して、三種類の接続方法に対応出来るようにした。つまり、通常のジョンソンターミナル式バナナプラグ接続、ノイトリックスピコン接続、そして、丸型(あるいはY型も可能)の圧着端子接続だ。
PCBWayさんに3Dプリンティングとプリント基板を発注したが、3Dプリンティングの発注は、予想外に簡単だった。発注して一週間程度で自宅まで届くので、皆さんにもお勧めしたい。
ワテの知る限り、このような汎用性の高いスピーカーターミナルを持つスピーカーシステムは知らない。世界初と言っても良いかも知れない。
そして完成したスピーカーの音は、ワテの期待以上に素晴らしい音が出ている。
比較対象としてリファレンスとしたAuratone 5Cが平面的で薄っぺらく感じるくらいに、ワテ自作の密閉型キュービックスピーカーは立体的で臨場感に満ちていて生生しいのだ。
今ラジコで聴いている「ありがとう浜村淳です」の浜村淳さんが目の前で喋っているのかと思うくらいにリアリティのある音が出ている。
ここにWarekotone(ワレコトーン)が誕生したのだ。
スピーカー自作関連書籍
(完)
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