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【ワレコオーディオ】超多機能アナログ&デジタル再生システムを作成【金田式DAC No.213】

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写真 掛け軸を拝見して精神統一を図り、その後で金田式DAC製作に取り掛かる予定の人(イメージ)

ワレコ

ワテの場合、電子回路の設計は専門家ではないが、下手の横好きで自作するのがとても好きだ。

特にオーディオ系が好きなのだ。

「無線と実験」と言う雑誌も、時々買ったり、時々立ち読みしたりする。

立ち読みする場合には、本屋さんの場合もあれば誠文堂新光社さんのサイトでも可能だ。

www.seibundo-shinkosha.net/products/list.php?&bookname=無線と実験

そんな無線と実験の2011年4月号、5月号に

DCアンプシリーズ No.213

最新D/Aコンバーター、カップリングコンデンサーレスイコライザーアンプ採用

超多機能アナログ&デジタル再生システム[前編]、[後編]

が発表された。

今から13年前だ。

その当時のワテはアナログのアンプは何台か自作した経験はあるが、DACは作った事が無かった。

ここは久しぶりに有名な金田先生の金田式DACを作ってみようと思って部品を買い集めて自作を始めたのが、確か2011年の10月頃だった。

ただし、金田式の場合、金田明彦先生が厳選した部品を使うので、一個で数千円もする部品も沢山使われる。

具体的には双信電機のSEコンデンサは、見た目は小さい四角い普通のコンデンサなのに一個数千円もする。

そんなコンデンサを金田式では10個も20個も使う。

ワテの場合、そんな高級部品はおいそれとは手が出せない。

なのでまあ、殆どの場合安い代替品で代用する事が多い。

今回作成に挑戦した「No.213超多機能アナログ&デジタル再生システム」の場合でも、一部のコンデンサは指定通りSEコンデンサを使ったが、他はマイカコンデンサなどで代用した。

一個数千円のSEコンデンサなんて、滅多な事では買えない。競馬で当たった時くらいか。

この記事では、2011年10月に作成開始して、その後中断していた金田式多機能DACを、2017年8月の夏休みを利用して六年ぶりに組み立てて無事に完成したので、その経緯を紹介したい。

また、無線と実験2011年4月号、5月号には幾つかの誤植もあるので、ワテと同じくDCアンプシリーズNo.213超多機能アナログ&デジタル再生システムの製作に挑戦する予定の人の参考になれば幸いである。

結論としては、六年越しに製作を再開して、案外スムーズに無事に完成した。いい音で鳴っている。

では、本題に入ろう。

なお、その後、性懲りもなく新たに金田式DAC(No.281)を作ってしまった!

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  1. 2011年10月頃の作業
    1. DCアンプシリーズ No.213超多機能アナログ&デジタル再生システムとはどんなシステムなのか?
    2. ワレコ版の超多機能アナログ&デジタル再生システム
    3. フォノイコライザーは作らない
    4. AC100V駆動にする
    5. DAI/DAC基板
    6. IVC基板
    7. ヘッドフォンアンプ&ラインアンプ基板(左右)
    8. +5Vレギュレータ基板
    9. +3.3Vレギュレータ基板
  2. No.213超多機能アナログ&デジタル再生システム(無線と実験 2011年4月号、5月号)の誤植や変更箇所まとめ
    1. 前編のパーツのうち後編の製作段階で変更されたもの
      1. ヘッドフォンアンプ&ラインアンプの変更箇所
      2. DAI/DAC基板の変更箇所
    2. DAI/DAC基板の三か所の誤植
  3. 2017年8月組み立て開始
    1. 長細いシャーシに入れる事にした
    2. 無いなら自分で作るしかない。
    3. ワテ自作機とオリジナル記事との相違点
    4. シャーシの加工
    5. 基板の取り付け
    6. AC100V駆動用の定電圧電源回路を即席で作成した
    7. 全ての配線も完了した。配線作業だけで1日掛かりだった。
    8. 音が出ない。あかん。とほほ。。。
    9. 配線の見直し作業
    10. DAI基板の波形を観察する
    11. こういう場合は冷静になって頭を整理するべき
    12. DAI/DAC基板の配線パターンを再作成してみた
    13. 再度組み立てて音出し。音は出た、でも小さい。ノイズも乗っている
      1. 掃除機を掛け捲る
    14. 銅板製のヒートシンクの製作
    15. 再度、音出しチェックをしたら、良い音で鳴っているぞ
    16. IVCやラインアンプのオフセット調整作業
    17. シャーシの上部も取り付けた
    18. テクトロニクス アナログオシロスコープ7000シリーズを彷彿させるスタイル
    19. 堂々の完成!
    20. 上下のカバーは今後取り付け予定
    21. 懸案事項
  4. まとめ
    1. 電子工作自作の心得
    2. 今後の予定
    3. 金田式DCアンプ関連本を買う
    4. 楽天、Yahooショッピングで電子部品をかなり安値で買う人向け

2011年10月頃の作業

DCアンプシリーズ No.213超多機能アナログ&デジタル再生システムとはどんなシステムなのか?

MJ無線と実験 2011年 4月号と5月号で発表された。

主な特徴は以下の通り。

  • ニッケル水素電池駆動で持ち運び可能
  • フォノイコライザー搭載
  • 従来のI/V変換部は差動合成部と一体化して3台のアンプが必要だったが(多機能版)、No.213では1台にシンプル化された(超多機能版)
  • デジタル入力は3チャンネル(トスリンク端子光入力、RCA同軸x2)
  • ヘッドホンアンプとしても利用可能

などだ。

 

MJ無線と実験 2011年 05月号[後編]に掲載されている完成写真を引用すると以下の通り。

引用元 無線と実験 2011年5月号 31ページ

金田先生が厳選されたパーツが整然と配置されていて、とても美しい。

 

 

ワレコ版の超多機能アナログ&デジタル再生システム

ワテの場合、こんなに綺麗には作成できないが、まあ、今回はDACとしての機能が正常に動けばそれでOKとしたい。

要するにパソコンの光デジタル出力音声をこのDACでアナログ音声に復元出来れば良しとする。

早速パーツ集めだが、2SA607などのNEC製の古いメタル缶トランジスタが使われているが、ワテの場合、沢山は持っていないが何個か在庫があるのでそれを使う。

問題は、双信電機製のSEコンデンサだ。

回路図を見ると、一個数千円もするSEコンデンサが左右チャンネルで十数個くらいは使われている感じ。

下手の横好きのワテが趣味で製作する自作DACに何万円も投資する訳には行かない。それに、無事に完成するとも限らないし。

でもまあ、DACのアナログ出力電流を電圧変換するIVC(I/Vコンバーター)基板は清水の舞台から飛び降りる覚悟でSEコンデンサを使った。

何故かと言うと、IVC基板の製作では、そのSEコンデンサの上にスケルトン抵抗を載せると言う特徴的な構造になっているので、この部分は何となく真似したかったからだ。

と言う訳で迷いに迷ってSEコンデンサを買ってみた。

また、一個300円くらいのスケルトン抵抗も高価だ。普段、一本一円くらいの抵抗しか使った事の無いワテには一個300円の抵抗などと言うと、昼飯で3000円の鰻重を食うみたいなもんだ。そんな贅沢は滅多に出来ない。加藤一二三9段(ひふみん)ですら、対局のある日に限り鰻重を食べるらしい。

普通の金属皮膜抵抗で代替しようかなあと思ったのだが、ここは思い切ってスケルトン抵抗を使ってみた。

 

フォノイコライザーは作らない

なおワテの場合、現状ではレコード再生機能は不要なのでMCフォノイコライザー基板は作らない事にした。

フォノイコライザー回路では、RIAA補正回路に5100pFと1500pFのSEコンデンサを使うが、左右で計四個だからそれだけで1万円以上かかる。

今回はその部分を省略したので、若干節約する事が出来た。

 

AC100V駆動にする

ワテの場合、自宅で使う事が前提なので水素電池駆動のポータブル型にする必要は無い。

なので、トランスを買って別途 +7.2DCV、-4.8DCV の正負の電源回路を作成する事にした。

具体的には出力可変型の三端子レギュレータLM317が手持ちに数個あったので、それを使う予定。

 

と言う事で、ワテ版超多機能アナログ&デジタル再生システムでは、金田先生ご指定の純正部品使用率は、70パーセントくらいかな。

さて、ある程度パーツが揃ったので、週末を利用してシコシコと半田付けをして個々の基板を作成した。

具体的には以下の通り。

 

DAI/DAC基板

紫色のコンデンサはOSコンデンサだ。ワテは初めて使う。

鮮やかなオレンジ色はニッセイ電機のフィルムコンデンサだ。

上部に四つある茶色のチョコレートのようなのが、マイカコンデンサ(10,000pF)。

MJの記事ではこの部分は本来はSEコンデンサが指定されている。ちなみに1万ピコファラッドのSEコンデンサは一個5千円くらいする。そんなもの、プアオーディオ派のワテには四つも買える訳が無い。いや、一つでも買う勇気が無い。資金も無い。

ワテの場合、基本はプアオーディオ自作派なので、そんな高価なコンデンサは滅多な事では使えない。

 

IVC基板

黒い胴体に抵抗体がグルグルと巻いてあるのがスケルトン抵抗だ。四つある。

そのうちの二個はSEコンデンサの上に載せてある。

清水の舞台から飛び降りる覚悟で買った貴重なSEコンデンサだ。マニアな人にはコンデンサの違いで音を聞き分けられるらしい。まあ、ワテには良く分からないが、ここは指定部品を使ってみた。

ヘッドフォンアンプ&ラインアンプ基板(左右)

昔、どこかのジャンク屋で買った2SA606を四個使った。

最近では、金田式で有名になった

2SA606(ヒートシンク付きは2SA607)、

2SC959(ヒートシンク付きは2SC960)、

などのメタルCANトランジスタは偽物が出回っているらしいが、ワテが持っているやつはかなり古いので偽物が出回る前のものだから多分本物だろうと思う。

それに保存状態が悪いので表面は汚れているが(買った時点でこんな感じだった)、もし偽物ならこんな小汚い状態にはしないだろう。骨董品の偽物なら、古びた感じに見せる為に、わざと安物の新品を薄汚く汚すなどもするらしいが。確か昔、中島誠之助さんがテレビで言ってたと思う。

なお、このヘッドフォンアンプ&ラインアンプ基板では、差動二段目のTr4、Tr5の共通エミッター抵抗は、270Ωの抵抗にRE(0Ω~30Ω)と言う2番目の抵抗を直列に接続してある。

調整時にREの値と一段目のTr3のソース抵抗160Ωを微調整して、出力電流IOを10~15mAの範囲に入れる(2011/5[後編]P121)。

ワテの場合は取り敢えず、REは無しで270Ωを+7.2Vに接続した。

結果的にはRE無しでも、丁度上手い具合にIOが10~15mAの範囲に収まった(RL=13/15くらい)。

調整に関するその辺りの説明は、この記事の後半に登場する。

+5Vレギュレータ基板

+3.3Vレギュレータ基板

レギュレータ基板には2SA607(606のヒートシンク付き)を使った。

オリジナルの記事ではヒートシンク無しの2SA606が使ってある。ワテの場合は、たまたま手持ちがヒートシンク付きの607だったが、シャーシに組み込む時に嵩張って苦労したので、結局ヒートシンクは外した。

 

2011年10月の時点では、これらの基板の半田付けは完了していた。

ここまでは、ワテとしてもいい仕事をしたと思っている(中島誠之助か)。

半田付けも今まで以上に慎重に行い、金田先生指定のダイエイ電線の銅線を使った7本撚りも作って配線した。

また+3.3Vや+5Vレギュレータは、入力にワテ所有の高砂製定電圧電源装置から+7.2Vを入れて正常に動作する事も確認出来ていた。

ここまでの作業で気づいた誤植などをまとめておこう。

No.213超多機能アナログ&デジタル再生システム(無線と実験 2011年4月号、5月号)の誤植や変更箇所まとめ

この記事はワテにはとても分り辛かった。

と言うのは、前編の回路図の幾つかのパーツが、後編の製作段階で値の事なるパーツに置き換えられているからだ。

また、DAI/DAC基板の配線にミスがあり、製作例のまま作ってしまうと+3.3V電源がGNDに接続されているのでショートしてしまう。

以下では、今後、このNo.213超多機能アナログ&デジタル再生システムを製作する予定の皆さんの為にそれらの箇所をまとめておいた。

なお、あくまでワテの理解なので、ワテ自身が勘違いしているかもしれないので、最終的にはご自身で入念に確認して下さい。

前編のパーツのうち後編の製作段階で変更されたもの

ヘッドフォンアンプ&ラインアンプの変更箇所

2011/4[前編]P43 図16、2011/5[後編]P118 図24

位相補正抵抗 620Ω → 300Ω

DAC入力端子 15KΩ → 7.5KΩ

初段定電流回路 160Ω → 180Ω

この三つの変更箇所を下図に示す。

図 ヘッドフォンアンプ兼ラインアンプの三つの抵抗値の変更箇所(引用元 MJ誌2011/4[前編]P43 図16)

 

DAI/DAC基板の変更箇所

2011/4[前編]P40 図12、2011/5[後編]P118 図24

前編ではPCM1794のVccとVcom間に入れる二カ所のOSコンは4.7uFと記載されていたが、ここは漏れ電流の少ない47uFが正しい。

図 DAI/DACの二カ所のOSコンの容量の変更箇所(引用元 MJ誌2011/4[前編]P40 図12)

 

DAI/DAC基板の三か所の誤植

まず、下図に於いて10uFのOSコンの極性表示が逆になっている。

→ 製作時は正しい極性にした(図の極性を逆転した)。

 

次に、下図にある10KΩとその上の電解コンデンサが回路図には見当たらない。

→ 製作時はこの二つの部品は取り付けない。

 

+3.3VがGNDとショートする部分がある。

→ この部分は、上から右斜めに来た+3.3V配線をGNDには接続せずに一つ手前で赤線のように縦に進んでPCM1794の14番ピンに接続すると良い。

このワテの記事の後半部分でも詳細な説明あり。

図 DAI/DACの三か所の誤植(引用元 MJ誌2011/5[後編]P118 図25)

 

 

さて、後はケースに入れて配線をする作業なのだが、大変な作業だ。

ケースはMJ記事ではポータブル型の薄型ケースだ。

でもワテの場合はAC100V電源の据え置き型にする予定だ。

ケースも良いやつは高いので、安いケースあるいは自作を検討中だが、いずれにしてもケースにドリルで穴を開ける作業は気合を入れてやらないとなかなか行動に移せない。

一方配線作業もかなりややこしそう。

と言うのは、上図右側に十数本の線が出ている。

このDAI/DAC基板には、

  • 電源(+5, +3.3, GND)
  • IVC基板と接続する線(IoutL-, IoutL+, AGND3L, IoutR-, IoutR+, AGND3R)
  • 入力端子と接続する線(Input-1, Gnd-1, Input-2, Gnd-2)
  • 入力切替SWと接続する線(SW1, SW2, SW+3.3, SW0)

などが出ている。

完成した今となっては配線したイメージを想像出来るのだが、製作前には一つの基板でこんなに沢山の配線をするのが億劫になり、なかなか作業を開始出来なかった。

 

その結果、これらの基板は六年間お蔵入りとなっていた。

 

2017年8月組み立て開始

そんなこんなで、未完成のまま6年くらい経ってしまった。

その間に、ぺるけさん式のトランス付き秋月USB-DACを作ったり、同じくぺるけさん式ヘッドフォンアンプVer3を作ったりしていたのだが、金田式DACは未完成のまま放置していた。

しかし、放置したまま未完成と言うのは、気分が落ち着かない。

そこでこの2017年の夏休みに重い腰を上げて六年越しに完成させる決意で、製作を再開したのだ。

六年も前の事なので、回路図すら覚えていない。

先ほど紹介した誤植箇所なども再確認して、六年前の状態に頭を戻した。

後は

  • シャーシの加工
  • AC100V電源から+7.2DCV, -4.8DCVの定電圧電源回路の製作
  • 配線作業

だ。

長細いシャーシに入れる事にした

シャーシのサイズは、色々検討したのだが、

W100xH50xD300 mmに決定した。

奥行300ミリなのでまるでうなぎの寝床と呼ばれる京町屋のようなスタイルだ。

なぜそんなに細長いシャーシにしたかと言うと、ぺるけ式ヘッドフォンアンプでは、株式会社タカチ電機工業の

HEN110520 W111.2 x H54.7 x D200

と言うケースに入れた。約3000円くらいだ。

これも奥行200なのでかなり細長い。

HENシリーズのケースは丈夫なアルミ押し出し材で出来ていて放熱フィンが左右にあるのでとても使い勝手が良い。パワーアンプにも使える。

 

タカチ電機工業 HEN型放熱ケース

で、金田式超多機能アナログ&デジタル再生システムもこのHENケースに入れようとしたのだが、奥行き200mmではどう考えても入らない。

トランスと定電圧電源を入れる余裕が無いのだ。

それで、奥行きを伸ばせば入るだろうと思って、切りの良い300mmにしたのだ。

ちなみにタカチHENシリーズは奥行200mmが最大だ。

他のシリーズの類似のケースの場合、既製品で用意されているサイズ以外に、フリーサイズケースと言う分類で任意サイズの奥行を指定して注文をする事も可能だ。

しかしながら、何故かこのHENシリーズに限ってはフリーサイズケースのカタログに載っていない。

まあ仮に載っていたとしても、5千円くらいだろう。高い。

HENの場合、ボディ部分が上下に分割出来る構造だ。アルミ押し出し材で形成されていて、とても丈夫なシャーシだ。

なので小型のオーディオ機器を組み込むには最適なのだが、今回はHENの採用は見送った。

理由は、サイズが無い事が理由だが、それ以上に大きな問題は、裏側から配線作業が出来ない点だ。

つまり底板がボディを兼用しているので、一般的なシャーシのように組み立てた後で底板を外して配線作業をしたり、半固定抵抗を調整するなどの作業が出来ない。

では、そう言う一般的な構造のシャーシとして、同じくタカチ電機工業のOSシリーズがあるが、W100xH50xD300 などと言うサイズは無い。

 

タカチ電機工業 OS型アルミサッシケース

 

無いなら自分で作るしかない。

ホームセンターに行って手頃なアルミ材を物色したところ

25x15x2000x1.5t と言うL型のアルミアングルが有った。値段も1000円くらい。

それと

9.2×9.2x1000x0.9t というL型のアルミアングルも買った。値段は100円くらいだったかな。

100x150x1tアルミ板も1枚買った。

 

25x15x300のアングルを四本作った。

25mmの辺を上下に連結すると目的の高さ50mmになる。

図 アルミLアングルで製作した100x50x300シャーシの骨組み

材料費2000円弱。余った材料でもう一台くらい作成可能だ。なのでこの後、上下にアルミ板のカバーを付ける予定だが、それでもワテ自作シャーシは一個1500円くらいの予算で完成した。

いい感じだ。ただしネジ止めが多いので組み立て分解には時間が掛かる。

なお、HENシリーズで高さ H54.7 のものは有効内寸高さは49.7mmだ。

ワテ自作シャーシは高さ50mmだが、押え付ければ49.7mmくらいにはなる。

従って、将来HENのH54.7で奥行300mmくらいのものが登場した場合には、そのHENシャーシの中にワテ自作アルミシャーシをそのまま内蔵する事が出来る。そう言う理由でワテ自作シャーシはH=50で作成したのだ。

そこまで緻密に計算してシャーシ寸法を決定したのだ。

ほんまかいなw

ワテ自作機とオリジナル記事との相違点

ボリュームは記事ではコスモス30mmΦ2連50KΩAだが手持ちにアルプス2連10KΩAしか無かったので10KΩにした。製作後のヘッドホンでの試聴では10KΩでも十分大きな音量で鳴ったので、10KΩで十分だった。50KΩだと爆音になるに違いない。

オリジナルでは入力はMCイコライザー、DACをトルグスイッチで切り替える方式だが、ワテの場合はDAC、LINE入力1、LINE入力2の三入力をロータリスイッチで切り替える方式にした。

つまり、フラットアンプ部分を単なるラインアンプとして利用出来るようにした。

またデジタル入力はオリジナルでは光デジタル(トスリンク端子)x1 、同軸デジタル(RCA端子)x2の合計3入力だが、ワテの場合にはトスリンク端子とRCA端子の2入力とした。

それらの切り替えはリアパネルのトグルスイッチで行う方式にした。フロントパネルにトグルスイッチを取り付ける余裕が無かったので背面に付けたのだ。

ミューティングスイッチは付けていない。

以上がワテ自作機とMJオリジナル記事における入力周りの相違点だ。

 

ちなみに各アングルの接合は、下図のように9.2×9.2×0.9tのアングルを46mmくらいに切ったものを四本作成して、フロントとリアのパネルに直角に固定している。

図 アルミLアングルで製作した100x50x300シャーシのリアパネルと各端子の説明

フロントパネルとリアパネルは100x50x1tのアルミ板だ。

厚み1mmはちょっと薄いかなあと思ったのだが、必要なら将来この上に厚い化粧パネルを重ねても良いし。

と言う事で取り敢えず1mm厚のパネルを採用した。

上図はリアパネル。

 

シャーシの加工

ネジは3mmの真鍮にニッケルメッキしたごく一般的なヤツだ。

見ての通り、多数の3mmネジで止めまくる構造だ。

そのネジも頭の丸い鍋ネジと頭が平らになる皿ネジを使い分けている。

皿ネジの場合には3mmネジ穴を開けた後に、周囲をザグリ処理する必要がある。

要するにすり鉢状に削る作業だ。

そのザグリ角度は一般的な皿ネジの場合90度なのだ。一方、一般的な金工用ドリルの場合には刃先角度は118度との事だ。なのでザグリに太目のドリルを使っても角度が違うので、皿ネジが上手く収まらない。

ワテの場合、ザグリ専用のコニカルドリル(ライト精機)と言うのを使っている。

一本買っておくとザグリ処理がスイスイ捗る。

この製品の場合、軸が六角形なので固定し易い。また直径4~9mmまでのザグリ穴を開ける事が可能だ。もう一つ上のサイズに14mm(6~14mm)もあるので予算に余裕が有れば二種類持っていると完璧だ。

長年使っているが、今でも刃先はよく切れる。ザグリ作業が楽しくなるくらいサクサクと穴が開くのだ。ワテ絶賛のコニカルドリル(ライト精機)だ。

と言う事でひたすらザグリを行う。

ワテが欲しいボール盤とお勧め小物

このリョービのボール盤はハンドルを回してテーブルを上下出来るのでとても便利だ。ワテも欲しい。

金属加工などの工作をする場合は、必ず安全の為にゴーグルを掛ける。「穴を一個開けるだけなので、ゴーグル無しでも良いか」と言うような手抜きが事故の元だ。どんな場合でも必ず掛けるのが安全作業の基本だ。

基板の取り付け

DAI/DAC基板の上にIVC基板を載せる作戦にした。二段重ねだ。

図 DAI/DAC基板の上にIVC基板を載せる二段重ね方式

 

同じく、レギュレータ基板もラインアンプ兼ヘッドフォンアンプ基板も二段重ね方式にした。

図 ヘッドフォンアンプ兼ラインアンプ(手前)も二段重ね、+3.3V基板と+5V基板も二段重ね(奥)

 

全ての基板を二段重ねにしたらどうにかシャーシに押し込む事は出来たが、この後の配線作業がどうなるのか?

下段の基板はシャーシ裏側から配線出来る。上段の基板は二個の固定ネジを外して裏返せば可能だ。なので原理的には上段、下段ともに簡単に配線が出来るのであるが、それらの配線を多数半田付けする事は可能なのか自信が無い。でもまあここまで来たのでやるしかない。後戻りは出来ない。

トスリンクはオリジナル記事ではTORX177Lと言うタイプだ。確かワテも同じタイプを購入したと思う。

それを取り付ける基板をカットして作成した。ニッセイの0.1uFフィルムコンデンサも取り付けた。

図 トスリンク端子とニッセイのフィルムコンデンサ

コンデンサが傾いているが、もう一穴ずらせば直立させる事が出来た。

でもそうすると、この基板をシャーシに取り付けた時にコンデンサがワテ自作LM317定電圧電源基板に干渉した。なのでこんなふうに傾いている。

プリント基板の穴一個分(2.54mm)さえも無駄に出来ない、超過密設計だ。

アホである。

 

AC100V駆動用の定電圧電源回路を即席で作成した

+7.2VDC, -4.8VDC電源だ。

図 LM317で作成した +7.2VDC, -4.8VDC電源(二個の半固定VRで出力可変調整が可能)

手持ちにLM317可変型3端子レギュレータが2個あったのでそれを使って以下の回路(右)を即席で二つ作成した。

http://www.tij.co.jp/jp/lit/ds/symlink/lm117.pdf

引用元 http://www.tij.co.jp/jp/lit/ds/symlink/lm117.pdf

 

LM317は、出力電圧1.2~37Vで出力電流1.5Aを供給できる正電圧可変型3端子レギュレータICだ。

出力電圧は外付けの2個の抵抗で設定できるので手軽に使える。今回製作するNo.213超多機能アナログ&デジタル再生システムでは1.5Aも消費しないがまあこれしか手持ちに無いのでそれを使う。

念のために製作前にLTspiceを使ってシミュレーションもしておいた。LTspiceはトランスもシミュレート出来るので、とても便利だ。

上図右では出力部分に1uFタンタル・コンデンサが指定されているが、手持ちに無かったので普通の電解コンデンサーにした。

平滑コンデンサは一個2700uFの容量なのだが、正負それぞれの回路に二個使った。合計四個だ。でも二個でも十分だったかもしれない。なぜ四個使ったかと言うと、このコンデンサが手持ちにいっぱいあるので使いたかったからだ。

その結果、コンデンサだけで基板の6割以上を占有してしまった。残りの余白に他の部品を載せる為に苦労した。

 

トランスはRSコンポーネンツで以下の製品を購入した。プリント基板取り付け型のトロイダルトランスだ。背面には3mmくらいの短い電極ピンが数本出ている。

海外在庫であったが発注して4日くらいで届いた。速いなあ。

図 RSコンポーネンツで買ったプリント基板取り付け型のトロイダルトランス

 

商品名:RS Pro 基板実装用トランス,一次側:115 → 230V ac,二次側:2 x 9V ac

型番:ST81793

巻き線 出力 ピン番号
PRI 0-115V/50-60Hz 1-4
  0-115V/50-60Hz 7-10
SEC 0-9.0V/5.0VA 11-13
  0-9.0V/5.0VA 18-20

価格は1200円くらいだった。値段も手頃で小型で扱い易いのでお勧めだ。良く見かけるリング状のトロイダルトランスの場合、シャーシに固定するためには中心部分に太いボルトを通して固定する必要があるが、この製品は基板取り付け型なので手軽に使える点が良い。ワテお勧めだ。同じシリーズで色んな二次電圧が選べる。

 

二次側が9VACなので整流すると√2倍して12.7Vくらいになるが、一次が115Vの場合なので100Vだと11.1Vくらい。

全波整流しているので、さらにダイオード2個分の電圧降下0.6×2=1.2Vは減るからまあ10Vくらいかな。

実測してみると10.6Vくらいだった。

二次側は巻き線が独立していて 0-9.0V/5VAが2回路ある。

こういう二次側巻き線独立タイプのトランスの場合には、本来は正電圧用のLM317を負電圧を生成する場合にも利用出来る。

要するに正電圧を二回路製作して、直列に接続すれば良いのだ。

なのでワテの場合はLM317を良く使う。負電圧用のLM337を使わなくてもLM317が2個あれば良いし、同じ回路を2個作るほうが間違いが少ないからワテは好きだ。

だいたいLM317とLM337とでの足の並びが違うのだ。

LM317は左からAdjust, Output, Inputなのに

LM337は左からAdjust, Input, Outputなのだ。

紛らわしいだろ。何で違うのかな?良く分からん。

と言う事でワテの場合はLM317だけを使って正負電源を作る方式を昔から採用している。まあ、そんな事はどうでも良くて皆さんも興味無いと思うが。

 

さて、電源が完成したので組み込んでみた。

全ての配線も完了した。配線作業だけで1日掛かりだった。

図 配線が完了したNo.213超多機能アナログ&デジタル再生システム(ワレコ版)

部品や基板の密集度合いでは誰にも負けない。

まあ、そんなので勝負する人も居ないと思うが。

 

横から見るとこんな感じだ(下図)。

図 横から見たNo.213超多機能アナログ&デジタル再生システム(ワレコ版)

 

配線の色はあまり考えずに適当に色分けした。

2011/5[後編]P119のオリジナル記事では、

  • 赤は+5V
  • 橙色+3.3V
  • 黒は0V

に統一する。その他は自分なりにルールを作るとよい。

との記載があるのでワテもそれに従った。

また、P123の記述では、

配線材はすべてダイエイ電線20芯コードで、配線の向きは表面の印刷で判断し、”DAIEI”の”D”をホット側にする。

配線は最短距離ではなく多少ゆとりを持たせ、サポートの側を通るときは、迂回して弧を描くように配線する。

との事だ。

まあ、DAIEI電線の向きまで指定されている理由はワテには分からない。逆に配線すると音が悪くなるのかも知れない。んなアホな!! 金田先生もいよいよオカルトの領域に入られてしまったのか⁉

まあ電線の向きが音に影響を及ぼすなんて言う事は電気的には考えられない事なので、恐らく”D”をホット側にする目的は後で配線を見直した時にその線がどこからどこに向かって配線されているのかを分かり易く区別する為の配線テクニックなのかも知れない。ワテの場合、無線と実験はたまにしか買わないので、金田先生の全記事をくまなくチェックしている訳ではないので、配線の向きが指定されている事情など疎い。

理由をご存じの方おられましたらお教えください。

ちなみに、ワテの場合はDAIEI電線の向きに関しては全く無頓着なので適当に配線した。

正統派の金田式愛好家の方からすれば、「それは邪道だ」とお叱りを受けるかもしれない。

さて、お盆休みの数日は超多機能アナログ&デジタル再生システムの組み立てに没頭していた。

で、配線は完了したのでさっそく音出しだ。

 

音が出ない。あかん。とほほ。。。

ワテのパソコンはデフォルトではペルケさん式秋月USB-DACが規定のデバイスに設定されている(下図)。

図 パソコンの規定の再生デバイスを光デジタル出力に変更する

 

それを上図右のようにパソコンの規定の再生デバイスを光デジタル出力に変更した。

後は、ヘッドホン端子にヘッドホンを接続して電源を投入すれば、瑞々しいサウンドが聞こえるはずだ。

で、実際にやってみたら、うんともすんとも言わん。あかんがな。お先真っ暗とはこの事か!

 

配線の見直し作業

2011/5[後編]P124の記事では、「IVCの再調整」と言う見出しの節に、以下の記述がある。

DAI、DAC基板とIVC基板間はまだ未接続だ。オシロスコープが使えるときは、この状態でDAIのテストができる。テストはSystem Clock、Bit Clock、LR ClockそしてDataの波形を観測することだ。このうち最もわかりやすいのがLR Clockである。基板のGNDラインに抵抗のリード線などを立てておき、観測ポイントにも同様のリード線を立てるか、オシロスコープのプローブの先端を鍵状ではなく針状のものにしておく。

デジタル入力端子にCDトランスポートのデジタル出力を同軸ケーブルまたは光ケーブルで接続する。CDトランスポートの電源はオフで、本機の電源をオンにする。LR Clockを観測する。DAI内部のPLLのVCO(電圧制御発振器)の働きで、フリーラン周波数の方形波が観測されるはずだ。入力セレクターがどの位置にあっても方形波は見えるはずで、これが見えないようではDAIの配線ミスである。特にFILTかRESETのあたりを注意しよう。

方形波が見えたらCDトランスポートの電源をオンにする。VCOがロックオンし、LR Clocの周波数が44.1KHzになるはずだ。Bit Clockは44.1KHzx32bitx2=2.822MHzになる。

(省略)

最後にDACとIVC間の配線をして、IVCの再調整をする。DAC基板から出ている信号ラインのうち、IoutL-とIoutR-はIVC基板裏でTR8のエミッターに配線し、IoutL+とIoutR+は基板表側でTR2のゲートに配線、AGND3L、AGND3Rは基板に立てたGNDピンに配線する。電源をオンしてIVCのVoを測定する。0V近くならよいが、とんでもないDC電圧が出ているようではDACの配線ミスである。

引用元 無線と実験 2011/5 [後編] P124の記事

 

との記載がある。

ワテの場合、何も考えずに全部の配線を済ませてしまった。

それで一発で音が出て万々歳になるはずだったのだが、、、

DAI基板の波形を観察する

で、ここは、まず記事に従ってDAI基板の波形を観察する事から始めた。

ところが、System Clock、Bit Clock、LR ClockそしてDataの波形がDAI(CS8416)のどの端子なのか良く分からない。

以下、ワテの理解では以下の通り。

MJの記述 CS8416の端子 ワテの測定結果
LR Clock  28 LRCK(サンプリング) 48KHz, 0~1.5Vの方形波
Bit Clock  27 SCLK  3MHz, 0~1.5Vの方形波
Data   26 SDOUT(オーディオデータ) 方形波は出ている
  25 OMCK   なし
System Clock 24 RMCK 12.3MHz, 0~1.5Vの方形波

                  表 DAI基板の波形を観測する端子のまとめ

 

さっそくオシロのプローブの先っちょのフックを引き抜いて針にした。

その針先で、CS8416の24~28ピンの辺りを観察してみた。

その結果を上表に示した。

一応、方形波が観察されたので動いている感じ。

でも音が全く聞こえない。

こういう場合は冷静になって頭を整理するべき

電子回路を製作していて、正しく動かない場合に行き当たりばったりでなんだかんだやっていると、収拾が付かなくなって訳分からなくなる場合が多い。

その結果、思い付きで半田ごてで回路を変更してみたり、部品を取り換えて見たりする人も多い。そう言う場合には往々にして焦って部品を壊したり、半田付けが引っ張られて配線が外れるなどもある。

そう言う時には冷静になって頭を整理するのが良い。

  • ワテ自作の電源回路(+7.2DCV、-4.8DCV)は正常動作確認済
  • +5V, +3.3レギュレータ基板は+7.2Vを接続して正常動作確認済
  • IVC基板、ラインアンプ基板などのアナログ基板は、配線間違いは無いはず(過去に似たようなのを作った事もあるので)
  • いもハンダなどの接触不良はワテの場合極力注意しているのでまず有り得ないと断言できる
  • 半田の熱でパーツを壊す事故も、ワテの場合極力注意しているのでまず有り得ないと断言できる
  • 抵抗、コンデンサの値は取り付け前にテスターで計測して確認するので値間違いは無い
  • ダイオード、電解コンデンサの極性、トランジスタ、FETの足の間違いは取り付け前、取り付け後、全部取り付け後の三回チェックするので間違いは無い

と言う事で、最も疑わしいのはDAI/DAC基板の配線だ。

 

なので、DAI/DAC基板の配線見直し作業から開始した。

 

DAI/DAC基板の配線パターンを再作成してみた

先ほど掲載したDAI/DAC基板の三か所の誤植(引用元 MJ誌2011/5[後編]P118 図25)の図であるが、この右側の配線パターンを見ながら配線をしたのだが、3か所も誤植があるのでこの基板が最も怪しい。

図 DAI/DACの三か所の誤植(引用元 MJ誌2011/5[後編]P118 図25)

 

兎に角、原因はどこかにあるのだ。

それを突き止めれば必ず解決する。

その為には、基本に戻って配線の総チェックだ。

2時間くらい掛けて、パワーポイントでDAI/DAC基板の配線図を再作成してみた。実体配線図っぽく描いてみた。

下図は半田面から見た絵なので、描かれている部品はもし基板が透明なら透けて見えると言う意味になる。

 

図 DAI/DAC基板の配線パターン

 

一方、ワテ自作の配線済みの基板はDAI/DACとIVCは2段重ねで一体化しているので、その部分をごっそりと取り出した。幾つかの配線の半田付けも外した。

分解作業は意外に簡単に出来た。

 

この図と取り出したDAI/DAC基板を見比べていると2カ所もワテの間違いを発見した(図中オレンジ色背景文字で示す)。

  • PMC1794の27番ピンがGNDに導通していなかった(配線忘れ)
  • CS8416の16番、19番ピンに接続しているそれぞれの47KΩがGNDに未接続であった(配線忘れ)

さっそくこの部分を修正した。

 

再度組み立てて音出し。音は出た、でも小さい。ノイズも乗っている

その結果、音は出たのだが、音量がとても小さい。ボリューム最大にしても遠くで聞こえている感じ。

また、ブーンと言うハムノイズのようなのも乗っているし。

左右共に同じ感じ。

全く音が出ない状況から少しは改善したのだが、お先真っ暗に近い状況は変わっていない。

あかんがな。

掃除機を掛け捲る

この手の工作をしていると、アルミの切り屑、銅線の切れ端、半田の屑などがプリント基板上にくっついている場合がある。それらが回路に不正な導通箇所を作ってしまい、異常動作を引き起こす事も多い。

そう言う時には掃除機でプリント基板の表も裏もしっかりと吸いまくるのが良い。

こう言う家庭用の掃除機で十分だ。

あるいは、こう言う業務用の集塵機を持っているとパワフルで便利だ。

この製品の場合、乾湿両用なので水でも吸えるのか?その点は要確認だ。

 

で、ワテもボール盤作業、半田付け作業、鑢掛け作業など、何かの作業をする度に入念に掃除機掛けをしているのだが、ここでも入念に掃除機をかけた。

でも、問題は解決しない。相変わらず音が小さく、ハムノイズが出ている。

 

さあ、どうするか。

少し頭を冷やす為に、別の作業を行った。

銅板製のヒートシンクの製作

それは、ワテ自作の電源回路(+7.2DCV、-4.8DCV)に使っているLM317の発熱対策だ。

ヒートシンクを手で触ってもそんなに熱くは無いのでヒートシンク無しでも行けそう。

でもまあ、小さくても良いのでヒートシンクを付けておくほうが気休めにもなる。

しかしながらスペースが殆どないので、市販の小型ヒートシンクでも隙間に収まらない感じ。

でも、この電源製作時にはこういう状況を想定してLM317を基板の端っこに配置した。

なので、若干の隙間はある。この部分に銅板を利用して自作ヒートシンクを作成してみた。

0.5ミリ厚の銅板を帯状に切断して折り曲げて一端を半田付けして固定。

図 銅板を折り曲げてLM317用のヒートシンクを製作した

TO-3用の絶縁シートをハサミで切って、プラスチックネジで固定した。

その完成形が下図だ。

図 銅板製の手作りヒートシンクを二個のLM317に取り付けた写真

二個のLM317は絶縁シートで絶縁しているので一枚の銅板に固定しても電気的には導通はしない。

まあ、無理矢理押し込んだ感じ。

トロイダルトランスの発熱で銅板が温まり、逆にLM317を温める恐れもあるが、実際に使ってみるとトランスの発熱はそんなには無いし。

と言う事で、まあどうにかヒートシンクの作成と取り付けが完了した。

この作業には2時間くらい掛かった。

そんなに発熱しないので銅板はこんなに大きくする必要は無かったかも知れないが、トロイダルトランスからの漏洩磁束が銅板で遮られるかなあと言う別の効果も考えて大き目にしてみた。実際に効果があるのかどうかは不明だ。

さて、音が小さくてノイズが載っている状況をどうにかしなくてはならない。

音は小さくても一応音は出ているし、何が悪いのか分からない。

ハム音のほうは、高密度に詰め込んだのでAC100V配線が何かの信号線に密着して干渉しているのかもしれない。

再度、音出しチェックをしたら、良い音で鳴っているぞ

ヘッドホンを接続して、再び音出しチェックをした。

そしたら驚いた事に、いい感じで鳴っている。

音量も十分あるし、先ほどまでのハムノイズも一切無い。

何や知らんが全ての問題が一気に解決して行き成り完成したぞ。

しばらくその瑞々しい音に聞き入ってしまった。

 

地上の星 / 中島みゆき [公式]

を聞いてみた。

この動画の場合、冒頭の無音部分が15秒くらいあるが、ボリューム最大にしても全くノイズも聞こえない。

そして行き成り音楽が聞こえるので驚き桃の木山椒の木だ。

左右の音量バランスも全く問題無し。

何と言うかその、沢山の情報が詰まっている感じ。

こんなに沢山の音楽情報が詰まっていたのかと言うくらい、豊かに聞こえる。

高音も良く伸びるし、低音も迫力のある音だ。

そんな感じで、数十分くらい色んな音源をとっかえひっかえして聞き入ってしまった。

いい感じだ。

 

最初に音が小さくて、ハムノイズが載っていたのは、使っているOSコン、電解コン、その他の部品が六年前あるいはそれ以上前に購入していた古い部品なので正常に動作するまでに1、2時間掛ったのかな。

未通電のパーツが深い眠りから目覚めるには数時間は通電する必要があったようだ。今後、使い込んで行くと、ますますエージングが進んでさらに良い音になる事を期待したい。

 

IVCやラインアンプのオフセット調整作業

コパルTM-7Pと言う半固定抵抗をIVC基板に二個、ラインアンプの左右に各一個、合計4個の半固定抵抗を使っている。

後編の調整手順には詳しく調整方法が説明されている。

ワテもそれらを参考にしながら、まずはIVCの出力電圧Voがゼロになるように調整した。

次に、ラインアンプも出力Voがゼロになるようにデジタルマルチメータで電圧を観察しながら半固定抵抗のネジを回転させて調整した。

その時に、出力に接続されている10Ω抵抗の両端電圧を測り、電流Ioが10~15mA(電圧なら100~150mV)なら正常との事だ。

ワテの場合も実測で左右が13/15mA程度だったのでまあどうにか収まっている感じ。

もしIoがこの範囲に無い場合には、2011/5[後編]P121の説明によると、Ioは定電流回路Tr3のIdssによって変化するのでソース抵抗を変更すれば良い。

具体的には、

もしこの範囲より少ない場合(Io<10mA) ソース抵抗180Ω → 150 or 160Ωに交換

もしこの範囲より多いい場合(15mA<Io) ソース抵抗 180Ω → 200 or 220Ωに交換

すると良いとの事だ。

これらの調整は電源オン直後では安定しないので、装置が十分温まるまで待ってから行うと良い事は言うまでも無い。

 

シャーシの上部も取り付けた

シャーシの上部も取り付けた(下図)。

図 シャーシの上部も取り付けた

上部シャーシを固定するには、固定ネジのナットをシャーシ内部の込み入った場所に取り付ける必要がある。右手でプラスドライバー、左手でピンセットで摘まんだ六角ナット。それを狭い隙間に挿入して3mmネジに固定するのは大変な作業だった。

左から三番目の橋げたは固定ネジがトランスに当たってしまったので場所を移動した。その結果、トランジスタに熱結合したダイオードに接触しそうになったのでアルミを半円形に削った。

行き当たりばったりにも程がある。

テクトロニクス アナログオシロスコープ7000シリーズを彷彿させるスタイル

でも良く見てみると、まるでテクトロニクス社の往年の最高級アナログオシロスコープ7000シリーズのプラグインのような形状だ。

引用元

http://w140.com/tekwiki/wiki/File:Tek7104-1.jpg

http://w140.com/tekwiki/wiki/File:Tek_7b15.JPG

http://w140.com/tekwiki/wiki/File:7b15-left.jpg

 

まあ、大きさはよく似ている。

気になったので調べてみた。

Tektronix 7A29と言う1 GHz single-channel vertical plug-in の場合には寸法は以下の通り。

図 Tektronix 7A29 – 1GHz single-channel vertical plug-inの寸法図(引用元 テクトロニクス社)

 

W63 x H123.2 x D300

くらいだ。奥行Dに関してはツマミ部分も含めると369.6あるが、本体部分は300くらい。

一方、ワテオリジナルシャーシの場合には

50 x 100 x 300

だ。

コンパクトと言う点ではワテの勝ちだ(なんのこっちゃ。)。

一方、中身の密集度合で言うと、いい勝負だ(と思う)。引き分けにしておこう。

さらに、価格で言うと、ワテの完敗だ。

テクトロ7000シリーズのプラグインは高い物だと何百万円もしたからだ。

ワテの場合は、ほんのちょっぴりSEコンデンサとスケルトン抵抗を新品購入したが、残りの多くの部品はジャンク屋で買ったものも多い。

さて、そんな昔話はこれくらいにして、完成品の全体像を紹介したい。

 

堂々の完成!

精悍なフロントパネル

傷だらけだが気にしない。

ツマミは適当に手持ちのヤツを付けた。

 

ヘッドホンジャックを後で取り付けたので無理があるが、一応無事に収まった(上図)。

取っ手付けたとはこの事か。

電源表示LEDはワテはオーソドックスな緑色が好きだ。それもあまり明るくない控え目な緑。

このLEDは推奨電流が10mAだったのだが、7mA程度にしてみた。電源は+7.2Vが近くにあったのそこから取った。

 

光デジタル入力を接続した例(下図)

一個200円くらいの安めのRCAジャックを7個使ったリアパネル。RCAジャックも沢山付けると意外にお金が掛る。

左端のデジタル入力用RCAジャックのみ種類が違う。他の六個は前面も六角形状、固定ナットも六角なので、前後を六角レンチで締め付けられるので取り付け易い。

一方、左端のデジタル入力に使ったRCAジャックは前面が丸いので固定する場合に掴み所が無いのが欠点だ。プライヤーなどで挟むと傷が付くし。

先端に樹脂が付いているプライヤーが有ればいいのかも知れないがワテは持っていない。

 

上下のカバーは今後取り付け予定

取り敢えず完成したのだが、現状では上下のカバーが無い。

細長いアルミ板を二枚用意して空いている部分にはめ込んで固定する案を当初は考えていたのだが、今のところそのアルミ板が無いので、今後、入手したら取り付けたい。

ただしその固定方法をどうするか検討中だ。橋渡ししている四枚のアルミ板にタップでネジ穴を付けてねじ止めする作戦で行くかな。

でもシャーシをばらして作業するのは大変な労力なので、この組み立てた状態でボール盤で穴開けして手でタップ作業を行う必要がある。

まあ、やれば出来るかな。

 

と言う事で無事に完成した。

 

懸案事項

その後、フラットアンプ兼ヘッドフォンアンプに方形波を入力して出力をオシロで観測してみた。

その結果、リンギングが目立つ。20KHzくらいからかなり大き目のリンギングが出ている。

位相補正の部分を調整すれば改善出来るかもしれないので、今後調査したい。

フラットアンプ基板も二段重ねだが、下段(Lチャンネル)はシャーシを裏返すと基板裏側の半田面が見えるのでコンデンサの容量を変えるなどは出来そうだ。

もしそれで効果があれば上段(Rチャンネル)の基板も取り外して改良したい。その場合には、シャーシ上部を分解しなくてはならない。

やはり、メンテナンス性がとっても悪い。

まあ作ってしまったものは仕方ない。日本一高密度に詰まっている金田式超多機能アナログ&デジタル再生システムかもしれない。何事も前向きに考えたい。でもまあ、そんなに詰め込んで何が良いの?と聞かれても分からんとしか答えられないが。

小さいシャーシに詰め込む事に意義があるのだ。「そこに山があるから」と答えた有名な登山家と同じ心境かもしれない。「そこにシャーシがあるから」ワテの名言だ。違うか。迷言か。

気分的には、こんなにコンパクトなシャーシに沢山の部品を詰め込んだので、出て来る音楽も密度が濃い気分になる(ワテの個人的感想です)。オーディオ趣味とはそんなものかも知れない。

なので、本機は、

金田式超多機能超高密度アナログ&デジタル再生システム7000(ワレコ版)

とでも勝手に名付けておこう。

同じ物を作ってくれと言うような奇特な依頼があったとしても、多分無理かな。製作が面倒なので。でも万一、天文学的に莫大な製作費を払うと言う申し出が有れば検討しても良いですが。無いか。

 

唐突だが、不要なオーディオ機器をWEB買取してもらうにはここがお勧めだ。

まとめ

ワレコ

六年間のブランクを経て無事に金田式No.213超多機能アナログ&デジタル再生システム(イコライザー基板省略、AC100V駆動)を完成させる事が出来た。

オリジナル記事では水素電池駆動だが、ワテ版ではAC100V駆動にした。

RSコンポーネンツでトロイダルトランスを買って組み込んだ。この小型トランスは基板取り付け型なので扱い易い。トロイダルトランスを使ったからと言って、とろい、だるい音がする心配は無い(なんのこっちゃ)。

使用部品はオリジナル記事に準拠したが、安い代替品を多用している。

金田式指定部品使用率は60%くらいかな(ワテの直感)。

それらを自作シャーシ(W100xH50xD300)に組み込んだ。

物凄く高密度に詰め込んだのでメンテナンス性は極めて悪い。

まあ故障する事は無いと願うばかりだが、万一故障したらその時はその時だ。

今考えると、もう少し大き目のシャーシにしても良かったかもしれないが、将来、何か別の機器を自作する場合もこのサイズ(W100xH50xD300)にしてみるかな。

そうすると、並べておいても統一性があるし。

しかしまあ、正統派の純正金田式マニアの人に言わせれば、電源回路に三端子レギュレータLM317を使うなんて言うのは邪道以外の何物でも無いだろう。

そんなパーツを使ったら金田式を名乗る資格は無いと言う事になるだろう。

確かにそうだ。信心深い金田アンプ教の信者なら破門されるレベルの掟破りだ。でもまあワテの場合、単なる自作趣味で作っているので、金田式純正部品、金田式純正回路などへの拘りは全く無い。

それが個性と言うもんだろう。

電子工作自作の心得

今回の製作では、配線忘れが二カ所に有った。それを修正したら無事に動いた。

ワテの経験で言うと、抵抗、コンデンサを取り付ける前には必ず値をテスターで測定するのが良い。

ダイオード、電解コンデンサの極性も必ず半田付け作業の前後で何重にも確認する。トランジスタ、FETの足も同様に確認する。

これらの確認作業を必ず行っておくと、組み立て後に回路が正常動作しない場合の原因究明がやり易いからだ。

もしトラブルの原因として、部品の値の間違い、部品の極性間違い、エミッタ・ベース・コレクタの間違い、ドレイン・ゲート・ソースの間違いなどの可能性があると、それはもう全部の基板の全部の部品を再チェックする必要がある。

組み立てて配線を済ませていると、そんな確認作業は不可能に近い。

特に基板に半田付けしている抵抗やコンデンサの値をテスターで測る事は困難だ。電流が別の経路に流れてしまうからだ。

でも例えば製作時の半田付けの熱でこのコンデンサーを壊してしまったかな?容量をチェックして調べてみるかと思っても、少なくともコンデンサの一方の足を外さないとテスターでの容量計測が出来ない。それで再び半田ごてでコンデンサの足を温めて引き抜こうとしても、ますます上手く行かない。一旦半田付けした部品の除去ほど難しい物は無いからだ。

と言う事で、ワテの場合は、半田付け作業を行う前の時点で、必ずこれらの確認作業を行うようにしている。それも3回は確認する。半田付け前、半田付け後、全部の部品取り付け後だ。時間は掛るが、この手法がワテとしては後々のトラブル時の手間を軽減できる確実な方法だと思っている。

その結果、今回のようなトラブルに直面しても、疑わしい場所の絞り込みが容易になる。つまり部品の値間違いは有り得ない。TR、FETの足間違いも有り得ないと断言できるからだ。

そうして最も疑わしい基板はDAI/DAC基板だという結論になった。

実際、最初に疑ったDAI/DAC基板上で、配線未接続の部分を二カ所発見する事が出来た。

まあ、偶々、勘が当たったと言う言い方も出来るが(それを言っちゃあ身も蓋もないw)。

兎に角、最短時間で問題解決を図る事が出来た。終わり良ければ総て良しと言う事にしておこう。

ワテ流の注意深い半田付け作業を皆さんにもお勧めしたい。

今後の予定

今はヘッドホンで聴いているが、時間がある時に、このDACをパソコン脇の空きスペースに設置したい。

そうして先日購入したローランドの中古パワーアンプSRA-50に接続してオーラトーン5CやJBL Control 1 Proを鳴らしてみたい。

金田式DCアンプ関連本を買う

ワテの場合、全部は持っていないが幾つかの本を持っている。

こんなに昔からDCアンプを研究されていたようだ。

 

「時空を超える」って、タイムマシンでも作るのか!と言うくらいのインパクトがあるタイトルだ。

 

 

ワテもこの上の二冊は持っている。

 

最近は「電流伝送」という方式の回路の作品を多く発表されているようだ。

この末尾の電流伝送方式の二冊をワテも買ってみるかな。

アマゾンで 無線と実験 を見る。

楽天、Yahooショッピングで電子部品をかなり安値で買う人向け

ワテ自作の便利サイト、

最安価格サーチ

クリックで開く

初回起動時のみ3秒くらい掛かりますがご了承下さい。

 

何が出来るかと言うと、

Amazon.co.jp

楽天市場

ヤフーショッピング

の三つのショッピングサイトを同時検索して、商品を価格の安い順に表示出来ると言う、お買い物支援サイトだ。

「最安価格サーチ」で、

「電解コンデンサ」をかなり安値で探したい人は こちらから >

「東芝 トランジスタ」をかなり安値で探したい人は こちらから >

ワテ渾身の力作のかなり安値ショッピングサイトです。

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